

ナブルス:イスラエル軍は8日、数か月にわたって暴力が続いている占領下のヨルダン川西岸地区で兵士とその兄弟を殺害したとされる、パレスチナ人容疑者の家屋を破壊したと発表した。
イスラエル軍によると、ナブルス市内のアスカル・キャンプでアブデル・ファタハ・クルーシャの住居を破壊する深夜の作戦中、衝突が発生した。
作戦中に、複数の「激しい暴動が起こり、投石やタイヤに火をつけるなどの行為があった」と声明の中で述べた。
そして、「さらに、軍に向けて爆発物が投げつけられたり、実弾も発射されたりしたため、軍は暴動鎮圧手段で対応した」と付け加えた。
イスラエル軍は、2月にヨルダン川西岸の町ハワラを車両で通行していたハレル・メナヘム・ヤニブと弟のヤーゲル・ヤーコフ・ヤニブを射殺した犯人として、クルーシャの名前を挙げていた。
その翌月、イスラエル軍は急襲作戦で49歳のクルーシャを殺害。
パレスチナの公式通信社WAFAの報道によると、イスラエル軍は夜間にナブルス入りし、クルーシャの3階の家を破壊した。
AFP通信が目撃者から聞いた話によると、軍が市内に入ると同時にパレスチナ人らと衝突が起き、その中には武装している者もいたという。
パレスチナ赤新月社は、6人のパレスチナ人が負傷し、1人は銃弾によるケガだったと伝えた。
イスラエルは、イスラエル人を殺害した容疑者とされるパレスチナ人の住居を定期的に破壊し、このような措置は抑止力として機能しているとの主張を行っている。
このようなやり方は、子どもを含む非戦闘員をホームレスにしてしまう恐れがあり、集団的な処罰に等しいと人権活動家は述べている。
昨年の初頭から、パレスチナ人武装勢力が拠点とするヨルダン川西岸地区の北部で死者を出す暴力事件が発生しており、イスラエルはこの地域で軍事作戦を強化している。
この地域では、イスラエル人に対する攻撃や、パレスチナ人コミュニティへのユダヤ人入植者による攻撃が相次いでいる。
AFP通信が双方の公式情報筋からまとめた統計によれば、今年発生したイスラエルとパレスチナの紛争に関連する暴力事件により、少なくとも212人のパレスチナ人、28人のイスラエル人、1人のウクライナ人、1人のイタリア人が死亡している。
パレスチナ側には戦闘員の他に民間人が含まれ、イスラエル側にはアラブ少数民族が3人含まれている。
イスラエルは1967年からヨルダン川西岸地区を占領している。
併合された東エルサレムを除くと、この地域には約300万人のパレスチナ人と、国際法で違反とされている入植地に居を構える約49万人のイスラエル人が住んでいる。
AFP通信