スレイマニヤ:警察と治安関係者によると、イラク北部の石油都市キルクークに3日、イラク治安部隊が配備された。前日の民族間の衝突による死者数が4人に上ったことを受け、さらなる暴力を防ぐための措置である。
数日間の緊張の後、キルクークで2日に勃発した民族間の衝突で4人の抗議者が射殺された。警察と医療関係者によると、4人は全員がクルド人だったという。
キルクーク警察報道官のアメル・シュアニ氏は記者団への声明で、外出禁止令が解除され、3日には市内で車両が通常通りに走っていたと述べた。
しかし治安部隊は、「暴動を防ぎ、民間人を守る」ために街頭に追加部隊を配備したと報道官は述べた。
この紛争は、キルクークのある建物を巡って起こっている。そこはかつてクルド民主党(KDP)の本部だったが、2017年以降はイラク軍が基地として使用している。
イラクの連邦最高裁判所は3日、政府に対して、KDPへのキルクークの建物引き渡しを遅らせるよう義務付ける緊急の仮判決を出した、と国営通信社は報じた。
ロイターが確認した判決文の写しによると、最高裁の判決は、ムハンマド・シア・アル・スダニ首相がイラク軍総司令官として行った、軍の建物を9月1日にKDPへ引き渡すようにとの命令を差し止めるものだった。
判決後に開かれた閣議でスダニ首相は、キルクークの政党に対し、「イラクの全般的な安定を損なう可能性のある暴力や紛争に訴えることを避ける必要性を強調し、潜在的な対立に関わらないように」と促した。
強力なクルド人政党の街への復帰をめぐり議論が起こっている中で、今回の判決は緊張を高める可能性がある。
イラクのクルディスタン地域首相マスルール・バルザニ氏は、連邦裁判所の判決を「茶番」として非難し、ソーシャルメディアプラットフォームのX(旧ツイッター)に投稿した。
ロイターの電話取材に応じた4人のキルクーク住民によると、軍のヘリコプターが3日に市の上空を飛んだという。
シュアニ報道官は、4人の抗議者が死亡し、15人が負傷したことを確認した。住民によると、警察は衝突に参加した数人を3日に拘束したが、逮捕について一切のコメントを拒否している。
石油が豊富なキルクーク県は、クルド自治区とイラクのシーア派が支配する中央政府が支配する地域との断層線に沿ってイラク北部に位置しており、イスラム国以降、同国において最も暴力が集中している地域である。
アラブ系住民や少数派の民族集団は、クルド人の支配下で苦しんでいると主張し、KDPの街への復帰に抗議している。
ロイター