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サウジアラビア建国記念日:夢の実現を祝って

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22 Sep 2023 02:09:50 GMT9

サルマン国王の即位はアラブ世界にとって重要な転換点だった。この地域の多くの国が動乱と不安定な状況に置かれるなか、サウジアラビアは国内においても国際的にも数多くの課題に直面していた。しかしサルマン国王とムハンマド・ビン・サルマン皇太子殿下のリーダーシップの下、サウジアラビアは様々な課題に取り組み、国家の経済と社会を変革するための、野心的な「ビジョン2030」イニシアティブを打ち出した。 

ビジョン2030を通じたサウジアラビアの進歩と変革への注力は、国内的にも国際的にも称賛に値する進歩をもたらした。ひとつの重要な達成は、サウジアラビア経済を多様化させ、石油への依存を減らし、外国からの投資を引き込んだことだ。またサウジアラビアは国民、特に女性のエンパワーメントにおいて、女性の運転禁止を撤廃し、ジェンダー平等を促進するなど大きな進歩を見せている。 

サウジアラビア建国記念日は同国の素晴らしい歩みを祝福し、成功への道を開いたリーダーや未来へのビジョンを持った人々を称える日だ。またこの日は、古代遺跡や息を呑むような風景をはじめとする、サウジアラビアの豊かな文化遺産を記念する機会でもある。 

サウジアラビアの進歩、経済多様化、国民のエンパワーメント、文化遺産の祝福への注力は、世界の舞台において同国をダイナミックで野心的な国として位置づけ、世界に感銘を与える要素となっている。 

私のドバイでの個人的な体験を改めて語ることは、サルマン国王の即位を取り巻く興奮と期待を垣間見せ、改革と変革の新時代が始まったなかでのサウジアラビアの将来への楽観と期待を際立たせるだろう。 

2015年1月、私はドバイで行われたアリゾナ大学GCCの同窓会に参加していた。そこで私は、二聖モスクの守護者サルマン・ビン・アブドルアジーズ国王複合施設の宮殿から予想外の電話を受けた。私は耳にした話を信じられず、唖然としてはっきり説明するよう相手に求めた。そこで私は、アブドゥラー国王が崩御しサルマン国王が即位したことを知ったのである。 

この知らせを聞いた私は、長く待ち望んできた国の変革が始まったのだという思いから、大きな喜びで満たされた。サルマン国王は国、地域、国際レベルで大きな課題に直面していた。しかし国王は皇太子殿下を抜擢し、様々な改革に乗り出した。これが国家変革計画、そしてサウジビジョン2030導入の始まりだったのである。 

サウジアラビアは経済多様化と同盟強化に注力し、課題への取り組みと安定の確保へと歩み始めた 

トゥルキ・ファイサル・アル・ラシード博士 

サウジアラビアは経済多様化と同盟強化に注力し、課題への取り組みと安定の確保へと歩んでいる。ひとつの重要な戦略は、安定を促し潜在的な脅威を緩和するために、中国をはじめとする新たな同盟国と積極的な関わりを持っているという点にある。従来の同盟からさらにその範囲を拡大することで、サウジアラビアはその地位を固め、国際的な支持基盤を広げているのである。 

さらにサウジアラビアは、OPECプラスをはじめとする組織を通じてロシアなどの国とも同盟を形成している。この協力関係により、サウジアラビアは世界のエネルギー市場でより影響力のある役割を担い、すべての関係国に恩恵をもたらす原油価格の安定確保に努めることができている。極端な価格変動は原油生産量の集団管理によって防ぐことが可能であり、それが世界経済の安全装置となっている。 

こうした積極的取り組みはサウジアラビアの安定確立において成功が証明されている。同盟の多様化と新たな同盟国との関係性確保により、サウジアラビアのリーチは拡大し、潜在的なディスラプションに対応可能できる回復力を備えたネットワークが築かれた。そこに加えて、ロシアをはじめとする国との協力はサウジアラビアの国際エネルギー市場における影響力を強化し、長期的な利益の安全装置となっている。 

国内に目を向けると、サウジアラビアは国民の幸福と願望を優先させるために大幅な改革を導入した。透明性、アカウンタビリティ、政府の有効性が実現した。さらにサウジアラビアはテクノロジーを活用して積極的に進歩をモニタリングし、公共セクターのイニシアティブ強化のために民間セクターの助言を求めた。 

ビジョン2030の下、サウジアラビアは宗教的寛容の促進と世界へのエンゲージメント強化を行っている。寛容と包摂のイメージを打ち出すことで、サウジアラビアは文化理解の涵養と宗教的対話の促進を狙っている。イラク、カタール、パキスタン、インド、トルコ、イスラエルをはじめとする様々な国との協力および関係強化はサウジアラビアの安全保障と経済協力の助けとなり、それが地域の安定性強化へと繋がっている。 

また国内においてサウジアラビアは、イスラムのより寛容な解釈を認めることを目的とした改革を導入した。これにより、女性の運転する権利が認められ、宗教警察の影響力が減少するなど、大きな社会的変化がもたらされた。また同国は、その他の宗教の受容を高める姿勢を見せており、ラビや司祭が各々の宗教行為を行うことを認めている。こうした取り組みは、社会の調和や受容の高まりを育んでいる。 

寛容を促すことで、サウジアラビアは世界とのエンゲージメントを高め、国際関係を強化し、国内および世界の舞台で前向きな結果を出してきた。サウジアラビアは継続的な改善に尽力し、ガバナンス指標を優先し、現行の進歩に対する評価基準を導入し、国民の明るい未来を作るために努力し、世界規模での変革への歩みを引き出しているのである。 

  • トゥルキ・ファイサル・アル・ラシード博士はアリゾナ大学農業・生命科学カレッジ生物システム工学部非常勤教授。著書に『Agricultural Development Strategies: The Saudi Experience』(未邦訳)がある。 
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