
南コーカサスでは歴史的な一週間となった。アゼルバイジャンとアルメニアにとって、長く、しばしば致命的な物語の1章が終わった。両国はこれから、未来に目を向けなければならない。
1990年代初頭の激しい戦闘の後、アルメニアはカラバフ地方を含むアゼルバイジャンのかなりの地域をほぼ30年間占領することになった。この間、アルメニア政権は伝統的なアルメニア人によって率いられた、世界中のどの国からも承認されていないいわゆる「アルツァフ共和国」という分離政府を支援した。
2020年のナゴルノ・カラバフ紛争で、アゼルバイジャンは領土の大部分を取り戻した。その結果、停戦協定によってカラバフ地方のごく一部がアゼルバイジャン政権の手から離れ、ロシアの「平和維持軍」の監視下に置かれた。
今年9月19日、アゼルバイジャンはカラバフの残りの部分を奪還するための軍事作戦を開始した。現地にいたロシアの平和維持軍は何も行動を起こさず、傍観していた。24時間以内に停戦が合意され、アルメニア軍とアルメニアの支援を受けた分離主義者たちは武器を捨てた。
南コーカサスを注視する国際社会にとって、カラバフで過去数週間の間に起こったことに驚きはなかったはずだ。最近の出来事につながった要因はいくつかある。第一に、ウクライナにおける泥沼化の結果、ロシアは今この地域で弱体化しているという認識がある。アゼルバイジャンは、2020年のナゴルノ・カラバフ紛争後、自国領土にロシア軍が駐留していることに決して満足しておらず、同国政権はロシア軍がこの地域から撤退することにつながる動きを起こすタイミングを見計らっていた。
第二に、今月、カラバフのアルメニア分離主義者たちによって、いわゆる「アルツァフ共和国」の「大統領選挙」が行われた。当然のことながら、アゼルバイジャンはこの選挙を違法かつ無用な挑発行為とみなした。これはアゼルバイジャンだけではく、欧州評議会、EU、イスラム協力機構、トルコ国家機構からも、この選挙に対する強い非難の声明が出された。
第三に、トランジットリンクの問題があった。ユーラシア大陸の中心に位置するアゼルバイジャンのような国にとって、外部との輸送網は重要な鍵を握っている。2020年の戦争を終結させる協定の一環として、アゼルバイジャンはアルメニアとロシア平和維持軍の管理下にあるカラバフの区間を結ぶ新しい道路を建設することを約束した。
これは2020年の停戦合意で義務づけられていたよりも1年早く、2022年に達成された。その見返りとして、アルメニアはアゼルバイジャン本国と、アルメニアのシュニク州を経由するナヒチェヴァン自治共和国との間の「輸送路の安全保障」を約束したが、これはまだ実現していない。当然のことながら、この約束の進展のなさにアゼルバイジャンは苛立っている。
最後に、そしておそらく最も重要なこととして、この数週間カラバフで世界が目にしたことは、30年以上にわたる外交的失敗の集大成だったということだ。1990年代初頭以来、アゼルバイジャンからの「すべての敵対行為の停止と占領軍の即時、完全かつ無条件の撤退」を求める4つの国連安全保障理事会決議が可決された。しかし、どれも執行されることはなかった。
2020年の紛争は、国際社会がアルメニアとアゼルバイジャンの間に長期的かつ持続的な和平を見出す努力を倍加させるための警告となるべきだったが、すべての努力は失敗に終わった。
アゼルバイジャンは、アルメニア系住民に対して、世界中の少数民族に与えられているのと同様の、通常の保護をすべて受けられるようにする必要がある。
ルーク・コフィー
アゼルバイジャンが自国領の支配を取り戻した今、困難な作業が待ち受けている。1990年代に家を追われた数十万人のアゼルバイジャン人は帰還を望むだろう。数万人のアルメニア人は、そのほとんどがアゼルバイジャン政権を信頼していないが、アゼルバイジャン社会に溶け込む必要がある。
カラバフではジェノサイドや民族浄化が行われているという、主に欧米の評論家による無責任な主張がなされてきたが、現時点ではそのような事実は確認されていない。アルメニアに向かうアルメニア人の大規模な移動が発生しているが、アゼルバイジャン政府は希望すれば留まることができると表明している。
アゼルバイジャンは、留まることを決めたアルメニア系住民に対して、世界中の数十カ国で少数民族に与えられているのと同様の、通常の保護をすべて受けられるようにする必要がある。これには、宗教の自由とアルメニア語やアルメニア文化を維持する能力が含まれる。現代のアゼルバイジャンにはすでに存在する多様性を考えると、これが問題になるとは思われない。しかし、信頼を回復するには何年もかかるだろう。
すべての紛争と同様に、ナゴルノ・カラバフ紛争にも勝者と敗者がいる。アゼルバイジャンは明らかに勝者であり、アゼルバイジャンの最大の同盟国であるトルコも勝者だ。一方、ロシアとイランは今回の戦闘の結果、敗者となった。
ロシア当局にとって、ウクライナでの問題が続くにつれて、南コーカサスでの影響力は低下している。一方、イランは、南コーカサスにおけるアゼルバイジャンの影響力を弱めようと、何年にもわたってアルメニアとの緊密な関係を維持してきた。しかし、今後これはさらに難しくなるだろう。
この紛争の結果はアルメニアにとって、特に長期的な視点で考えると複雑だ。一方では、その軍隊は壊滅的な打撃を受け、最大の軍事・経済同盟国であるロシアに裏切られたという思いがある。
しかし、アルメニアとアゼルバイジャンの間の(そしていつの日かアルメニアとトルコの間の)国交正常化プロセスと和平が、この地域に新たな経済的機会を生み出す可能性は十分にある。紛争が終結した今、国際的な投資家はこの地域に数十億ドルの直接投資をこの地域に投入する意欲を持つかもしれない。この地域で最も貧しい国の住民として、アルメニアの人々はこれを必要としている。
アルメニア人が近隣諸国と平和を見いだせば、ロシアへの依存度は低下するかもしれない。これにより、アルメニア政が欧州大西洋共同体に近づくきっかけとなるかもしれない。しかし、これはすぐには実現せず、アルメニア社会の世代交代が必要になるだろう。
10月5日、スペインのグラナダで開催される欧州政治共同体(EPC)首脳会議で、アルメニアとアゼルバイジャンの首脳が会談する。この会談の結果を推測するのは時期尚早ではあるが、この会談が南コーカサスに平和と安定、そして経済的繁栄をもたらすプロセスの始まりとなることを期待したい。
あまりにも長い間、この地域は苦しんできた。国際社会は、すべての関係者がテーブルを囲み、恒久的な平和を見出すための努力を倍加させるべきである。