
ベイルート:レバノン、シリア、およびエジプトは21日、年間6億5000万立方メートルの天然ガスをエジプトからシリアを経由しレバノンへと輸送することに合意した。レバノンの深刻な電力不足を電力とガスの輸送で解決するための、米国の支援を受けた取り組みの一環である。
この協定はベイルートにあるレバノンのエネルギー省庁舎で行われた式典で署名された。協定ではレバノン北部のDeir Ammar発電所にガスが送られ、約450メガワット、つまり1日約4時間分の電力を追加で供給できることになる。
Deir Ammarは、レバノンにあるガスとディーゼルの両方で稼働できる発電所のひとつだが、ガスのパイプラインがまだ稼働していないため、ディーゼルを使用している。
レバノンのワーリド・ファイヤド・エネルギー臨時大臣はロイターに対し、この協定は担保融資ができる世界銀行の承認が必要であり、シリア制裁体制遵守のための米国の承認が必要であると述べた。
ファイヤド大臣は、エジプトとシリアの代表、国営エジプト天然ガス会社のMagdy Galal会長と共に、この合意を発表した。
金銭的な条件については明らかにしなかった。
レバノンのナジーブ・ミカティ臨時首相の事務所は、Galal会長とエジプト大使のヤセル・アラウィ氏との会談後に発表した声明で、提示された価格は「世界の市場価格より30%安い」とアラウィ氏が述べたとした。
レバノンの国営電力会社が生産する電力は1日に2、3時間分しかなく、多くの人が高価な自家発電機の契約料を支払わなければならない状況に追い込まれている。
この電力不足を緩和するため、レバノンは昨年、ヨルダンからシリア経由で電力を、エジプトから同じくシリア経由で天然ガスを受け取る計画が持ち上がり、この計画が実現すればレバノンで最大700メガワットが追加で送電できる見込みだった。
世界銀行は、レバノンが待望の電力部門改革を実施して浪費を減らし、料金徴収を強化すれば、融資を行うと合意していた。
レバノン内閣は3月に広範な電力改革計画を可決したが、主要な部分はまだ実施されていない。
戦争で荒廃したシリアを経由しての送電は、シリア政府と取引する者を罰する米国の制裁にさらされる懸念もあった。
米国当局は、制裁の恐怖を感じることなく協議に参加するための「事前許可」を各国に与えたが、契約が締結されれば準拠性を完全に判断することができると述べている。
ファイヤド大臣は、今回の協定により世界銀行の融資とアメリカの制裁免除への道が開けることを望むと述べ、「要求は全て満たしたと思う」と語った。
米国大使館や世界銀行のレバノン事務所からは、即時のコメントは得られなかった。
ロイター