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経済成長のコロナウイルス対策を

26 Feb 2020
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極東アジア、イラン、イタリアでの感染件数急増を受けて、コロナウイルスに対する警戒は広がる一方である。同様に広がる経済問題も、封じ込めは困難であると判明する可能性がある。

パニックの鎮静化を狙い、国際通貨基金のマネージングディレクター、クリスタリナ・ゲオルギエヴァ氏は、最近ドバイで開催された世界女性フォーラムで、経済の未来を占う水晶球はコロナウイルスによって曇っていたが、中国からの「V字型」回復(急激な落ち込みのあと素早く再び成長に転じること)を望んでいると語った。ちょうど1週間後にリヤドで開かれたG20サミットで、氏の論調は明らかに楽観的ではなかった。

コロナウイルス出現前にも、中国の成長率は6%と、ほぼ30年来の低水準が予測されていた。

米中貿易協定のフェーズ1では、先行不透明だった保護主義をめぐる見通しがよくなったが、18か月間に及ぶ紛争は、重度の不確実性に根ざしており、今日の画面で不適切な語句を覆うブリップ音を思わせる。ゲオルギエヴァ氏は、中国の成長率が5.6%まで鈍化する可能性があると述べた。この状況を受け、既に韓国から東南アジアに至る近隣諸国の対応が必須となっている。

フィリピンは金利を引き下げ、シンガポールは45億ドルの緊急金融パッケージを発表、韓国は資金調達を必要とする緊急事態であると述べた。ウイルスに対する恐怖が弱気を誘っているとの独ZEW経済研究所のコメントはイタリアで感染急増が確定する前に出されたものだ。

過去20年間、世界成長の真の原動力となったのは米国ではなくアジアであることを忘れてはならない。中国の国内総生産の成長は、今日の経済における相互のつながりの妙を示している。2003年にSARSウイルスの懸念が広がった際、中国経済の規模は1兆6,000億ドルだった。2020年の中国は、アジア全土から製品を吸い上げ、14兆ドル規模の巨人となっている。その繁栄ぶりは、石油、石炭、銅、その他の商品が引き続き圧力を受けていることから、明らかに脅威にさらされている。ところが、グローバリゼーション時代のコロナウイルスは、世界のサプライチェーンにとってさらに大きな脅威となる。世界のサプライチェーンでは、韓国や日本といった製造拠点全体が中国からの供給に大きく依存している。

この状況がテクノロジー、製薬、航空宇宙の各企業に与える影響を扱う分析は枚挙に暇(いとま)がないが、G20の会議では、保護主義のリアリズムの戦いが初めて表面化した。フランスのブルーノ・ル・メール財相は、西側が中国と低コストで生産性の高い中国メーカーに依存し過ぎていると示唆するに至った。これは国家の誇りや保護主義ではなく、将来の政策に適用する必要のある産業ロジックだとル・メール氏は訴えた。

筆者は世界貿易機関が設立される前、1988年のウルグアイラウンドで最終的に成立したGATT貿易協定の記事を執筆したことを覚えている。米国のハリウッドを発信源とする文化的植民地主義と、多額の助成に依存する欧州農業部門の脅威を恐れ、フランスが貿易取引の成立を阻む最大の課題となった。結局どちらの心配も杞憂に終わったものの、言葉自体は、グローバルルールに基づくシステムの幸先を照らすものではない。

グローバリゼージョン時代のコロナウイルスは、世界のサプライチェーンに大きな脅威となる。ここでは韓国や日本といった製造拠点全体が、中国からの供給に大きく依存している。

ジョン・デフテリオス

しかし、日本はコロナウイルスがグローバルな商取引の健全性に及ぼす明白で確実に現存する危険性を示唆した。中国と日本の政治的関係は緊張が続いているが、世界第2位と第3位の経済国としての相互関連性は、かつてないほど強固だ。日本の麻生太郎大臣は、自己満足を続けるのは間違いであり、成長を支援する財政的余裕があるものはそうするべきだと述べた。脳裏には、貿易黒字と対中国・アジア輸出への依存度が高まっているドイツがすぐに思い浮かぶ。日本は、第4四半期の経済の落ち込みが6%を超えたあと、コロナウイルスの問題が発生しているため、景気後退は不可避と思われる。

この緊急政策行動要請には、G20で休眠状態にあった組織構造に新しい命を吹き込む可能性がある。GDPに占める割合が現在80%を超える同会議参加国は、1/4がアジア諸国だ。10年前の世界的な金融危機の間、英国のゴードン・ブラウン首相はG20を刷新し、適切な時期に適切なタイミングで成長を復活させる協調的刺激策を発表した。

今年、サウジアラビアが当番制議長国となり、リヤドで開かれたG20でも、同様のつぶやきが多数聞こえた。

同会議の最終コミュニケによると、「われわれは最近のCOVID-19発生など、世界的なリスクを監視する体制を強化する。これらのリスクに対処するため、さらなる行動を取る用意がある」。

王国のムハンマド・アル=ジャドアーン首相は、各国は必要に応じて政策の引き金を引く準備ができていると述べた。

「満場一致 すべての国と地域でこれらのリスクと向き合うために必要な介入を行う用意が整うこと、介入はWHO(世界保健機関)を巻き込んだ多国家協調介入とし、これらのリスクの監視と必要な関連政策を展開することを、満場一致で認めた」とジャドアーン氏は語った。 

このような見通しにもかかわらずG20は、世界経済成長は今年と来年に「緩やかに」回復する見込みだと発表した。現段階でのコロナウイルスの脅威を見る限り、筆者はこの予測の信頼性は高くないと考える。

  • ジョン・デフテリオス氏は、CNNビジネスで新興市場部門の編集者兼総合司会を担当している。活動拠点はアブダビ。Twitter@JDefteriosCNN

 

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