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違う、カタールはコロナウイルスの裏で手を引いていない

陸路で王国に入国する人たちに検査を行うサウジの医療スタッフ。(サウジ保健省)
陸路で王国に入国する人たちに検査を行うサウジの医療スタッフ。(サウジ保健省)
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06 Mar 2020 08:03:10 GMT9
06 Mar 2020 08:03:10 GMT9

本紙の私のコラムにお馴染みの方なら誰でも、私がカタール指導部の応援団でないことはよくご存知だろう。その外交政策やテロリストグループを支持しているわけでもなければ、同国国民の扱い方も支持しているわけではない。カタールが同国の6,000人近くのアル・グフラン部族から市民権をいかに剥奪したのか、我々が書いた詳細かつ徹底的なレポートをお読みになったことがあるかもしれない。この部族は国から強制退去となり、現在に至るまで、その自然権・法的権利を求めて闘っている。

カタールがテロ組織を支援していることは、非常によく裏付けられており、否定のしようがない。カタールの体制がテロリストをかくまい、支援し、カネを渡していることに合理的疑いを差しはさめない程度まで証明できる証拠は数多くある。この証拠は国連やアメリカのテロ監視リストに載っている。一番ひどいテロリストはカタールに拠点を置いており、国連とアメリカの両方が指名手配している。

カタールは近隣諸国に対する内政干渉も犯している。ハマド・ビン・ハリーファ・アール=サーニー前首長がリビアの狂人ムアンマル・カダフィーと話し、サウジ指導部に対する陰謀を企てている内容の音声録音もある。ある録音では、元首相・元外務大臣のハマド・ビン・ジャーシム・アール=サーニーが、12年以内にサウジアラビアはもはや存在しなくなり、小さな国々に分断されるだろうと発言している。「この地域は一触即発の状態に直面している。サウジアラビアでは革命が起きるだろう」と彼は述べた。現在の首長の父親のハマド・ビン・ハリーファとしては、カタールが王国に対してかなりの問題を生じさせてきたことを認めており、サウジ政府は今のままの状態は維持できず、確実に終焉を迎えるだろうと語った。加えて、彼はさらに、アメリカ人はイラクで成功を収め、第2のステップはサウジアラビアだとも語った。エジプトとヨルダンについては、サウジアラビアと行動を共にしたとして、尊厳に欠ける2ヶ国だとしている。

カタールがまさにテロの元凶であるという事実を誰もが知っている中では、根拠のない非難により、カタールはより被害者のように思えてしまう。

ファイサル・J・アッバス

カタールは、これらのあらゆる面で罪を犯している。恐らく他の面でもそうだろう。とはいえ、この国は、サウジの新聞のあるコラムニストが、真面目なのか皮肉を込めているのかはさておき、最近自身のツイッター上で主張したような、ウイルスを植え付けたり、拡散したりといった罪は全く犯していない。カタール政府の計画は、サウジが最終的に同国の改革プランの恩恵を受けられないようにし、ドバイが計画している2020年の万博の開催を阻止できるよう、中国にウイルスを植え付けるというものだったと、彼女は付け加えている。

当然のことながら、彼女のツイートには議論や批判が殺到し、返信者の中には、カタールが実際にこの陰謀の裏で関与しているのではないか、この小さな湾岸国にとっては隣国サウジアラビアに直接ウイルスを植え付ける方がはるかに簡単だったのではないかという人もいた。

サウジの新聞のコラムニストが本気でそう言ったのかどうかはさておき、「対テロ・カルテット」参加国のコメンテーターや専門家のこのような不合理なコメントが、この対立の受け取られ方にマイナスの影響を与えるという事実は残る。カタールがまさにテロの元凶であるという事実を誰もが知っている中では、根拠のない非難や、不和の原因からの逸脱した発言で、カタールはより被害者のように思えてしまう。

さらに言うと、このような馬鹿げた話は、アラブ諸国かヨーロッパかを問わず、世界中でアジア人に対する差別が高まっていることと同じくらい醜悪だ。ロンドンやレバノン、ラマッラーで(あるいは他のどこであれ)日本、中国、シンガポール、韓国の市民が殴られる映像が流れるのは非常に心が痛い。最近、ラマッラーのあるパレスチナ人女性が2人の日本人救援活動家に暴言を浴びせる様子が映った映像がSNS上に流れた。この女性は彼女たちの写真を撮り、「コロナ、コロナ」を呼んだ。日本大使館は事件を調査していると述べ、少なくとも日本人に関して10件の同様の事件が起きていることを認めた。これは悲しく、嘆かわしいことだ。

このような事件は、このような危機の中で、我々が連帯という素晴らしい瞬間を目にしているという事実を見えなくしてきた。我々は、最善の結果が出るように団結する人々の姿を目にしている。看護師らが患者を助けた喜びで踊ったり、サウジアラビアが中国に援助物資を送ったり、UAEが中国から帰国した友好国の人たち向けに医療都市を開いたり、さらにはUAEが保有する3つの島を現在でも占領しているイランにまで救援物資を送ったりしている。

サウジアラビアは、キングサルマン人道支援・救援センターに対し、コロナウイルスと闘う中国に救援を命じた最初の国々の1つだ。サウジ政府の支援は李華新駐サウジアラビア中国大使から温かく感謝された。大使は昨年のサウジのムハンマド・ビン・サルマン皇太子の北京訪問や、その訪問がいかに両国関係の新たな時代の兆しとなったのか、振り返った。

この大きな混乱と危機の時に、我々はこれまで以上に団結し、立場の違いを忘れなければならない。結局、パンデミックは、テロリズムと同様、あらゆる人間を標的にする。標的に肌の色や宗教、人種の違いはない。

ファイサル・J・アッバスは、アラブニュースの編集長。ツイッター: @FaisalJAbbas

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