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リヤドでは、G20対COVID-19となる

本日、世界の経済大国のリーダーたちが、加速する新型コロナウイルス危機に取り組むため、G20議長国であるサウジアラビアが主催する「バーチャル」サミットに結集する。 (AFP)
本日、世界の経済大国のリーダーたちが、加速する新型コロナウイルス危機に取り組むため、G20議長国であるサウジアラビアが主催する「バーチャル」サミットに結集する。 (AFP)
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26 Mar 2020 06:03:48 GMT9
26 Mar 2020 06:03:48 GMT9

サウジアラビアが主催し木曜日に開催される「バーチャル」G20臨時首脳会議は、1999年のグループ設立以来、G20にとっておそらく最も重要な会議となると考えられる。すべての希望は、この世界の経済大国のリーダーたちが、我々の未来に対する最大の脅威である新型コロナウイルスとそれが引き起こす病気「COVID-19」に立ち向かう方法について同意できるかどうかにかかっている、と言っても過言ではない。

新型コロナウイルスは、世界中でこれまでに50万人あまりの感染者と2万人以上に上る死亡者を出している。しかもこれは、公式に報告され、知られている限りの症例数にすぎない。東京からウォール街に至るまで、株式市場は下落した。航空便は運休・減便された。何十億もの人々が、仕事を中止して自宅待機することを余儀なくされている。このウイルスが人類を「パーフェクト・ストーム(究極の嵐)」と戦わせているのはもう明らかだ。そしてその嵐は、病気という形をとって何百万という人をさいなめ、何十万という人を殺し、経済的な「津波」となって国全体を襲い、インフラを破壊し、今後何年にも渡って回復を妨げかねないのだ。

こうした理由から、G20議長国であるサウジアラビアの政府は大きな責任を担うことになる。ホスト国だからという理由だけでなく、さまざまな勢力を相寄らせ、新型コロナウイルスに対しより効果的に立ち向かえるようにする立場にある、という意味で、サウジアラビアほど最適の立場にある国はないからである。

サウジアラビアは、アラブ圏、イスラム圏という2つの世界で最も影響力のあるプレーヤーであるだけでなく、石油市場のペースメーカーでもある。サウジ王国がG20加盟国のほとんどの国と良好な関係にあるのも利点だ。これは主にサウジ政府の「ルックイースト」政策によるものだ。これはこれまでの西側諸国との関係に背を向けることなく東方との関係も強化しようという政策であり、サウジアラビアは、一方で中国、他方では長年の同盟国である米国と連携するという、他にない能力を持っているのだ。これまでは隣国と紛争を起こしたことなどなかったのに、今では隔日のように新たな敵を生み出しているトルコを除いては、サウジの指導者たちと積極的に連携しこの危機の解決策を見つけようという意思のないG20の国は1つもない。

言い換えるなら、サウジアラビアが他国との健全な関係や親善という資本を投資する時があるとすれば、今がまさにその時なのだ。

解決策が何であれ、そしてそれに伴う変化がどんなものであれ、この事態が終焉したときには、我々の暮らしは以前とは違ったものとなっているだろう。

ファイサル・J・アッバス

当然のことながら、この任務は容易なものではない。国によって解決策に対する見解が異なるからだ。一方には7,000人近くの死を悼むイタリアがあり、世界最多の高齢者を抱え、同様の運命を恐れる日本がある。そのもう一方には、すでに手一杯の国民健康保険サービスにこれ以上過剰の負担をかけないように慎重なアプローチをとる英国があり、トランプ大統領が「治療問題そのものより悪いものになる状況を許してはならない」という見解を持ち、長期的な自己隔離や企業閉鎖による影響を避けたいとする米国がある。

さらには、公共の自由、そして我々の生活様式が永遠に変わってしまう可能性、という問題もある。多くのミレニアル世代にとっては初めての経験かもしれないにしても本質的には一時的な措置である門限やその他の制約という意味ではなく、旅行し、公共の場所で他人と交流する自由、という意味で。テロリズムによって空の旅がどう変わってしまったかを考えてみよう。金属探知機、ランダムチェック、セキュリティチェックでの靴脱ぎ、液体物の押収、といったことを。新型コロナウイルスは必然的に個人の健康や衛生に関する新たなセキュリティ対策の先触れとなり、我々の移動の自由はさらに制限されてしまうことになるだろう。公共の建物、オープンスペース、さらには礼拝の場に至るまで、入場や入館が規制されてしまうことになるのだ。こうした事態をもたらすウイルスはこれが最初ではないし、これが最後ともならないと考えておいた方がよい。

解決策が何であれ、そしてそれに伴う変化がどんなものであれ、この事態が終焉したときには、我々の暮らしは以前とは違ったものとなっているだろう。ニューヨークタイムズ紙のコラムニスト、トーマス・フリードマン氏もこう述べている。“There is the world B.C. — Before Corona — and there is the world A.C. — After Corona(紀元前(Before Century)という意味でのB.C.の世界があるように、コロナ前(Before Corona)という意味でのB.C.の世界があり、そして紀元後(After Century)という意味でのA.C.の世界があるように、コロナ後(After Corona)という意味でのA.C.の世界がある)”

  • ファイサル・J・アッバスはアラブニュースの編集長である。Twitter: @FaisalJAbbas
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