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石油:貯蔵がすべて

アメリカ最大の石油貯蔵ハブ、オクラホマ州クッシング。(Getty Images)
アメリカ最大の石油貯蔵ハブ、オクラホマ州クッシング。(Getty Images)
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21 Apr 2020 06:04:44 GMT9
コーネリア・メイヤー
21 Apr 2020 06:04:44 GMT9

テキサス・ライト・スウィートとしても知られるウェスト・テキサス・インターミディエイト(WTI)は、アジア市場が開かれて以来の歴史的安値にまで下落した。午後の中頃までにWTIは39.52パーセント下落し、1バレルあたりの値段は11.05ドルになった。同時にブレント原油は6.8パーセント下落し、26.17ドルとなっている。

この差は、北米の貯蔵施設が急速に満杯になりつつあることで説明できる。シェールオイル生産者の一部は実物の樽を底値の2ドルで提供しており、樽で原油を購入するということが現実になるかもしれない。ブレント原油はより代替可能であり、中国やインド、韓国などの国では、戦略的備蓄を超低価格で満たすために使用されるかもしれない。ただし、これらの国の貯蔵施設も間もなく満杯になるだろう。

5月度の契約が後の期間よりも大幅に低い値の取引であるという事実が、現在の貯蔵危機を表している。また、OPECプラスはG20との会合にて、5月1日からの日量1500万バレルの減産に合意し、状況は緩和するとみられている。この取引では、OPECプラス側のみが実際の生産量を削減する。G20側は、需要の減少による自然消耗にて達成する。

先週、国際エネルギー機関(IEA)の4月の報告にて、需要が冷え込むとの見通しが発表された。石油需要は年間で930万バレル、4月に2900万バレル、5月に2600万バレル、6月に1500万バレル減少する。

このような歴史的な需要の破壊に際して、市場のバランスをとるためには、OPECプラスの減産は明らかに十分ではない。しかし、OPECプラスは、世界的に貯蔵施設の容量が枯渇しつつあるにも関わらず、曲線を平坦化し、さらなる貯蔵施設が次第に建設されるようにしようとしている。

情状酌量の余地もいくらかある。IEAは、彼らが計算したタイムラインとベースラインによると、OPECプラスの実際の減産額は日量970万バレルよりも多い1070万バレルだと報告で指摘している。

またIEAは、米国とカナダでの生産高が現在の低価格レベルで350万バレル減少すると予測している。

トランプ政権は、採掘を停止する企業への補助金も考慮に入れながら、石油産業を支援する計画に取り組んでいる。これは2つの理由で重要だ。第一に、現在の危機の収束後、シェールオイル産業に復活の方法を提供する必要がある。第二に、シェールオイル生産者は比較的高いコストベースを持っており、シェールオイル生産者の多くが大きな負債を抱えている。この業界であまりに多くの企業が破産してしまうと、貸金業者の一部にも壊滅的な影響を与えてしまう。

ゴールドマンサックスは、第2四半期から第4四半期まで、バレルあたり33ドルから45.55ドルの範囲の価格予測を発表した。ゴールドマンサックスは、価格の回復が急であり、資金不足の生産者が生産の拡大と閉鎖した採掘地の復帰に苦しむ場合、上振れのリスクがあることを認めている。

この予測は、価格は予測していないが、2020年後期に需要の急増が起こると予測するIEAの見方と一致しており、これにより在庫の喜ばしい減少につながると指摘されている。

アジアで一晩のあいだに起こったことは、石油市場の状況がいかに緊迫しているかを示すもう一つの兆候だった。IEA業務執行取締役であるファティ・ビロルは、2020年の需要の破壊により、10年分の世界需要の成長が一度に打ち消されたと指摘した。

アジアで一晩のあいだに起こったことは、石油市場の状況がいかに緊迫しているかを示すもう一つの兆候だった。

コーネリア・マイヤー

回復の形と速度にもよるが、将来的には原油高となり、インフレを引き起こす可能性があるという事実を忘れてはならない。

国際的石油企業のほとんどが設備投資(CAPEX)を削減した。湾岸協力会議の石油会社ですら、設備投資プログラムを見直している。過去のすべての景気後退で、あらゆる企業が設備投資を削減した時に、これらの国営石油会社は熱心に設備投資を維持していた。民間企業の一部、特に多額の負債を抱えるハイコストの生産者である場合、二度と戻れないかもしれない。石油は長期事業であり、現在投資されたドルは、地理的要因と生産方法によるが、18ヶ月から10年間のあいだのどこかで石油を生産する。これは、パンデミックが業界にもたらした被害の影響と程度の全貌を確認することを意味する。

コーネリア・マイヤー、ビジネスコンサルタントでありマクロ経済学者、またエネルギー専門家。Twitter: @MeyerResources

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