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パレスチナ人にはエルサレムでの民族浄化と闘う支援が必要

2021年3月30日、土地の日の45周年を記念したデモでのシェイク・ジャラーのパレスチナ人家族(ゲッティ・イメージズ)
2021年3月30日、土地の日の45周年を記念したデモでのシェイク・ジャラーのパレスチナ人家族(ゲッティ・イメージズ)
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07 Jul 2021 08:07:19 GMT9
07 Jul 2021 08:07:19 GMT9

東エルサレムのシェイク・ジャラー地区に住むパレスチナ人住民が強制的に立ち退かされる脅威は、イスラエル最高裁が最終的な判決を検討している中でも、和らいでいない。この重大訴訟には、SNSのインフルエンサーや、近隣住民の勇気ある抵抗のおかげで、国際的な注目が集まっている。

5月には、シェイク・ジャラーにおける立ち退きの脅威と、ユダヤ人入植者が聖月ラマダン中にイスラエルの保護の下でアル・アクサモスクに侵入したことが引き金となって、ガザのパレスチナ系過激派閥とイスラエルの間で血みどろの対決が発生した。不安定な停戦状態が続いている中で、イスラエルがアル・アクサモスクのはずれに位置するシルワン地区の数十軒の家屋を取り壊す計画が、さらに別の衝突を引き起こし、ヨルダン川西岸地区全域で抗議の波を巻き起こす可能性がある。

イスラエルは東エルサレムを占領し、後に併合して以来、同都市のアラブ系住民の強制退去を目的とした民族浄化政策を遂行している。高額な罰金や税金を課し、パレスチナ人の建設許可を却下し、一方で許可なく既存の建物を増築した人には建物全体を取り壊して罰を与えるというのは、このような政策の一環だ。

国連人道問題調整事務所(OCHA)は、2020年には、東エルサレムの少なくとも218のパレスチナ人世帯が立ち退きを求める訴訟を起こされ(訴訟の大半は入植者団体が起こしている)、子ども424人を含む970人が強制退去の危機に晒されていると報告している。入植者らは、1948年の戦争で失った財産を取り戻すことをユダヤ人に認める1970年のイスラエルの法律を利用しているが、この権利は、同じ紛争で財産を失ったパレスチナ人(イスラエルのパレスチナ市民を含む)には認められていない。この法律は、シェイク・ジャラーとシルワンのパレスチナ人の財産を奪うために利用されている。シェイク・ジャラーでは、合計65世帯が立ち退きの危機に晒されている。既に少なくとも10世帯が同地域から立ち退かされている。

シルワンの訴訟は、より広範囲にわたり、より危険だ。イスラエルは、聖書をモチーフにしたテーマパークを設置するために数十棟の建物を壊したいと考えている。1967年以降、シルワンでは少なくとも74世帯が立ち退かされており、一方で即時取り壊しの脅威は20軒に及んでいる。さらに、イスラエルの裁判所は、ユダヤ人入植者団体が訴えた財産請求について検討しており、さらに86のパレスチナ人世帯に影響が及ぶ可能性がある。この町には、イスラエルの市民権を持たない5万人のパレスチナ人が住んでいる。

パレスチナ人を家から立ち退かせる動き、特にアル・ハラム・アル・シャリフ(イスラエルは神殿の丘と呼んでいる)に近い地域での動きは、政治的、イデオロギー的動機によるものであって、法的手続きとはほとんど関係がないということを指摘するのは重要だ。イスラエルの裁判所は、このような措置が国際法違反であっても、このような違法な立ち退きに、見かけ上の法的保護を与えている。

非常に腹立たしいのは、国際社会がこのような戦争犯罪をほとんど非難せず、多くの場合、イスラエルが東エルサレムとヨルダン川西岸地区の盗まれたパレスチナ人の土地で違法な入植地を建設・拡大しているのを見て見ぬふりをしていることだ。国連やほとんどの政府がこれらの入植地を違法だと見なしていると言うだけでは十分ではない。強制退去に関しては、もう何年も続いているが、個人レベルで、比較的小規模に行われてきた。イスラエルは現在、大規模な立ち退きとパレスチナ人家屋の大規模な取り壊しを実行すると脅している。

最近イスラエルとガザの間で起きた戦争により、シェイク・ジャラーの住民の窮状に注目が集まり、イスラエルに関しては、それ相応のネガティブな報道がなされた。しかし人権活動家らは、イスラエルは単にチャンスをうかがっているだけで、メディアの注目が他に逸れるのを待ってから、さらなる立ち退きと取り壊しを実行しようとしているのだと言う。

パレスチナ人を立ち退かせるイスラエルの動きは、政治的、イデオロギー的動機によるものであって、法的手続きとはほとんど関係がない。

オサマ・アル・シャリフ

目的は明確で、極右のイデオロギーと宗教的偏見が混ざり合った危険な考え方がその原動力となっている。イスラエルの極右政治家とユダヤ人入植者団体は、聖地とその近郊をユダヤ化したいと考えており、唯一彼らの道を阻んでいるのがパレスチナ人住民だ。彼らが不屈の精神を保ち続けるためには、圧力や脅しに耐え、法廷で自分たちの主張を論証し、その惨状に世界の注目を集めるのを支援することが必要だ。

残念ながら、既に存在する基金や寄付金は、ほとんどが非政府系のものであり、そのリソースは限られているため、できることは限られている。聖地のパレスチナ人の不屈の精神を支えることを目的とした、より目立つ組織の設立が必要だ。

しかし、それでも、イスラエルが東エルサレムのパレスチナ人に対する民族浄化政策を何の咎めもなく続けている間に、このような努力が瓦解する可能性はある。欧米の政府は、イスラエルが国際法や協約に日々違反している時に黙っておきながら、東エルサレムからのイスラエルの撤退を含む二国家解決を支持するなどとは言えないはずだ。法律や決議を尊重しないイスラエルが容認されるいわゆるイスラエル例外主義には終止符を打たなければならないが、それは説明責任が果たされない限り実現しないだろう。

  • オサマ・アル・シャリフは、アンマンに拠点を置くジャーナリストで政治コメンテーター。ツイッター:@plato010
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