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アフガニスタンが生む恐怖は、まだ始まったばかり

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05 Sep 2021 11:09:57 GMT9
バリア・アラマディン
05 Sep 2021 11:09:57 GMT9

過去20年間、タリバンは権力を取り戻そうと戦ってきたかもしれない。だが、以前の統治でアフガニスタンに悪政を敷いた人間の大半がいなくなっている今、粗野な指導者たちは勝利を持て余している。それは外の世界を驚かせた以上に、彼らにとっても予期していなかったことなのだ。彼らがこれまで組織として経験したことといえば、民間人に大量の死傷者を出すテロ攻撃や、ヘロイン取引からの金のゆすり取り計画でしかない。

これほどに、自らの成功の犠牲者となった組織があるだろうか。彼らは大衆の軽蔑と、過激派支持者からのとてつもなく高い期待の間で押し潰されている。アフガン国民の6割が25歳未満だ。彼らは、タリバン政権の記憶も、その古臭い世界観への共感も一切持ち合わせていない。しかし同グループがその後退主義からわずかな柔軟性を見せれば、20年間戦ってダーイシュ・ホラサンのような暴力的組織に鞍替えした理由はそれではない、と戦士たちの多くがすぐに結論を出すだろう。

タリバンとアルカイダが新世代の過激派を刺激してリスクを勝ち取っているアラブ・イスラム社会の他の地域にとって、アフガニスタンの動きは極めて重要な意味を持つ。残忍な聖戦主義の新たな局面を回避するには、各政府は迅速に、そのような傾向を監視して対処する体制を整えなければならない。米国が撤退する直前、およそ1万人の聖戦戦士が広範地域からアフガニスタンへと押し寄せた。タリバンが政権についた今、この流入率は急増する可能性がある。そうすれば、大量脱獄によってすでに強化された、アルカイダやダーイシュにつながる戦士たちの数を増強することになる。

イスラム世界と欧米諸国は今回こそ、そのような危険な動きに反撃する用意があるのだろうか。湾岸アラブ諸国は、過去20年間で格段に進歩を遂げている。その発展は、聖戦士らの新規採用や新たな資金調達を非常に困難なものにした。だが、あらゆる街のそこかしこで、世間知らずな、頭に血が上った若者たちが、「グローバル・ジハード」によって輝かしく壮大なチャンスがもたらされるという嘘の格好の餌食になっている。その血生臭い現実は、罪のない人々に対する野蛮な暴力であり、テロリストによる搾取であり、参加する者の酷く、早過ぎる死である。

元サウジ外交官であり諜報機関長官のトゥルキー・アル・ファイサル王子は、トランプ氏がタリバンと取引を行った後、アフガニスタン政府の崩壊は「不可避」であったと指摘して米国によるこれらの自発的誤りを激しく非難している。王子は米国撤退時の「無能さ」と、数十億ドル相当もの米軍兵器がテロリストの手に渡ったことに関する危険な影響について糾弾した。

西側当局者は、タリバンに対しダーイシュ・ホラサンとの戦いをどのように促すのが最善かを議論している。だがそれらは、同じ原理主義から派生した双頭の蛇の頭でしかない。

バリア・アラマディン

2016年のトランプ氏の勝利は、ポピュリストの権威主義的な独裁者らを世界規模で鼓舞した。それと全く同じように、タリバンの再浮上は、消耗し色褪せた神権政治モデルを再活性するだろう。 同時に、女性の権利、市民の自由、そして有能な統治は、あらゆる退行的な結果を免れない。国民に必要なのは、パンや病院、機能する銀行だ。一方、タリバン最高指導者であるハイバトゥラー・アクンザダ師の信奉者らが言い争っているのは、統治の神政原理や、誰が最高の事務所を得るかだ。アクンザダ師自身、教育と若者の機会についての優れた提唱者である。彼は自らの息子に、自爆テロ犯への道を奨励しているのだ。

権力によって救いようのないほど堕落した、建前上の宗教組織ほど不快なものはない。イランでは国民が飢える傍で、呆れることに国家予算の3分の2が大富豪のアヤトラたちの不透明な神政基金へ不正流用された。それと同様に、アフガニスタンの極めて小さな国家予算が、困窮する人々のために使われることはないだろう。カブール占拠後にこの組織が最優先させたのは、アメリカに協力した人々の一覧を内務省から押収し、化粧品店や洋服店の窓にかかった女性たちの絵を塗りつぶすことだった。

西側当局者は、タリバンに対しダーイシュ・ホラサンとの戦いをどのように促すのが最善かを議論している。だがそれらは、同じ原理主義から派生した双頭の蛇の頭でしかない。ダーイシュ・ホラサンの主要人物らは、元タリバンの強硬主義者だ。ハッカーニ・ネットワークやイマーム・ブカリ・ジャマートのようなグループは、ダーイシュ・ホラサンやアルカイダと密接な関係を維持している。オサマ・ビンラディンの警備主任だったアミン・アル・ハク博士のような中心的な悪名高いテロリストは、すでにカブールに集まっている。ダーイシュ・ホラサン、アルカイダ、そしてイランやカタール、トルコ、パキスタンのようなイスラム国家は、対立を利用して同盟を育てるために異なるタリバン派閥をお互いに演じている。

94億ドルのアフガニスタン通貨が米国で凍結されていることから、援助金を賢明に行使することでタリバンを制御できる、と一部は推測する。だが、タリバンが資金不足に陥ったことは一度もない。パキスタンの保安サービスからの支援だけでなく、タリバンは、イランからの燃料や通貨貨物への課税のみで年間最大8,340万ドルを得ているのだ。4,000万ドル相当を稼ぐアヘン貿易の、2倍以上の収入だ。イランは、米国による制裁措置を回避する機会から利を得ている。テヘランとタリバンの関係が大きく緩和したのは、このように双方に有益な犯罪活動に起因している可能性がある。

タリバンが支配権を奪取したことの地を揺るがすような余波は、アフガニスタンに外国軍を保持する比較的安い費用よりはるかに高くつき、多くの問題をはらむだろう。シリア、イラク、そしてサハラ以南のアフリカから僅かな軍隊を撤退させようする欧米の試みも同様に、テロリストや無法国家が支配権を握る結果につながるだろう。

これらの動きから導かれる結果は世界規模で大惨事となり、そして最終的には近い将来、国際コミュニティがアフガニスタンへ戻ることを余儀なくするかもしれない、と著名かつ経験豊富な人々が世界的な外交の場で同意している。それならば、我々は事態について深刻に心配すべきだ。

顧みられることない地域で必然的に混沌が生じる時、近代史を通して、西側の孤立主義は常に干渉主義の性急な(そしてしばしば破滅的な)競争によって打ち切られてきた。本当に必要なのは、世界への慎重な関与についての成熟した新しい国際原則だ。それは優れた統治、発展計画、そして環境保護を積極的に支持し、手に負えなくなる前に過激主義的な傾向に対抗するものであるべきだ。

ジョー・バイデン氏は米国での次の選挙前に、極めて短期的な集中力しか持たない米国有権者が、アフガニスタンの惨状について忘れ去っているようにと必死に願っている。彼にとっては残念なことに、アフガニスタンが生む恐怖は、まだ始まったばかりだ。

  • バリア・アラマディン氏は中東および英国を拠点とする受賞歴のあるジャーナリストであり、アナウンサー。 メディア・サービス・シンジケートの編集者を務め、多数の国家元首にインタビューを行った実績を持つ。
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