
12月の初めは、石油市場にとって非常に重要な時期となる。サウジアラムコのIPOだけでなく、12月5〜6日にはOPECおよびOPECプラスの会議も開催される。このOPECプラスは、OPEC加盟国にロシアをはじめとするその他の石油産出国10カ国が加わるものだ。これが今後2週間にわたり、皆が石油価格に注目する理由である。
アラムコのIPOへ投資を行う者は、価格・出来高の相関関係と、それが巨大石油企業の収益力にどのような意味があるのかということに興味を持っている。だがこの株式公開のなかでも大きな関心が集まっているのは、サウジアラムコが、純利益で見れば依然として世界で最も収益の高い企業であり、世界で最も低コストの生産者でもあるということだ。
OPECプラスの会議は重要なものとなる。なぜなら代表者たちは、6月初旬開催の前回の会議で合意した120万バレルの減産を延長するか、さらには引き上げるかを決定する必要があるからだ。だが12月は決定の期限ではない。代表者たちは6月に、9カ月間の減産に合意したからだ。これは、12月に合意に達することができない場合、3カ月の猶予期間があることを意味している。
最近では、原油価格は米中通商協議の進展と密接に関係しているが、これは驚くべきことではない。2020年の世界の経済成長は、世界の2大経済大国が貿易摩擦の解決策を見つけられるかどうかにかかっている。世界貿易の低迷は、石油需要に大きな影響を及ぼすのだ。石油は、依然として輸送用に選ばれる燃料である。サプライチェーンの再編成またはローカリゼーションは、石油需要と商品価格にすぐに波及するだろう。
先週には乱高下が見られた。価格は月曜の高値63.5から水曜の安値60.3まで下落したが、金曜には64.3まで反発し、日曜には62.3まで下落した。そして月曜のアジア取引の前場では30セントも反発した。これらの価格は、米中の協議担当者が本年の通商取引の第1段階の締結にどれだけ近づいているかに関しての発表や噂と足並みをそろえて動いていた。香港のデモ参加者を支持し、この地域への特定の武器の輸出を停止することを定める米国の法案は、第1段階の迅速な締結を潜在的に妨げることになった。これにより、先週半ばには原油価格の軌道が一時的に反転した。
ファンダメンタルズを見ると、米国エネルギー情報局(EIA)発表の米国の原油在庫は、11月15日までの10週連続で140万BPD増加した。11月12日に公表された国際エネルギー機関(IEA)の月例石油市場レポートは、第3四半期の110万BPDの需要増加が、第2四半期から2倍以上になったものであることを強調していた。また、供給量が150万BPD増加したことについても指摘されていた。これは、アブカイクとフライスへの攻撃の後、生産を完全復旧させたサウジアラビアの能力を反映したものだ。
最近では、原油価格は米中通商協議の進展と密接に関係しているが、これは驚くべきことではない。
コーネリア・マイヤー
さらにIEAは、現在の原油価格レベルが固有の地政学的リスクを反映していないと述べていた。その通りなのかもしれない。しかしながら、カナダロイヤル銀行の商品調査責任者のヘリマ・クロフト氏は今月初めアブダビで、原油価格が地政学的緊張の指標としてもはや役に立たないことを指摘した。
短中期的に価格に影響を与えるその他の要因は、OPEC外の供給が現実に来年になってしまうというところにある。IEAが予測する220万BPDの増加というのは正しいのだろうか?2020年1月1日から硫黄排出量を80%削減することを規定した国際海事機関(IMO)の新基準も、間違いなく需給状況に影響するだろう。
結局のところ、これは来週ウィーンに集まった際に、各国代表者がじっくりと話し合うことになる。需給状況を見れば、彼らは供給をさらに締め付けたいと思うかもしれない。しかし、ロシア財務次官のウラジミール・コリチェフ氏は、さらなる減産がロシアへもたらす利益についての懐疑的意見をブルームバーグに語った。減産に賛成の国もあると言われている。結果がどうなるかは来週の金曜日に分かるだろう。2020年の第1四半期末までの合意到達の猶予期間のおかげで、石油市場によって合意がうまくまとまる可能性がある。