
1961年に設立された石油輸出国機構(OPEC)は、これまで多くの課題に直面してきた。
加盟国の閣僚の一人が誘拐されたり、加盟国で戦争がぼっ発したり、石油の輸出を狙った国際的な制裁が行われたり、さらには生産政策の変更や原油価格の引き下げを迫る脅迫や国際的な政治的圧力に至るまで、様々な課題があった。
石油と石油派生品は、輸送及びエネルギー分野で使用される産業の原動力であるため、非常に重要である。
石油は世界の貿易総額の65%を占めており、その額は毎年3兆6,500億ドルにのぼる。石油は世界経済の安定を支える重要な要素であるからこそ、OPECは加盟国間で石油関連の政策を統一し、市場の安定を図り、消費者や投資家の利益を尊重しようとしている。
いくつかの課題はあるものの、OPECも目標を達成し、加盟国に公平で継続的な収益を確保するために取り組んでいる。その真摯な姿勢を最もよく証明しているのは、2020年4月にOPECの非加盟国産油国との戦略的パートナーシップを発表したことだろう。これは、サウジアラビアが世界市場の安定回復に向けて極めて重要な役割を果たした偉大な成果である。
原油価格は改善され、1バレル70ドルまで上昇した。その一方、サウジアラビアは2017年1月に締結された歴史的合意の有効性を維持するため、追加減産を採用した。
世界のエネルギーミックスの中で石油は大きな割合を占めており、1990年には石油は世界のエネルギー需要の37%に達していた。OPECは現在、人口増加に伴い石油需要の増加を見込んでいる。
また、OPECは2040年には石油需要が安定すると予想していているものの、国際エネルギー機関は、同年に石油需要が減少すると予測している。
順調な需要増加が見込まれるものの、エネルギーミックスに占める石油の割合は、2035年には約27%まで減少する。
つまり、OPECは今後、クリーンエネルギーの開発を目指した技術の進歩や、二酸化炭素や硫黄酸化物などの有害ガスの排出を削減し、地球温暖化対策や国際的な環境法制の遵守に向けた世界的な取り組みなど、新たな大きな課題に直面することになる。
ヨーロッパの一部の国では、ガソリンやディーゼルを使用する自動車の製造を中止し、代わりに電気自動車やハイブリッド車の製造と普及を行うことを発表した。これが、世界の製油所の操業に悪影響を及ぼし、石油および石油派生品の消費率の低下につながることは間違いない。
太陽光発電、風力発電、ブルー水素やグリーン水素、水力発電、電気バッテリーなどのクリーンエネルギーへの関心の高まりにより、今後数年間は石油の消費量が減少すると考えられる。
このことは、一部の国で再生可能エネルギーへの投資が拡大していることにも現われている。OPEC加盟国であるサウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、クウェートなどでは、2030年までにクリーンエネルギーの需要を30%高めるため、再生可能エネルギー事業への投資を行っている。
サウジアラビアを中心とする湾岸諸国は、OPECの総生産量の50%を占め、OPECの埋蔵量の約40%を占める巨大な石油埋蔵量を有し、総生産能力は日量550万バレルに達するなど、OPEC加盟国の中でも主導的な立場にあることが知られている。
湾岸諸国の製油所は、方針や生産計画を統一し、一つの製油所として運営する必要がある。
アブドゥル・ハミド・アル・アワディ
今後予想される課題を鑑み、石油や代替クリーンエネルギーの将来において、極めて重要かつ効果的な役割を果たすために、湾岸諸国はどのようなことを推進していくのだろうか。
原油価格と石油生産量の低下が、石油に年間の主な収入源を依存している産油国、特に湾岸諸国の財源に悪影響を及ぼすことは間違いない。
だからこそ、世界のエネルギー市場が変化する中で、これらの国々は優先順位を再編成し、中長期的な戦略的方向性を見直す必要があるのだ。
これらの国々は、収入源を多様化し、成功している国際投資への参加を増やすべきである。第二に、科学技術の研究拠点を統合し、将来の需要を考慮した新したな研究計画を立てることに重点を置くべきである。
また、湾岸諸国が石油、ガス、石油派生品のネットワークでつながり、さらにアジアやアフリカにもつなぐことができれば有益だろう。
また、湾岸諸国の製油所は、方針や生産計画を統一し、一つの製油所として運営する必要がある。
グローバルマーケティング、海上輸送、アジア・アフリカ向けの価格方程式などの分野で、協力・調整を強化する必要がある。
また、再生可能エネルギーの開発やカーボンニュートラル、気候保護に関連する先端産業を奨励することも、長期的には有効である。
– アブドゥル・ハミド・アル・アワディ氏は、石油精製とマーケティングの専門家である。