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Facebookは今すぐ「修正」を!

今すべきことは、テクノロジー企業、政府、ジャーナリストとしての誇りを持つ報道機関たちが力を合わせて、この真実を守ることだ。(Shutterstock)
今すべきことは、テクノロジー企業、政府、ジャーナリストとしての誇りを持つ報道機関たちが力を合わせて、この真実を守ることだ。(Shutterstock)
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06 Oct 2021 03:10:50 GMT9
06 Oct 2021 03:10:50 GMT9

今週、テックジャイアントのひとつ、Facebookに関連する2つの出来事があったことで、私たちは立ち止まって、ソーシャルメディアの台頭が社会に、特にアラブ世界にどのような影響を与えているかを考えなければならない。

内部告発者であるフランシス・ホーゲン氏による2日間にわたる米国上院議員への証言と、FacebookおよびFacebook傘下の人気製品であるInstagramやWhatsAppが6時間にわたって停止したことは、私たちがいかにこれらのプラットフォームに依存しているかを示すだけでなく、2つの大きな欠点を明らかにした。それは、システムとして信頼できるものでもなければ、企業として信用できるものでもないということだ。

月曜日に発生した障害により、何百万人もの人々が事実上のニュースソースから切り離されたという意味で、信頼性はない。これは決して大げさなことではない。アラブ若年層意識調査(Arab Youth Survey)によると、2020年にはアラブの若者の79%がソーシャルメディアからニュースを入手していたが、2015年にはわずか25%であった。また、FacebookのフィードやTwitterの投稿が従来のメディアや信頼できるニュースサイトに取って代わるような世界を描いていたテクノロジー愛好家たちにとっても、今回のシステムダウンは警告となる。「すべての卵を一つのカゴに入れるな」ということだ。

今までも多くの警告は存在したが、多くの人はそれを気にしないことを選んできた。今年の1月まで、ドナルド・トランプ氏は間違いなく世界で最もパワフルな人物だったが、そのためにTwitterとFacebookは彼のプラットフォームへのアクセスを停止していた。重要なのは、一部のトランプ・フォロワーによる米国連邦議会議事堂への恐ろしい攻撃の後、これらのアクセス禁止が正当化されたかどうかではない。重要なのは、当時あらゆる権力を持っていたトランプ氏でさえも、ソーシャルメディア企業に彼の存在を維持させるよう強要することはできなかったということだ。この事実は、過去数年間、自社サイトに時間と資金を投資する代わりに、コンテンツをこれらのプラットフォームに無料で提供してきた報道機関にとって「いつでも全てを失う可能性がある」という警告になる。

もうひとつの問題は、消費者がニュースをソーシャルメディアに依存するようになったことには、経済的な理由だけでなく、代償が伴うということだ。フェイクニュースや党派的なメディアの台頭により、一般消費者の間には大きな不信感が広がっている。信頼度調査「2020・エデルマン・トラストバロメーター」は、ジャーナリストが意図的に嘘だとわかっていることを言ったり、著しく誇張して発表したりして、人々を誤解させようとしていると考える人が59%に上ったと報告している。一方で、ニュースメディア格付け機関「ニュースガード(NewsGuard)」やコムスコア(Comscore)によると、誤報や偽情報を流す出版社やニュース提供者には年間推定26億ドルもの広告収入が流れ込んでいるという。これらのことは、ソーシャル・プラットフォームの台頭がなければ実現しなかっただろう。ソーシャル・プラットフォームは『トムとディックとハリー(イギリスの喜劇)』の誰にでも観客を持ち得、その観客を増やすことで報酬を得られる。その意味で、それが本物のニュースを広めていることになるのか、フェイクニュースを広めていることになるのかは関係ない。

ソーシャルメディアの投稿が憎しみを煽り、罪のない人々の生活を脅かし、人々の権利を侵害した場合、その投稿にプラットフォームを提供した企業は、法的責任を免れたり、社会的責任に背を向けたりすべきではない。

ファイサル・J・アッバス

これは単なる偶然だと思われるかもしれないが、ここでホーゲン氏の出番となる。議会での証言の前日、彼女はテレビのインタビューで、Facebookのニュースフィードのアルゴリズムが、反響を呼ぶコンテンツに最適化されていることを説明した。Facebook自身の調査では「人々の怒りの感情を刺激するのは、他の感情を刺激するよりも簡単だ」と結論づけられていたとホーゲン氏は語っている。「Facebookは、アルゴリズムをより安全なものに変更すれば、人々のサイト滞在時間が短くなり、広告のクリック数も減り、収益も減ることに気づいたのです」。つまり、純粋に利益を最大化するために、ソーシャルメディアのプラットフォームは、社会の分断を助長し、憎悪による攻撃性を鼓舞し、有権者の利益に反するような行動をとる政治家や政策に投票するよう人々を誘導し、事実とフィクションの境界がかつてないほど曖昧になるような世界的な信頼の欠如を生み出したのかもしれない。

ソーシャルメディアプラットフォームの運営者がこのような事態を望んでいたという証拠はない。今の状況を生み出したことについては、個人や政府、民間企業を問わず、ユーザーの悪意にも同様に責任があるだろう。

今から行動しても遅いだろうか?いや、そんなことはない。メディアの専門家であるフアン・セニョール氏は、アラブニュースの調査研究部門の報告書において、ジャーナリズムだけがジャーナリズムを救うことができると主張し、パンデミックの際に信頼できるニュースサイトの購読者が実際に増えたことを指摘している。つまり、事実を正直に伝える報道に対する市場が存在するということだ。今すべきことは、テクノロジー企業、政府、ジャーナリストとしての誇りを持つ報道機関たちが力を合わせて、この真実を守ることだ。そして政府はテクノロジー企業に公平に課税し、その収入の一部を伝統的なメディアに投資すべきだ。

最後に「フェイスブックやツイッターは出版社ではない」かどうかという議論は一旦白紙に戻そう。しかし、アラブニュースやロンドン・タイムズ紙、ワシントン・ポストがそうであるように、彼らもまた出版社であり、同じ規律に従わなければならない。ソーシャルメディアの投稿が憎しみを煽り、罪のない人々の生活を脅かし、人々の権利を侵害した場合、その投稿にプラットフォームを提供した企業は、法的責任を免れたり、社会的責任に背を向けたりすべきではない。

・ファイサル・J・アッバスは、アラブニュースの編集長。

ツイッター: @FaisalJAbbas

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