
地域を支配し、その全ての国々の主権に脅威を及ぼすというイランの計画に関する過去20年間の話は、イラン政府を巻き込んで繰り返されてきた危機に触発された単なる誇張ではない。
事はイラン革命後の数年間に始まった。人為的に作り出された危機を利用して、体制は現在の世界の中でこの種のものとしては最大規模となる武装民兵の帝国を築いた。その全ての能力をこれらの民兵に費やし、武装し、訓練を受けた数多くの組織を、イラク、シリア、レバノン、イエメン、またアフガニスタンで設立した。どの組織もイスラム革命防衛隊(IRGC)の司令官の下で、それぞれの政府の権限を越える範囲で活動してきた。
アブカイクにあるサウジの石油生産施設に対する土曜日の攻撃の前の数日間、イラクから得た情報は、3つの武装組織がイラク国内のアメリカの標的に対する作戦を計画していることを示していた。これは、サウジアラビアに対する攻撃が、IRGCの浸透によりその領域内で民兵をもはやコントロールできる状況にない国、イラクから発射された可能性を強めるものだ。
IRGCは、イラク政府からの資金やイラン政府からの指示を受ける複数の民兵組織のおかげで、イラク国内で優位に立っている。同じ「シナリオ」は、レバノン、シリア、イエメンでも起きている。これらの国は、民兵組織が統治に関する決定をイラン政府に有利な形で支配している破綻した国家、あるいは中央集権が弱い国だ。
アブカイクの石油施設に対する大規模攻撃は、サウジアラビアだけでなく、むしろ地域全体や、世界までをも標的にしている。イラン政府はその支配を確認し、決定を受け入れ、地域におけるイラン支配の新たな段階に向けた準備を望んでいるのだ。
我々はここ数年、直接または間接的にイランとの対決に取り組めなかった責任を感じるべきだろうか?我々はこの地域に大きな利害関係を持つアメリカ政府や世界の他の大国を責めるべきだろうか?
実のところ、1980年以降我々がイランの計画を読み込むのは難しくなく、その対立は常に防衛戦略に基づくものだった。現場で何が起きているのかを理解できず、我々の生きる現実とは何の関係もない理論を信奉してしまう人がいた。
現在、このストーリーは明白で、状況は完全に出来上がっている。イランは事実上サナア、バグダッド、ダマスカス、ベイルートを掌握しており、アラビア湾や地域の残りの部分の支配に取り組んでいる。イラン政府に対抗するための選択肢はあまりない。というのも、イランは、犯行を否定する嘘の生命を発表し、イエメンのフーシ派や、イラクのアサイブ・アフル・アル=ハク、レバノンのヒズボラなどの関連組織に責任を押し付けておいて、自らは直接行動しないからだ。
しかし、アブカイク攻撃がイラン政府の画策であり、実行を模索していた戦闘の1つであるという事実をこの地域の国々に納得させるのは、状況からしてもはや難しいことではない。
アブカイク攻撃は、アメリカによるイラン締め付けの結果と言えるのだろうか?ノーだ。イランに対する経済封鎖の結果ではない。しかし、逆は真実だ。経済制裁の裏側にある理由の1つ、核合意(包括的共同作業計画)の破棄は、その力を拡大し、この地域の国々に脅威を与えるという計画の実行へのイランのこだわりを示すものだ。イラクやレバノンの親イラン派の反体制派武装民兵は、核合意や制裁の数年前に現れており、順番は逆ではない。
結論としては、イランは壮大な計画を持った邪悪な国であるということだ。そのイデオロギーと野心はアルカイダやDaeshのそれと似ている。その危険性は誰にとっても脅威となる。断固としてこれに対抗する統一戦線がなければ、拡大して繁栄するだけだ。
アブドゥッラフマーン・アル・ラシェッドは、ベテランコラムニスト。元アル=アラビーヤのニュースチャンネル元部長、アッシャルクル・アウサト元編集長。
Twitter: @aalrashed