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負傷した支配者によってイランは怒りに包まれた

2020年1月18日、レバノンの首都ベイルートにて、レバノンを経済危機に陥らせたとして非難されたエリート支配層に対する抗議デモの参加者を拘束する機動隊。(ロイター)
2020年1月18日、レバノンの首都ベイルートにて、レバノンを経済危機に陥らせたとして非難されたエリート支配層に対する抗議デモの参加者を拘束する機動隊。(ロイター)
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20 Jan 2020 08:01:14 GMT9
バリア・アラマディン
20 Jan 2020 08:01:14 GMT9

アヤトラが血に飢えたように復讐を求めているにもかかわらず、カッセム・ソレイマニ司令官殺害は、西側諸国、さらには米軍の海外基地にさえも特段の影響を及ぼしていない。むしろ、その結果はレバノンやイラク、さらにはイランの都市に表れている。政治的緊張が高まり、犠牲者が増えている。

レバノンで暴動が始まってから3か月後、治安部隊とデモ隊の衝突はますます激しくなり、週末にはわずか24時間で400人の負傷者が出た。一方、ヒズボラが指名したハッサン・ディアブ首相の下で「テクノクラート」から成る政府が組閣されつつあると日々耳にする。しかし、指名された大臣らが主要派閥の恩恵を受ける限り、同様の腐敗した顧客主義的慣行が続くことをデモ隊は分かっている。実際、ゲブラン・バシル、ハッサン・ナスララその他の利己的な派閥は議席のシェアを最大化し、権力と資源の独占を永続させるために激しく戦っている。

米国はとうとう目を覚まし、党に圧力をかけ始めた。クリーンで、力のある独立した政府が組閣された場合にのみ支援を再開すると強調している。世界銀行その他の主要な資金提供者は、必要な改革が導入された場合には数十億ドルの資金注入を開始する準備ができている。しかし、イラン政府は意図的に妨害する。なぜなら、その立場からは、レバノンが西側の支援のために扉を開くよりも、紛争で荒廃し、経済的に破綻した方が都合が良いからだ。

一方で、ヒズボラの活動家が暴動や襲撃を公共的施設に向けることで、腐敗し、偏狭で疲弊した現状を再び受け入れるしかないと市民に信じ込ませようとしているという噂が飛び交っている。

約300のレバノンの銀行とATMがマスクをしたデモ隊に攻撃されている。銀行は、金と政治の不健全な関係を象徴しているため、国民の怒りの焦点となっている。泥棒政治が富を絞り尽くし、金融危機を引き起こし、エリート層が不当に獲得した富を国外に持ち出すことで事態はさらに悪化している。通貨が急落しており、普通のレバノン人は苦労して貯めた預金を引き出すことができない。

ソレイマニ司令官の殺害を受けて、最高指導者のアリ・ハメネイ師は、海外転覆の新たな悪の首謀者を採用するのが非常に困難であるため、過去14年間も地下深くに潜伏していた人物、ハッサン・ナスララを任命することも検討していると伝えられている。イスラエルは、やっと彼を標的にするチャンスが手に入ることを喜んでいるだろう。イラクの過激派の中にはナスララの熱狂的支持者が多数いるものの、ハディ・アル・アミリのような強力な民兵組織の指導者は、よりによってレバノン出身の小物軍人の指揮下に置かれることをよしとはしないだろう。シリアでの戦時中、アル・アミリ率いるバドル旅団はヒズボラによる指導を同様に拒否した。彼らは独自の指揮系統を持っており、ペルシア語を話す将軍からの命令しか受けないのだ。

取り乱し、矛盾した声明は、イスラム共和国の指導者の老いぼれた困惑を表している。

バリア・アラムディン

英国によってヒズボラ全体がテロ組織として指定された週、ナスララは演説の中でレバノンのさまざまな危機について実質的な発言をしなかった。その代わり、彼はすでに信じられないほどにイラクの事実上の君主になりきっており、米軍が平和的に撤退することを要求し、さもなければ「ひつぎに入って」帰国するだろうと述べた。イラクのクルド人に対する奇怪な攻撃で、ナスララはマスード・バルザニがイスラム国の2014年の侵攻に直面し、「恐怖で震えていた」と自慢げに語った。ナスララは、イスラム国から救ってくれたことをソレイマニ司令官に対し感謝するようクルド人に要求した。クルド人スポークスマンは、 「何年もの間、日の光を見ていなかったことを忘れている」と反論した。

現実にバルザニのペシュメルガは、略奪と民家を燃やすことに忙しすぎて戦闘どころではなかったソレイマニ司令官の代理のよりも、イスラム国との戦いにおいて比べものにならないほど実戦的であった。ナスララは、イラクで能力以上のことをしようと無理をしたかもしれない。イラクでは、ソレイマニの死をきっかけにシーア派の過激派や武装組織の軍人がすでに主権争いを始めている。

自国民を大量に乗せた航空機をイランが撃墜したことがきっかけで起こった国内の怒りの津波を受け、ハメネイ師は先週久しぶりに金曜礼拝に出席し(彼は8年間、金曜日の説教を行っていない)、脅迫と暴言で溢れるスピーチを行った。彼は、ゴドス軍は「人道主義的組織」であり、イランを防衛するという輝かしい目標のためにパレスチナ、レバノン、シリア、イラクに干渉していると支離滅裂な主張を展開した。この航空機を撃墜したことを利用して敵はイランの名声を傷つけようとしているが、イランは他国の支援なしでこの素晴らしい仕事をやってきたのだ、と彼は早口で語った。

ハメネイ師は最近の出来事に非常に困惑していたため、「起こったことは人間の手によるものではなく、神の手によるものだ」と宣言した。確かに、ソレイマニ司令官のせいで多くの人々が死んでいることから、おそらく神が報いを与えたのだろう。ハメネイ師とナスララは同様に2006年の戦争を「ナスル・イラヒ」(神の勝利)と称賛したが、レバノンは辺り一面の廃墟から煙が出ているような状況であった。

イスラム革命防衛隊が米軍基地に向けて無駄に発射したロケット(イランのメディアは80人の米兵を殺害したと滑稽なほど豪語​している)について、ハメネイ師は、イランは「世界最大のいじめ大国に全能の平手打ちで対応する精神的な強さを持っている」と非難した。イランの攻撃を受け、トランプ大統領(自身は前高官から日々ひどい侮辱を受けているが)は、「すべて順調だ」という別人のような冷静さでツイートした。

先週、欧州諸国が核合意について紛争解決手続きを発動した後、ハッサン・ロウハニ大統領は当該国の軍隊を脅すとともに、イランは今や核計画を自由に遂行できると主張した。完璧なロジックだ。アヤトラが目を覚まし、自らの各施設がイスラエルの空爆によって地獄に吹き飛ばされるのを見るまでは。

モハンマド・ジャワド・ザリフ外相は、イラン人が「数日間嘘をつかれた」という理由で、過去40年間嘘をつかれたようにデモを行っていると冗談まじりに言った。確かに、ある州のテレビ司会者は先週辞任し、視聴者に「13年間も嘘をついていたことを許してほしい」と懇願した。

イランに住むのは本当に悲惨だ。米国の統計によると、イラン人の若者の4分の1が失業しており、インフレ率は40%を超え、2020年には経済がさらに14%縮小すると予想されている。特に、予算の中の特別な部分が削減されないことを考えれば、80%を超える石油収入の減少があった状態で国家予算の草案をどうするか頭を悩ませている財務高官は哀れそのものだ。

地域の国家が崩壊する中、これはグローバルなリーダーシップが空白になる最悪の瞬間だ。トランプ大統領の外交政策への大胆なアプローチと並んで、欧州諸国はこの地域を完全に忘れてしまったが、ロシア、トルコ、イラン、中国は焼け焦げた地球の残りの部分や割れ目をめぐって争っている。正義があれば、ナスララ、アル・アミリ、カイス・アル・カザリなどの代理人は、同胞を売り渡し、外国勢力への奉仕で死と破壊を引き起こした反逆罪で裁判を受けるだろう。

しかし、おそらく、報いの時は私たちが気付くよりも早く来ている。取り乱し、矛盾した声明は、イスラム共和国の指導者の老いぼれた困惑を表している。ハメネイ師は、彼の「抵抗経済」のお粗末な成果を好きなだけ宣伝することができるが、彼が最近抵抗しているのは、国民の願望だけだ。

沈みゆく船を捨てるネズミのように、最終的にイスラム共和国が崩壊するとき、イランの国中にいる裏切り者や追従者たちは、盗んだ金で溢れたスーツケースを梱包し、ベネズエラへの最も早いフライトに急いで搭乗するだろう。一方で、イラクとレバノンの人々は新たに見つけた自由を祝福するだろう。ムアンマル・カダフィとアリ・アブドラ・サレハの結末がどのくらい悲惨なものであったかを思い出せば、ナスララ、アル・アミリ、そしてアル・カザリは、自国民の怒りに直面するよりも、イスラエルの刑務所制度の慈悲に身を投じる方を選ぶかもしれない。

  • バリア・アラムディンは、中東および英国にて受賞歴のあるジャーナリスト兼アナウンサーである。彼女はメディア・サービス・シンジケートの編集者であり、多数の国のトップにインタビューを実施している。
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