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パレスチナ国家なきサウジ・イスラエルの国交正常化はあり得ない:トゥルキ王子

サウジアラビアのトゥルキ・ビン・ファイサル・アル=サウード王子(元情報局長官、元駐米大使)は、2023年11月18日にマナマで開催されたIISSマナマ・ダイアローグ安全保障会議で講演した。(AFP)
サウジアラビアのトゥルキ・ビン・ファイサル・アル=サウード王子(元情報局長官、元駐米大使)は、2023年11月18日にマナマで開催されたIISSマナマ・ダイアローグ安全保障会議で講演した。(AFP)
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15 Sep 2024 09:09:23 GMT9
15 Sep 2024 09:09:23 GMT9
  • 元情報局長官:王国は紛争解決に向けて先導的な役割を果たしてきた
  • 欧米諸国はイスラエルへの圧力として十分なことをしていない。「単なる厳しい言葉」では「何も得られない」

アラブニュース

ロンドン:パレスチナの独立国家が樹立されるまでは、サウジアラビアとイスラエルの国交正常化はないだろうと、トゥルキ・アル=ファイサル王子(サウジアラビア王国の情報局の元トップ)が警告した。

ロンドンに拠点を置くシンクタンク、チャタム・ハウスでの講演で、元駐米サウジアラビア大使は、ガザ戦争の1周年を目前に控え、和平プロセスにおける米国の役割についても論じ、戦闘開始前の協議が概ね前向きなものであったことを説明した。

同氏は、米国は地域安全保障の強化と経済関係の構築を目的として、イスラエルとサウジアラビア間の協議の再開を強く望んでいるが、サウジアラビアの立場は「イスラエルがパレスチナ国家の樹立を認めるのであれば、イスラエルとの国交正常化について話し合ってもよい」というものであると述べた。

王子はさらに次のように付け加えた。「10月7日以前に…交渉はそういった方向で進展しただけでなく、王国はパレスチナ代表団を招待し、パレスチナ国家樹立につながる可能性のあるものについて、アメリカと直接話し合う機会を設けていました」

「私はその会談には立ち会っていないので、パレスチナとアメリカの間で何が起こったのかは知りませんが、王国の立場は常に、パレスチナの代弁はしないということです。彼らは自分たちでやらなければならなりません。残念ながら、もちろん、10月7日(ハマスによるイスラエル攻撃)により、その会談は打ち切られました」

トゥルキ王子は、パレスチナ国家の樹立はイスラエルとサウジアラビアの関係だけでなく、他のイスラム諸国との関係にとっても極めて重要であると述べた。

「パレスチナ国家は、サウジアラビアがイスラエルと国交を正常化するための第一条件ですが、イスラエル側では政府全体がパレスチナ国家の樹立に反対しています」と付け加えた。

トゥルキ王子は、サウジアラビアにとって、東エルサレムを含む1967年の国境を基盤とする独立したパレスチナ国家が望ましいと述べた。

さらに、同王子は、サウジアラビア王国が紛争の平和的解決を模索する先導役を担ってきたとし、1981年のファハド国王和平案や、アブドゥラー国王が提案した2002年のアラブ和平イニシアティブを例に挙げた。

「今回のガザ戦争では、サウジアラビア王国はイスラム世界を主導しました。アラブ首脳会議だけでなく、イスラム世界全体を主導しました。また、サウジアラビア外相が主導して、戦闘を終わらせなければならないと世界を説得する外交活動も行われました」とトゥルキ王子は述べた。

「サウジアラビア王国は、ガザ地区だけでなくヨルダン川西岸地区のパレスチナ人に対するイスラエルの攻撃を強く非難してきました」

彼は、7月の英国の新政府発足後、英国がイスラエルへの特定の武器輸出ライセンスの停止を始めたばかりであることを挙げ、米国やその他の西側諸国がイスラエルに戦争終結に向けた圧力を十分に掛けていないと批判した。

「英国にはもっと行動を起こしてほしい。例えば、英国はパレスチナ国家を承認すべきです。それはとうの昔にされるべきです」と彼は述べた。

トゥルキ王子は、米国はイスラエルの政府と軍の行動について、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相に直接圧力をかけることができるとし、イスラエルに同調するグループや個人による資金調達やロビー活動に対処すべきだと述べた。

「米国にはイスラエルに影響を与えるための膨大な手段がありますが、それを使おうとしていません。単にイスラエルへの武器や物資の供給を拒否するだけでなく、」と王子は付け加えた。

「米国からイスラエルには多くの資金援助が行われています。例えば、米国におけるイスラエル・ロビーが享受しているイスラエルへの寄付免税といった特権の一部を取り消すことができれば、イスラエルに大きな圧力をかけることができるでしょう」

米国では、「特定の国のために発言しようとするなら、その国のためにロビイストとして登録しなければならず、さもなければ起訴されます。しかし、米国にはイスラエルのためにそうした活動を行いながら、非課税のステータスを享受している団体が数多くあります。なぜなら、それらの団体はイスラエルを代表しているのではなく、単に慈善団体や人道支援団体としてみなされているからです」と彼は述べた。

「米国には多くの手段があります。単に厳しい言葉を発するだけでは、何も解決しないように思えます。しかし、米国はその覚悟があるのでしょう? 繰り返しになりますが、私はそれほど楽観的には考えていません」

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