
フランク・ケイン
スイスに拠点を置く国際経営開発研究所(IMD)が年に1度算出する世界競争力ランキングで、サウジアラビアが順位を2つ上げた。
この名誉ある報告書でランク付けされている63カ国の中で26位から24位へ順位を上げたことは、昨年のサウジアラムコの記録的な上場を受けて王国の証券市場の価値が急上昇したこと、および同国経済のダイナミズムや政策の安定性、信頼性の高いインフラに対する世界の企業幹部たちの肯定的な見方を反映したものだ。
IMD研究所のアルトゥーロ・ブリス理事はアラブニュースに対し、サウジアラビアは「計画通りに競争力を強化」していると話し、王国の経済競争力をより高めるためのビジョン2030を称賛した。
「5年前のサウジアラビアは、競争力において世界で最下位から10番以内だった。現在は24位まで達している。ビジョン2030には競争力のための戦略が書かれており、世界の他の国にとってもケーススタディーになる」と、彼は付け加えた。
このランキングは、COVID-19パンデミックが世界を襲う前の昨年の経済データに基づいて計算されているが、王国や世界が経済的なロックダウンの真っ只中にあった今年2月~4月の間に調査された企業幹部たちの見解も取り入れられている。
IMDはサウジアラビアが今年、「ビジョン2030の目標と一致させるためにサウジアラビア内で地域的な競争力を上げる」必要性があったことなど、困難な課題に直面していたことに注意を促した。また同国は、「COVID-19パンデミック中の経済的損失を軽減するため、政府による戦略的な取り組みを続ける」必要があった。
ブリスは、石油依存から脱却する多様化プロセスがまだ道半ばにある中で、パンデミックが今後のサウジアラビアに大きな影響を与えることとなり、危機の経済的影響に対する政策立案者たちの対応にかかっている部分がかなり大きいと述べた。
「新たな税法が適切な方向に向かう動きなのかどうかは確信が持てない。銀行システムに対する流動性の注入は前向きな取り組みだが、必ずしも競争力の強化にはつながらない」と、ブリスは付け加えた。
サウジアラビアには巨額の準備金と低水準の債務という形で、多くの国よりも大きな強みがあった。それらの強みが同国に世界の資本市場で資金を調達する能力を与えている。
「サウジは資金調達能力と準備金において巨大な馬力を持つ。政府系投資ファンドの目的は、将来の世代のために経済の持続可能性を支援すること」と、ブリスは言う。
2019年に企業幹部たちが把握していたサウジ経済の弱みには、国民一人あたりの所得の伸びが比較的低いことや、主要な輸出品である石油への依存が続いていることなどがあると、IMDの調査は明らかにした。
シンガポールは2年連続でこの世界ランキングの首位となり、デンマークとスイスがそれに続いた。米国は7つ順位を落として10位となり、その1つ上には中東諸国でトップとなったUAEが入った。