
ルーバー・ウバイド
【ジッダ】イエメンの民兵組織フーシ派はサウジアラビアの民間人を攻撃対象とする。こうした国際人道法違反がやむ気配はない。
フーシ派は19日、サウジ南部ジャーザーン州の村落へ発射体を投下した。同派によるサウジ領への攻撃としては最新のものだ。5人が負傷し、住民らの所有物も損壊した。
イランが後見するフーシ派は、2015年の戦争勃発以来サウジ領土を攻撃しては民間人の殺傷をおこなっている。国際的な非難を招くことも一再ならずある。
政治アナリストで国際関係論に詳しいハムダーン・アッ=シフリー博士はアラブニュースにこう語っている。「フーシ派による数多くの攻撃はもともと民間人を狙って弾道ミサイルやドローンによりおこなわれてきている。サウジはこれに果敢に立ち向かってきた。こうしたすばやい対応がなかったら被害も相当大きくなっていたはずだ」
フーシ派のようなグループは暴力に訴え破壊活動をする以外の行動はそもそもするべくもない、とシフリー博士は語る。博士は沈黙を守る国際社会を指弾するとともに、イランに科した武器禁輸措置を解除した国々も批判している。
「最近イエメン国内でイラン製武器の密輸のかどで捕らえられたフーシ派メンバーは、イラン国内で軍事訓練を受けたと認めている。いまもイランはイエメンに関与しつづけていることの証左だ。米国のみが対イラン国連制裁の強化を唱えているが、いますべきはまさにこれだと言える」
フーシ派という組織は、たとえ近隣諸国に危害を及ぼさないのであっても、なおイエメンの民間人の生命を危険にさらすような行動を取る組織だ、とも博士は言う。「フーシ派は街を楯に取る。民間人の住む地域のただなかにサヌア市内からロケット弾を打ち込むのだ」
国際社会は世界の平和と安全を維持する責任を有することから、国連安保理決議2216号の履行により戦争の災禍・苦悩からイエメンの人々を解放し、さらには包括的な政治決着をつけるためにフーシ派をふたたび交渉の席へ着かせることが求められている。博士はそうも言う。
シフリー氏は、「フーシ派の手に武器がありつづけるかぎり、この組織はイエメン、サウジアラビアはもとより地域全体にとっての脅威だ」と語る。
ジャーザーン州への攻撃についてはすでに、エジプト、ヨルダン、さらにはイスラム協力機構(OIC)も非難声明を出している。
サウジがみずからの国境や国民、国内に住む人々を守るために講じたあらゆる措置については、OICのユースフ・アル=ウサイミーン(يوسف بن أحمد العثيمين)事務局長が支持と連帯を示している。