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古代王国の意義を伝える新研究所

古代王国研究所のデザインは、ダダン文明の建築に触発され、その主要な建物はダダンの遺跡に面した山に彫り出される予定。(提供写真)
古代王国研究所のデザインは、ダダン文明の建築に触発され、その主要な建物はダダンの遺跡に面した山に彫り出される予定。(提供写真)
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30 Apr 2021 11:04:11 GMT9
30 Apr 2021 11:04:11 GMT9
  • アル・ウラー王立委員会主導で新設される古代王国研究所は、考古学と保全研究の国際センターになる見込み

レベッカ・アン・プロクター

ドバイ:アル・ウラー王立委員会(Royal Commission for AlUla、RCU)の主導により先日設立を発表されたサウジアラビアの「古代王国研究所」(Kingdom’s Institute)。古代北アラビアのダダン王国の遺跡の町アル・ウラーに位置し、まだ謎の多い古代ダダン文明の栄華を甦らせるかのようなこの大規模プロジェクトは、アル・ウラーにおける考古学および保全研究の国際ハブになるものと期待されている。 

研究所の主要な建物は、ダダンの遺跡に面した山に彫り出されることになっており、その他の建物のデザインも、ダダン文明に関連して発見された遺跡の建築物に触発されたものとなっている。

「アル・ウラーの20万年におよぶ歴史を保護していくという皇太子のビジョンに触発され、新しい研究所はアル・ウラーの文化的遺産を継承するものとなっています」とサウジアラビアの文化大臣兼アル・ウラー王立委員会総裁であるバドル・ビン・アブドゥッラー王子はアラブニュースに語った。

「新研究所は、考古学のフロンティアを探求し、コミュニティに新しいキャリアを創造することで、知識、研究、コラボレーションの国際的な中心地となるでしょう。私たちがアラブ世界の人類への貢献を明らかにしていく中で、この研究所は新たな発見と称賛の場となるでしょう。」

ダダンの文明は、2,700年以上前にさかのぼり、アラビア半島においてはナバテア文明と古代ローマに先立つ文明である。ダダンはかつてダダン王国とリヒャン王国の首都であり、紀元前1千年紀で最も発展したアラビア半島の都市のひとつと考えられている。

「“王国の時代”— 紀元前1000年から西暦106年頃のダダン、リヒャン、ナバテア各王国の時代— は新研究所にとって特に重点を置く分野であり、研究所の名前もそれにちなんだもの(Kingdoms Institute、古代王国研究所)となっています」と同研究所の考古学調査リーダー、ムニラ・アルムシャー氏は述べている。

アルムシャー氏は、考古学プロジェクトを共同監督するサウジアラビアで初めての女性考古学者でもある。彼女は、フランス国立科学研究センターと共同で進行中の、アル・ウラー南西の重要な考古学研究計画「カイバル長期考古学プロジェクト」に取り組んでいる。

「地区の建築スタイルを尊重し、新研究所の本部ビルは、ダダン文明の偉大な伝統を反映した赤い砂岩の構造になります」とアルムシャー氏は語っている。

古代王国研究所のデザインは、ダダン文明の建築に触発され、その主要な建物はダダンの遺跡に面した山に彫り出される予定。(提供写真)

新研究所は、最近発表されたアル・ウラーの「時を超える旅:サウジアラビアの古代アル・ウラーの保存と持続可能な開発のためのマスタープラン」の一部であり、2023年までに建設の第1段階を完了し、サウジビジョン2030の年に当たる2030年には訪問者の受け入れを開始する予定。2035年までに838,000人の訪問が見込まれている。

「パートナーであるフランス・アル・ウラー開発庁(AFALULA)との共同構築・共同開発の精神に基づき、この地域の最高のエキスパートたちによる専門的かつ独自の研究プログラムが用意され、世界でもユニークなこの尊い文明の新石器時代から現代に至る歴史を解明していきます」と、AFALULAの考古学および文化遺産プロジェクトの責任者であるイングリッド・ペリッセ氏はアラブニュースに語った。

「各場所を分担して担当する学際的な研究チームの存在も大きな力となり、アル・ウラーはアラビア半島で最も重要な考古学の中心地になっています。」

古代王国研究所のデザインは、ダダン文明の建築に触発され、その主要な建物はダダンの遺跡に面した山に彫り出される予定。(提供写真)

ペリッセ氏は、幅広い分野の科学者のコミュニティがこのプロジェクトのために結集するだろうと述べている。

「科学者のコミュニティから、歴史家、地理考古学者、陶器研究者、貨幣学者、およびその他の分野の専門家たちが、次世代のサウジアラビアの考古学者の訓練に参加して、知識とノウハウをもたらしてくれるはずです」とペリッセ氏は語る。

歴史と遺産は、ダダン地区および同地区に新設される古代王国研究所の中心要素である。磁気を帯びた赤い岩に刻まれる永遠の謎めいた雰囲気とともに、古代王国研究所は、サウジアラビアの過去とアル・ウラーが将来のサウジアラビアに果たす役割への敬意を表することも意図している。

古代王国研究所は28,857平方メートルの敷地に建設される。施設内部には学際的で革新的な科学センターがあり、そこでは7つの中心的な考古学プログラム(ロックアートの保全・保護、碑文と言語、先史時代の農業・農業史と持続可能性、接続性、考古学記録など)から、また7つの主要分野(リサーチ、フィールドワーク、出版、展示管理など)から学ぶことができる。

西オーストラリア大学のチームによって実施された広範囲にわたるアル・ウラーの航空測量は、シャラーンにあるこの墓陵を含む、その豊かな考古学的遺産の全体像を提供している。(提供写真)

新研究所は22,675平方メートルの施設の中で20万年の歴史と先史時代の研究へのアクセスを提供する。また、研究および保全のミッション15件の準備も同研究所により開始されている。

研究対象の一例としては、たとえば最近発見された、数千年前に現在のサウジアラビアに住む人々が岩を積み上げて低い壁を作り、長方形状に形成した塀のような構造物である「ムスタチル」がある。

ムスタチルの存在は以前から知られていたが、アル・ウラー王立委員会の委託によるチームが最近記録した1,000か所を超えるムスタチルは、それまでに特定されていた数の約2倍であり、ムスタチル研究に過去最大の素材を提供している。

「北アラビアの古代王国の隠された物語をひもとく作業は、まだ始まったばかりなのです」とアル・ウラー王立委員会の考古学、遺産研究および保護部門のホセ・イグナシオ・ガレゴ・リビラ部長はアラブニュースに語った。

「この地域の豊かで広範な考古学的遺産をこれから研究していく中で、さらに多くの興味深い事実が知られるようになるでしょう。こうした考古学的遺産は過去何十年もの間あまり注目されていませんでしたが、古代王国研究所によって、ようやっとふさわしい扱いを受けるようになるのです。」

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