Since 1975
日本語で読むアラビアのニュース
  • facebook
  • twitter
  • Home
  • サウジアラビア
  • 米国のジョン・ケリー気候特使がサウジ・グリーンイニシアティブを歓迎

米国のジョン・ケリー気候特使がサウジ・グリーンイニシアティブを歓迎

2021年6月16日、サウジアラビアのリヤドで行われたアラブニュースのインタビューに応じるジョン・ケリー米国気候変動対策特使(アラブニュース)。
2021年6月16日、サウジアラビアのリヤドで行われたアラブニュースのインタビューに応じるジョン・ケリー米国気候変動対策特使(アラブニュース)。
Short Url:
17 Jun 2021 12:06:11 GMT9
17 Jun 2021 12:06:11 GMT9
  • ケリー氏は、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子がコンセプトとして打ち出したものは、「挑戦的であると同時に刺激的でもある」と述べた

ヌール・ヌガリ

リヤド:米国のジョン・ケリー気候特使は、サウジアラビア・グリーンイニシアティブを「非常に重要な一歩」と称賛し、「植樹や、排出量を削減し、廃棄物をより効果的に処理するためのさまざまな種類の革新的なソリューションへの移行を開始するなど、世界的に必要とされている取り組みである」と述べた。

環境悪化や気候変動を食い止めることを目的とした「サウジアラビア・グリーンイニシアティブ」と「中東グリーンイニシアティブ」は、4月にムハンマド・ビン・サルマン皇太子が発表したもので、これによりサウジアラビアは環境プロジェクトに関する国際的な目標を達成するための地域的な取り組みの中心的存在となっている。

ケリー氏は、リヤドで水曜日に行われたアラブニュースの特別インタビューで、「中東グリーンイニシアティブと合わせて、非常に重要なイニシアチブだと思います」と語った。

ジョン・ケリー元米国務長官は、4月にリヤドに向かう途中、第1回気候変動に関する地域対話会議に出席するため、2回目の訪問となるアラブ首長国連邦(UAE)の首都アブダビに立ち寄った。この会議では、2015年のパリ協定と国連気候変動枠組条約の目標達成に向けた取り組みを加速するため、今年後半に開催される第26回国連気候変動会議(COP26)の準備に焦点が当てられた。

また、参加者である「モロッコ、イラク、エジプトなど、主に生産国の異なる11カ国」に言及し、次のように述べた。「彼らは皆、この方向に向かっています。これから必要なのは、目標に対する世界的な理解と、『グリーン』に適用されているさまざまな基準、『グリーン』の定義などを調和させることです」

アラブニュース副編集長のヌガーリ(左)と米国のジョン・ケリー気候特使。

「しかし、私たちはそれを実現することができ、そしてそれが特使としての私の使命であり、グラスゴーに向けて、パリと同様に世界が一丸となって抱負を新たにし、焦点を合わせるのです。この仕事を成し遂げるためには、私たちは抱負をより高く掲げる必要があります。『グリーン・イニシアティブ』は、そのための良いステップだと思います」

11月にスコットランドのグラスゴーで開催されるCOP26に向けて、抱負を高めようと、ここ数カ月、ケリー氏は世界中を駆け巡り、各国の首脳、国王、皇太子、閣僚、高官などと会ってきた。

今回の中東訪問では、火曜日にリヤドを訪れ、サウジアラビアの閣僚、政府高官、CEOと気候変動関連のさまざまな問題について話し合った。

ケリー氏は、サウジアラビアのエネルギー相アブドル・アジーズ 王子との会談では、「経済のさまざまな分野で、それぞれの取り組みを主導しているCEOらのグループも参加しました。物のやり方を『グリーン化』し始めた方々でした」と述べた。

「一連の会議は、可能な限りすべてをカバーした非常に良い内容でした。また、アブドル・アジーズ王子は専門家を集め、長時間にわたり、サウジアラビアが現在行っていること、今後できること、しようとしていることついて、あらゆる側面から検討しました」彼は付け加えた。

ケリー氏は、「(サウジアラビアの)分析の深さと、この課題に真剣に取り組み始めたことを示す今後のコミットメントに非常に感銘を受けました」と述べ、「これは大きな課題であり、ますます緊急性を増している」ことを認め、バイデン大統領も「同様に前進することを約束している」と付け加えた。

「サウジアラビアは、太陽光発電やグリーン水素の分野で非常に大きな可能性を秘めており、またその可能性は非常に現実的であるため、サウジアラビアが変化をもたらす主要な仲介者のひとつとなり得ると考えています」とケリー氏は述べた。

サウジ・グリーンイニシアティブや中東グリーンイニシアティブの目標は、地域内の二酸化炭素排出量を60%削減すること、2030年までにサウジアラビア国内のエネルギーの50%を再生可能エネルギーでまかなうこと、クリーンな炭化水素技術を用いて1億3000万トン以上の二酸化炭素排出を削減することだ。

気候変動に対する国際的な取り組みとサウジアラビアの取り組みについて協議するために水曜日に皇太子と会談したケリー氏はこう語る。「ムハンマド・ビン・サルマン皇太子が打ち出したコンセプトは、チャレンジングであると同時にエキサイティングであり、代替燃料を提供することで私たち全員の移行を加速させることができるものだと思います」

「世界の多くの人々が、今、水素による解決策を求めています。私は、今回の会談で、それを加速させる協力を約束しましたので、非常に期待しています」

ドナルド・トランプ政権はパリ協定から離脱したが、バイデン大統領は1月の就任後数時間でアメリカがパリ協定に再加盟するための大統領令に署名した。このような政策のUターンにより、米国自身の気候政策の将来的な一貫性について疑問視する声が上がっている。

しかし、ケリー氏はそのような懸念をきっぱりと否定した。「絶対に違います。その理由をお話ししましょう。その理由は、地球上のすべての場所で、民間企業が異例の方法で活動しており、この移行には何兆ドルもの投資が行われるからです」

「米国の大手銀行6行は、今後10年間で約4兆1600億ドルを気候変動対策のために投資することを表明しています。これは、開発銀行や資産運用会社を除いた金額です。また、世界中の多くの人々がアライアンスの結成を支援しているおかげで、他の国の多くの金融機関が、2050年またはそれ以前にネットゼロを実現するという同じ目標に完全にコミットしています」

政策の時計が戻ることのない理由について、ケリー氏は次のように述べる。「技術革新や新製品の開発、新燃料の開発など、市場は強力な力を持っているため、どの国の政治家もそれを変えることはできないでしょう。なぜなら、持続可能で再生可能なエネルギー源へと世界を移行させると同時に、何百万もの雇用を国民にもたらしているからです」

ケリー氏は、「炭素についても、サウジアラビアのような産油国が深く懸念していることから、同じ論理が当てはまります」と述べた。

ケリー氏はアラブニュースに対してこう語った。「排出量が必要な速度で減少している限り、また、排出量を回収して何らかの形で利用できるようになっている限り、さまざまなアプローチと異なる燃料の組み合わせが必要になるでしょう」

「ですから、将来はとても有望だと思います。これは、産業革命以来、私たち全員が直面した中でも最大の経済的変革であり、チャンスに満ちていると思います。2週間や1週間持つ電池を発見した人や、大気中のCO2を吸い取って保存したり利用したりする方法を考え出した人や国、企業は、大儲けすることなるでしょう。なぜなら世界全体に必要とされ、需要があるからです」

国連は、今世紀末までの地球の気温上昇を2℃(理想的には1.5℃)に抑えるというパリ協定の目標を達成するためには、各国が気候変動対策をさらに強化する必要があると警告している。気候科学は、早期に変革を開始し、2030年以前にも大幅な排出削減を実現しなければならないと訴えている。

しかし、発展途上国は、富裕国がパリ会議で公約した、エネルギー転換の取り組みを支援するための年間1000億ドルの公的・民間資金の動員の実行を求めている。ケリー氏は、この論争の的となっている問題には進展があったと述べる。

「1000億ドルのうち約810億ドルが確保できました。直接資金を提供するだけでなく、資金を動員することで、開発銀行に働きかけたり、他の当事者を巻き込んで一定額の資金を動員したりすることができるのです」

「私たちはそこに到達しなければなりません。先進国が公約された1000億ドルを確保することは非常に重要であり、私たちはすでにそのために懸命に取り組んでいます。私はバイデン大統領と個人的に話をしましたが、彼はそのことをよく理解しています。G7サミット(週末にイギリスのコーンウォールで開催されたサミット)でも議論されましたが、これからの4カ月間で、これをまとめて実行に移すことが重要です」

ケリー氏は、COVID-19パンデミックによる経済への影響を抑えるために、金融・財政政策を大幅に変更して対応した各国政府なら、必要なエネルギー転換のための資金を調達できると確信している。

「資金の一部は各国が捻出しなければなりません。なぜなら、いわゆる『譲歩金』と呼ばれるお金が必要だからです。これは、民間企業が投資収益を得られないためにやりたがらないことを、公共予算で賄うために必要なお金です」

「しかし、この資金の大部分は世界中の民間企業のものです。なぜなら世界中の民間企業が投資するお金を持っており、また、経済のさまざまな部門が交通運輸などへ製品を生産しているからです。鉄道、高速鉄道やクリーンな公共交通機関があれば、それらの分野で収益を得ることができ、収入があれば、投資を呼び込むことができます」

「同じことがエネルギーの利用にも言えます。人々はエアコンや暖房、照明などに使用するエネルギーにお金を払いますから、それが収入源になります。つまり、そこに実際に投資して収益を上げることができるのです。民間企業は、行うべき多くの選択に経済的な機会を見出します。だからこそ、私が言及した銀行は4兆1600億ドルをテーブルの上に置いたのです」

「それ以上のものが、よりそれ以上のものが世界中に存在します。人々が解決策を模索する能力です。それが原動力となるのです。テクノロジーや個人の利用、人々が利用し、お金を払ってもよいと思う製品を通じて解決策を模索する能力です」

特に人気
オススメ

return to top

<