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世界の問題を解決するには連帯が重要、とサウジアラビアの国連特使が語る

サウジアラビアの国連常任代表アブドゥラー・アル・モウアリニ大使が、国連総会開催中にアラブニュースのインタビューに応じた。(スクリーンショット)
サウジアラビアの国連常任代表アブドゥラー・アル・モウアリニ大使が、国連総会開催中にアラブニュースのインタビューに応じた。(スクリーンショット)
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23 Sep 2021 10:09:11 GMT9
23 Sep 2021 10:09:11 GMT9
  • テロとの戦いに勝利するためには、テロを生み出す社会的問題に対処することが重要であると、サウジアラビアの国連常任代表大使はアラブニュースの独占インタビューで語った。
  • また、アブドゥラー・アル・モウアリニ大使は、気候変動や、新型コロナウイルスのパンデミック、イエメンの人道危機、パレスチナ問題に対するサウジアラビアの取り組みについても言及した。

エファレム・ コッセイフィ

ニューヨーク:今週、世界の各国首脳らは、第76回国連総会に参加するため、2年ぶりに国連本部を訪れ、直接対面にて会議を開催した。

サウジアラビアの国連常任代表アブドゥラー・アル・モウアリニ大使は、アラブニュースに対し、「国連は業務を開始しており、通常どおり業務が行われています」と述べた。

また、アル・モウアリニ大使は、今回ニューヨークの国連本部に各国首脳が集まったのは、今、国際的な連帯の必要性が叫ばれており、「全員が安全になるまで誰も安全ではないことを皆が知っているからこそ、共に取り組み、お互いを思いやる必要性を認識している」と述べた。

しかし、各国首脳らは、その連帯の決意を試されるような危機が渦巻く困難な課題に直面している。気候変動による地球温暖化に伴い、異常気象がこれまでになく多発している。テロ活動や紛争も増加している。また、新型コロナウイルスのパンデミックが猛威を振るう中、富裕国が新型コロナウイルスのワクチンを備蓄することで生まれた「ワクチン・アパルトヘイト」は、世界の貧富の差を露呈している。

アラブ諸国はそれぞれ独自の危機に直面している首都ベイルートの港で発生した大規模な爆発事故から1年以上が経過した今、レバノンの経済は崩壊したままで、さらに燃料不足や停電など、レバノンは文字通りさらに深い暗闇の中に沈み続けている。

イエメンは、現在世界で最も深刻な人道的危機の状況にある。リビアでは、選挙も実現するかどうか不明であり、リビアの将来は依然として不透明のままである。

一方、アラビア湾岸地域は、気候変動の影響を最も受けやすい地域の一つであり、サウジアラビアは、気候変動問題に取り組む「世界でトップの国」としての称号を得ている。

アル・モウアリニ大使は、アラブニュースによる広範囲に渡る内容の独占インタビューの中で、サウジアラビア国内、地域、世界的な課題への取り組みにおける成果とともに、将来に向けたサウジアラビアの展望について語った。

国連の最新の数字によると、発展途上国におけるワクチン接種率はわずか4%であるのに対し、富裕国のワクチン接種率は60%を超えている。

アル・モウアリニ大使は、「ワクチンをまだ入手できていない国にワクチンが提供され、世界保健機関(WHO)がワクチンを提供するという要求に応えられるようにするとともに、すべての国がこの状況に対処できるようにするために、サウジアラビアは主導的な役割を果たしています」と語った。

今年の国連総会は、9.11の米国同時多発テロから20年を迎えた日から数日後に開かれた。今年の追悼式典では、いわゆる「テロとの戦い」について、その成功と失敗、そして世界に与えた教訓について、さまざまな議論が交わされた。「テロとの戦い」は今回の国連総会の主要議題の一つでもある。

「テロとの戦い」においてサウジアラビアが果たした役割は「非常に顕著であり、よく知られている」とアル・モウアリニ大使は述べ、サウジアラビアの支援がなければ、テロリストに対する勝利の多くは不可能だったと加えた。

しかし、この20年の間にテロは間違いなく広がり、複雑化・巧妙化しており、このような疑問が生じている。「世界はどこで間違ったのか。この戦いに本当の意味で勝利するためには何が必要なのか。」

アル・モウアリニ大使は、サウジアラビア政府がテロ撲滅の戦いで成功を収めることができたのは、テロが国内だけでなく国際的な課題であることを早い段階で認識していたからだと語った。

またアル・モウアリニ大使は、テロとの戦いは「世代間の戦い」であると語り、サウジアラビアはテロとの戦いがすぐに終わるとは考えていないと述べた。

アル・モウアリニ大使は、「これは長期的な戦いとなります。サウジアラビアは忍耐と辛抱を実践し、(テロとの戦いについて)長期的なビジョンを持っています」と述べた。

そしてそのことをサウジアラビアの人々も実感している、とアル・モウアリニ大使は語った。「この惨劇と課題を克服するためには、多くに人々の協力が必要であり、国が必要であり、部族が必要であり、家族が必要です。」

「サウジアラビアは、1つの解決策ですべてを解決しようとはしていません。テロ行為に対処するためには軍事的解決が必要な場合もありますが、サウジアラビアはその解決策を単純な軍事的衝突に限定しませんでした。」

「しかし同時に、単独の行動だけでは十分ではないことも認識しています。テロの根本的な原因は何なのか、ある国でテロ行為が育まれている状況はとはいったいどういう状況なのか、といった社会的なアプローチが必要になります。」

アル・モウアリニ大使は、諸外国がこのサウジアラビアの考えを理解せず、これとは逆のアプローチをとることが多いことを嘆いた。

「世界の多くの国では、軍事的な側面だけが強調され、短期的な勝利が求められています」とアル・モウアリニ大使は述べた。「しかしテロリストは、軍事的圧力が高くなると身を潜め、その圧力が解除されるとすぐにまた戻ってくるという傾向があり、軍事的圧力を長期間維持することはほとんど不可能であることは明らかです。」

アル・モウアリニ大使は、世界が一丸となって、国内および国際的なレベルにおいて、「排除、外国の占領、抑圧、疎外など、テロの根本原因に対処しなければならない」と主張している。 これらの要因は、「人々の絶望感につながり、その絶望感がテロの勢いを生む」のだとアル・モウアリニ氏は加えた。「テロとの戦いにおいてより成功を収めるためには、そのような根本的な原因や感情を取り除く必要があります。」

国際的な連帯が必要とされるもう一つの問題は、おそらく世界中の何百万人ものイスラム教徒やその他の人々にとって最も重要な単一の問題である、パレスチナ問題である。最近のガザ地区における内戦と、それに続く国連総会の緊急会合開催は、内戦の原因とそれに対処するための緊急の行動の必要性に注目を集めた。

アル・モウアリニ氏は、アントニオ・グテーレス国連事務総長に対し、パレスチナを来年の優先事項とするよう求めている。さらにアル・モウアリニ氏は国際社会に対し、パレスチナ人の権利を支持するために「リーダーシップと連帯感を発揮する」ことを呼びかけ、同氏はこのメッセージがはっきりと届いたと主張している。

また同氏は、イスラエルにおける3年間の政治的「混乱」により、イスラエル政府は「地域の平和と安定の問題にほとんど対処できない」と語った。 エルサレムにおけるイスラエルの挑発行為やガザ地区での攻撃により、パレスチナがイスラエルのさまざまな政党や個人にとって「政争の具」になっていることは明らかだが、現在は状況が「少し異なる」と加えた。

アル・モウアリニ氏は、イスラエルで「1票差ではあるが新政権が誕生したことで、情勢が不安定になっている」と述べ、このように続けた。「しかし、新政権が誕生し、米国を含む世界の主要国の間で、このような状況が続くことは許されず、アラブ和平イニシアチブの内容に沿った解決策が必要であるという、新たなビジョンが生まれることを願っています。」

またイエメンでは、政治的膠着状態と継続する内戦により、世界最悪の人道的危機と言われる状況に陥っている。先月、国連のイエメン担当特別使節に任命されたハンズ・グランドバーグ氏が、イエメン紛争の包括的解決に向けた取り組みへの回帰を求めたが、アル・モウアリニ氏もグランドバーグ氏と同じことを主張した。イエメンにおける人道的危機の問題は2016年以降、国連で議論されていない。

アル・モウアリニ氏は、「これまでの国連特使は、包括的解決策と『信頼醸成措置』と呼ばれるものの間を行ったり来たりしていました」と述べた。「残念ながら、信頼が醸成されなかったため、これらの措置はあまり効果がありませんでした。結局、(国連特使は)断片的な解決策を求めて多くの時間を無駄にしてしまったのです。例えば、『ホデイダ停戦合意』など、特定の場所での局所的な停戦などです。」

「これには効果がなく、時間がかかり、主要な問題から注意をそらすことになります。主要な問題とは、つまり、イエメンでは政府や首都、その他の主要都市が違法な勢力によって支配されているという事実です。」

「そのため、包括的解決策を見出すという方向に回帰する必要があるのです。その包括的解決策は、すべての問題を同時に解決する政治的な解決策でなければなりません。新たに就任した国連イエメン担当特使がこれを成し遂げることを期待しています。」

気候変動の問題に話を戻すと、アル・モウアリニ氏は、サウジアラビアがこの問題に取り組む世界的なリーダーとして台頭してきていると述べた。

国連が地球温暖化問題について、人類に対する「緊急警報」と表現した同じ時期に、サウジアラビアは今年、「サウジ・グリーン・イニシアチブ」と「中東グリーン・イニシアチブ」を立ち上げる計画を発表した。

アブドッラ・シャーヒド国連総会議長は、アラブニュースが行った最近のインタビューの中で、このサウジアラビアの計画を賞賛し、「サウジアラビアの指導者らは、気候変動へ取り組みの分野において世界トップになりつつある」と述べた。

アル・モウアリニ氏は、サウジアラビア政府が気候問題に取り組むために行っている政策は、同国の「責任感」によるものだと述べた。

「サウジアラビアは世界をリードする国なのです」と同氏は述べ、「我々は、気候変動がもたらす生命への差し迫った危険を認識しています。また、サウジアラビアは産油国ではありますが、世界に対する全体的な責任を認識しており、環境を保護する使命があると考えています」と語った。

さらに、「サウジアラビアは、世界の先頭に立ってこの問題への取り組みを行っていきたいと考えていますし、実際サウジアラビアは現在、この問題において世界の先頭に立っています」と加えた。

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