
ウィーン:OPECとその同盟産油国によると木曜日、OPECとその同盟国はロシア主導のもと、原油価格を支え過剰供給を防ぐため、この10年間で最大規模の減産への同意にさらに近づいたという。
ウィーンで、木曜日には石油輸出国機構(OPEC)、金曜日にはロシアをはじめとする非加盟国を加えたOPECプラスの会合が開催される。
OPECプラスの3つの消息筋が木曜日にロイターに伝えたところによると、各国は今回の会合で、現行の減産量である日量120万バレルをさらに40万BPD(1日あたりのバーレル数)以上拡大することを検討するという。
現行の減産合意は3月に期限が切れるが、OPECプラスの消息筋や代表によると、新たな合意で2020年6月もしくは2020年末まで延長される可能性があるという。
一部の消息筋やOPECウォッチャーは、新たな減産や生産目標の履行強化により、全体的な減産量は180万~200万BPD近くになるとみている。
OPECプラスは、著しく成長する米国の生産量に対抗するため、2017年より供給量を制限している。世界最大の産油国に浮上した米国は、その一方でイランやベネズエラに対し制裁を実施し原油の輸出を制限している。
来年は、米国や他のブラジルやノルウェーといったOPEC以外の国々の生産量増加で、過剰供給に対する懸念がさらに深まる。
トランプ大統領はここ数か月間OPECについてほとんど発言していないが、これは11月に再選を目指す同大統領にとって政治的に慎重を期する問題であり、石油やガソリンの価格が上昇すればその状況も2020年には変わるだろう。
また継続する米国と中国の貿易交渉も、経済情勢ひいては2020年の石油需要の見通しに影を落としている。
サウジのエネルギー相アブドゥルアズィーズ・ビン=サルマン王子はウィーンにて、今週の会議について「満足している」と発言したが、政策問題に関してはコメントを控えた。
ロシアのエネルギー省によると、アレクサンドル・ノヴァク エネルギー相は木曜日、ロシアとサウジのエネルギー協力は継続すべきとアブドゥルアズィーズ王子に伝えている。
減産を免除されているイランの石油相ビージャン・ザンギャネは、さらなる減産が他の産油国によって同意された場合はイランもこれを支持するとしている。
サウジアラビア、ロシア、クウェート、アラブ首長国連邦、アルジェリア、オマーンの各大臣は、14時(GMT)以降に開始が予定されているOPEC会議を前に、11時(GMT)にOPEC事前会議を開始した。
サウジアラビアは、同国の歳入と延期されている大手国有石油会社サウジアラムコ(Saudi Aramco)の新規株式公開(IPO)を支える石油価格の値上げを必要としている。サウジアラムコのIPO価格設定は木曜日に予定されている。
この1年間、OPECの活動により、石油価格は1バレルあたり約50ドル~75ドルを保ってきた。今週ブレント原油先物取引は木曜日も上昇を続け、1バレルあたりの取引価格は63ドルを超えた。
またOPEC消息筋によると、サウジアラビア政府は同盟国であるイラクやナイジェリアに対し、生産制限の順守を改善するよう圧力をかけており、これによって最大40万BPDの追加減産が達成される可能性がある。
OPEC非加盟国のロシアは、現在の合意量である22万8000 BPDについて期限延長あるいは増量させるかどうかについてまだ合意にいたってはいない。これは同国の石油会社が、冬季は気温が非常に低いため減産は難しいと主張しているためだ。
ロシアの事情に詳しい消息筋がロイターに伝えたところによると、いくつかの懸案事項を解消すれば、ロシア政府はおそらく今週中にOPECと合意にいたるだろうという。
ロシアにとって1つ問題となるのは、生産量の計測方法だ。ロシアは他の産油国と異なり、ガスコンデンセートを生産統計に含む。ザンギャネ大臣は木曜日、この件に対するロシアの立場は論理的だと発言している。
ロイター