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エリザベス女王のプラチナ・ジュビリー:サウジアラビアと英国両王室の特別な絆を振り返る

1953年6月2日に撮影されたこの写真では、英国の女王エリザベス2世が戴冠式の際にロンドンのウェストミンスター寺院で着座している。(Intercontinentale/AFP)
1953年6月2日に撮影されたこの写真では、英国の女王エリザベス2世が戴冠式の際にロンドンのウェストミンスター寺院で着座している。(Intercontinentale/AFP)
1938年6月26日、ロンドンで祝福する人々に応える国王ジョージ6世を見守るエリザベス女王。(AFP)
1938年6月26日、ロンドンで祝福する人々に応える国王ジョージ6世を見守るエリザベス女王。(AFP)
2010年11月24日、アブダビのシェイク・ザイード・グランド・モスクを訪れ、UAEのリーム・アル・ハーシミー国務大臣と会話するエリザベス2世。(WAM、AFP経由)
2010年11月24日、アブダビのシェイク・ザイード・グランド・モスクを訪れ、UAEのリーム・アル・ハーシミー国務大臣と会話するエリザベス2世。(WAM、AFP経由)
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03 Jun 2022 04:06:21 GMT9
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  • サルマン国王とムハンマド・ビン・サルマン皇太子が送った電報は数十年に及ぶ友情を物語っている
  • エリザベス女王が1952年に玉座について以降、サウジアラビア君主は英国を4回公式訪問した

ジョナサン・ゴーナル

ロンドン:今週、世界中の国家元首からロンドンに寄せられた大量の祝辞のなかで、とりわけ2つのメッセージが、エリザベス2世の70年に及ぶ治世を通じてサウジアラビアと英国の両王室間に花開いた特別な関係を想起させるものになった。

サルマン国王とムハンマド・ビン・サルマン皇太子は、プラチナ・ジュビリーにあたり「心からの祝福とさらなるご健康とご多幸」を願うという電報を送ったが、その儀礼的行為の背後には1952年2月6日に始まった女王の治世の初期に遡る友情の歴史が横たわっている。

国王である父ジョージ6世が崩御した日、25歳のエリザベスは夫であるエジンバラ公フィリップと共に、アフリカ歴訪のさなかケニアに滞在していた。

イングランドを発つときは王女だったが、喪に服しながら女王エリザベス2世として空路帰国した。戴冠式は翌年6月2日に執り行われた。

戴冠式の招待客には、アラビア湾岸諸国の4つの王室の王族が含まれていた。当時は英国の保護下にあったバーレーン、クウェート、カタールの支配者ないしその代理の者と、そのわずか5か月後に亡くなったサウジ建国の父、78歳のアブドルアジーズ初代国王の代理であるファハド・ビン・アブドルアジーズ王子である。

サウジアラビアと英国の王室間の絆は公式の機会の頻度だけでは測れないものだが、バッキンガム宮殿が保持する公式訪問記録を調べると、明らかな違いが見て取れる。

女王が父の王位を継承して以来、サウジアラビア国王の英国への公式訪問回数は4回を下回らない。4回の元首訪問は、英国の近隣国であるフランスとドイツなど、他に4カ国しかない。

最初にロンドンを訪れたのはファイサル国王で、1967年5月に行われた8日間の訪問は、盛大華麗な英国こぞっての歓迎と儀礼で始まった。

エリザベス2世とサウジアラビアのファイサル国王、1967年。(AFP/ゲッティイメージズ)

女王、英国王室の王族、当時のハロルド・ウィルソン首相を含む政治指導者らの出迎えを受けたファイサル国王は、エリザベス女王、フィリップ殿下と共に英国のオープン馬車で、群衆が歓呼して迎えるロンドンの街路を通ってバッキンガム宮殿へと向かった。

多忙な8日間のスケジュールの合間を縫って、国王はロンドンのイスラミック・カルチャー・センターを訪れ、祈りの時をもった。

英国のエリザベス2世とサウジアラビアのハーリド国王、1981年。(AFP/ゲッティイメージズ)

その年に英国のクランウェル王立空軍士官学校を卒業した息子のバンダル王子は、父王の代理として、サウジアラビアへの出荷準備が整ったジェット戦闘機イングリッシュ・エレクトリック・ライトニングの視察に訪れた。王子は後に、サウジアラビア空軍の戦闘機パイロットとしてライトニングを操縦することになる。

ファイサル国王の後、その後を継いだ国王たち、すなわちハーリド国王が1981年に、ファハド国王が1987年に、アブドゥラー国王が2007年に英国を公式訪問している。 

英国のエリザベス2世とサウジアラビアのファハド国王、1987年。(AFP/ゲッティイメージズ)

1979年2月、エリザベス女王は超音速ジェット機コンコルドでアラビア湾岸諸国を歴訪した際に、リヤドとダーランを訪れた。この歴訪では他にクウェート、バーレーン、カタール、UAE、オマーンも訪問している。

サウジアラビアではハーリド国王のもてなしを受け、砂漠のピクニックやリヤドのマーター宮殿での公式晩餐会など、一連の行事を楽しんだ。

英国のエリザベス2世とヨルダンのフセイン国王、1955年。(AFP/ゲッティイメージズ)

返礼として、女王夫妻は、女王陛下のヨット「ブリタニア号」の船上晩餐会でサウジ王族をもてなした。

悲しいことに、ブリタニア号がアラビア湾に戻ってきたのはその後1度しかなかった。1997年12月の退役を前にした同年1月、ロイヤルヨットの最後の航海でのことだった。

しかし、両王室の関係は国家の行事に留まらない。

英国のエリザベス2世とオマーンのスルタン・カブース・ビン・サイード 2010年。(AFP/ゲッティイメージズ)

バッキンガム宮殿が定期的に発表する王室行事日報を読み解くと、英国の王族は2011年から2021年にかけてだけで200回以上、アラビア湾岸諸国の君主と会談している。2週間に1回の頻度だ。この非公式会談のうち40回は、サウード家王族との会談だった。

直近では、2018年3月にムハンマド・ビン・サルマン皇太子がバッキンガム宮殿で女王に内謁し、昼食を共にした。 

英国のエリザベス2世とサウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子、2018年。(AFP/ゲッティイメージズ)

その後、皇太子は英国訪問中にウェールズ公、ケンブリッジ公とも食事をし、その他に当時のテリーザ・メイ首相やボリス・ジョンソン外相と会談した。

このような会談では、貿易や防衛に関する協定などの重要問題がテーマになることが多い。しかし、2003年から2006年まで駐サウジアラビア英国大使を務めたシェラード・クーパー・コールズ卿が回想するように、両王室間の私的な会合は、よそよそしい形式的な儀礼ではなく、気さくな楽しさが特徴となることが多い。

2003年、後にサウジアラビア国王になるアブドゥラー皇太子は、女王がスコットランドに所有するバルモラル城に招かれた。

英国のエリザベス2世とサウジアラビアのアブドゥラー国王、2007年。(AFP/ゲッティイメージズ)

バルモラルを訪れるのは初めてだった同皇太子は、広大な敷地を案内するという申し出を喜んで承諾し、ランドローバーの助手席に乗り込んだが、なんと運転手兼ガイドは女王本人だった。

第二次世界大戦時に陸軍の運転手として軍務に就いた経験を持つ女王は、バルモラルでは必ず自分で運転する。地元の人たちは、女王が複数台ある愛車ランドローバーのハンドルを握って外出している様子をよく目にしている。

女王は、それらの愛車で狭い小径を猛スピードで駆け抜けたり、敷地内の起伏地を横断したりと、お客様と運転を楽しむことで知られている。

2010年10月26日、エリザベス女王(右から2人目)とフィリップ殿下(左)は、カタールのシェイク・ハマド・ビン・ハリーファ・アール・サーニ首長(右)とシャイハ・モーザ・ビント・ナーセル妃をウィンザー城に迎える。(AFP)

シェラード卿によると、アブドゥラー皇太子は敷地内でのこの即興の乗車機会を存分に楽しんだが、ある時には、「自分の通訳を介して」「スピードを落として、前方の道路に集中するよう女王にお願い」せざるを得ないと感じたという。

女王とアラビア湾岸諸国の君主は、王族という共通点とは別に、馬への愛好を巡る相互の絆を常に保ってきた。この共通の関心事は、少なくともエリザベスが11歳の王女だった1937年にまでさかのぼる。

この年、アブドルアジーズ国王は、戴冠式を記念して父王ジョージ6世に雌のアラブ馬を贈った。

ディルイーヤのアラブ馬博物館では2020年に馬ターファの実物大のブロンズ像が除幕され、今日、同博物館で最高の展示作品になっている。

除幕の際に、当時のリチャード・オッペンハイム駐サウジアラビア英国代理大使は、両王家がこの共通の関心事を通じて常に絆を保ってきた様相を強調した。

「女王は馬を多数所有しており、サルマン国王やサウジ王族も長きにわたって馬を愛してきました」と述べた。

女王は、この愛好をドバイの統治者であるシェイク・ムハンマド・アール・マクトゥームUAE副大統領とも共有している。同副大統領は、英国競馬の本場ニューマーケットに、国際的に知名度の高い飼育訓練・種馬飼育場であるゴドルフィンを所有している。

英国のエリザベス2世とドバイのシェイク・ムハンマド・ビン・ラーシド・アール・マクトゥーム首長、2010年。(AFP/ゲッティイメージズ)

2人は、英国社交シーズンのクラウンジュエルとみなされている毎年恒例の5日間のロイヤルアスコットなど、競馬カレンダーの大イベントで一緒にいるところをよく目撃されている。今年のロイヤルアスコットは6月14日から18日まで開催予定だ。

チーム・ゴドルフィンはロイヤルアスコットで何度か勝利を飾っており、女王の馬は戴冠以来70以上のレースで勝利を重ねてきた。

英国のエリザベス女王とクウェートのシェイク・サバーハ・アル・アハマド・アル・サバーハ首長。(AFP)

今週末、各家庭や公共建築物には国旗が掲げられ、ストリートパーティー、ホースガーズパレードでの伝統的なトゥルーピング・ザ・カラー、礼砲、バッキンガム宮殿のバルコニーから女王が観閲する英国空軍の儀礼飛行、全国の3千カ所以上で焚かれるかがり火など、女王のプラチナ・ジュビリーを記念する数千のイベントが英国各地で開催される。

英国および英連邦の女王であり、1億5千万人以上の人々にとっての君主である96歳のエリザベス女王は、英国に限らず世界でも稀な国王としての節目を迎えた。

金曜日の時点で、その治世は70年と117日に及び、あと9日で世界史上2番目に長く君臨した君主になる。

タイのプミポン・アドゥンヤデート国王は、1946年から88歳で亡くなる2016年まで70年と126日統治した。

フランスのルイ14世だけがその上を行き、1643から1715年まで72年と110日王座にあって統治した。

エリザベス女王の長寿の秘密はおそらく、今週末に英国各地のイベントで心を込めて歌われる英国国歌「女王陛下万歳」の歌詞にある。「我等が高貴なる女王陛下の永らえんことを…幸福そして栄光を、御代の永らえんことを、神よ我らが女王陛下を守りたまえ」

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