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バイデン大統領によるサウジアラビア訪問の帰結

ムハンマド・ビン・サルマン皇太子とジョー・バイデン米大統領が率いる交渉団はジェッダのアル・サラム宮殿において、一連の新構想によって今後の米国とサウジアラビアの関係を方向づける会議に参加した。(AFP)
ムハンマド・ビン・サルマン皇太子とジョー・バイデン米大統領が率いる交渉団はジェッダのアル・サラム宮殿において、一連の新構想によって今後の米国とサウジアラビアの関係を方向づける会議に参加した。(AFP)
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22 Jul 2022 12:07:54 GMT9
22 Jul 2022 12:07:54 GMT9
  • メディアが 「グータッチ」に固執する中、両者が結んだ数々の二国間協定は注目されなかった。
  • サウジアラビアと米国は、広範な中東地域に関していくつか共同の誓約を立てた。

アラブニュース

ジェッダ:欧米のニュースメディアの多くが「グータッチ」の話題で持ちきりだった一方で、ジョー・バイデン米大統領のサウジアラビア訪問による一連の重要な成果はほとんど報じられなかった。

サウジアラビアは、7月13日にイスラエルおよびパレスチナから始まったバイデン氏の4日間の中東訪問における最後の訪問国であった。

両者の間で結ばれた二国間協定の中でバイデン氏は、米国はサウジアラビアが国外からの攻撃、特にイランが支援するイエメンのフーシ派による攻撃から領土と国民を守ることを支援すると改めて約束した。

両国は広域な地域に関していくつか共同の誓約を立てた。その中には、国連の仲介によるイエメンの停戦を維持・延長すること、紛争のより広範な解決を目指す外交プロセスに取り組むことへの合意が含まれている。

バイデン氏はサウジアラビアによる、サヌアからアンマンおよびカイロへの民間直行便の再開につながった停戦への取り組みと、イエメン国民のため基本的サービスおよび経済的安定を改善するためのイエメン大統領指導評議会に対する財政支援に、支持を表明した。

双方は、自由な貿易の流れを維持する取り組みを強化するとともに、紅海およびバブ・エル・マンデブ海峡を中心とした両国海軍の共同作戦を拡大することで地域の戦略的に重要な水路を通るイエメンへの密輸を阻止することで合意した。

中東の他地域に関しては、ティラン島の米兵が参加する平和維持軍を年内に撤退させることに合意した。その後ティラン島は観光用に開発される予定だ。

1978年のキャンプ・デービッド合意の直後から、イスラエルとエジプトの間で締結された平和条約に基づく多国籍軍監視団の一員として、米軍はティラン島において平和維持軍としての務めを果たしてきた。

サウジアラビアは、地域の旅行および娯楽の中心地となることを目指すビジョン2030計画を推進するため、また、1944年のシカゴ条約の原則に従って、すべての民間航空会社の領空飛行を認める決定を発表した。

また、両国の国民がビジネスや観光で訪問するためのビザの有効期限を10年に延長することでも合意した。

ジェッダでの「グータッチ」の様子に固執した欧米メディアの多くは、重要な成果や合意の署名に注目しなかった。(SPA)

技術面では、サウジアラビアと米国の高官らがいくつかの主要インフラプロジェクトを推進することに合意した。その中には(オープンで仮想化されたクラウドベース無線アクセスネットワークを使用する)5Gについての連携や6Gの開発に関する新たな二国間体制が含まれている。

サウジアラビアは、6月のG7サミットでバイデン氏が発表した「グローバル・インフラ投資パートナーシップ」の下で、このプロジェクトに多額の投資を行うことを約束した。

サウジアラビアの通信情報技術省は、5年間で10万人のサウジアラビアの若者を訓練するためIBMと了解覚書を交わした。

バイデン氏の訪問の焦点は、ウクライナ戦争とそれに伴う西側諸国によるロシアの石油・ガス禁輸措置を踏まえたエネルギー安全保障であった。双方は、エネルギー安全保障における連携拡大に合意し、サウジアラビア当局は世界の石油市場のバランス維持を支援すると約束した。

米当局者は、7月と8月に石油生産を予定より50%増やすというサウジアラビアの約束を歓迎した。しかしながら、サウジアラビア皇太子は月産1300万バレルを超える生産はしないと明言した。

サウジアラビアの外務担当国務大臣アーデル・アル・ジュベイル氏は、バイデン氏の訪問中にアラブニュースの独占インタビューに応じ、「サウジアラビアの石油に関する政策は、市場に十分な供給があって不足がないようにエネルギー市場のバランス維持を追求することだ」と述べた。

市場の需要に応えるため、サウジアラビアは「今後も市場のニーズを評価し、それに従って意思決定を行っていく」 とのことだ。

政府関係者は、両代表団がジェッダで署名した二国間協定が今後のサウジアラビアと米国の関係の基調となるだろうと述べている。(提供)

両国はそれぞれの二酸化炭素排出量削減に向けた取り組みに沿って、クリーンエネルギーに関する協力の新たな枠組みに合意した。これはエネルギー転換を加速して気候変動の影響に対処するための、サウジアラビアの新たな投資をともなうもので、特に太陽光、グリーン水素、原子力に重点が置かれている。

このパートナーシップによって、クリーンエネルギー・ソリューションの開発を進めるための官民の協力が活用され、世界経済の脱炭素化およびネットゼロ達成に向けた研究、開発、革新的技術の実証が加速されるだろう。

米国は、低・中所得国に焦点を当てて、デジタル接続、サプライチェーンの持続可能性、気候・エネルギー安全保障に役立つプロジェクトに戦略的に投資することを目的とした「グローバル・インフラ投資パートナーシップ」に対するサウジアラビアからの支援を歓迎した。

また、イラクに多様なエネルギー源を提供してイランへの依存から脱却させることをため、サウジアラビアと湾岸協力理事会加盟国の電力網をイラクの送電網に接続する取り組みなどの、サウジアラビアがイラクとの関係強化において果たす主導的役割を歓迎した。

今回の対話は、サウジアラビアの国家サイバーセキュリティ局がサイバーセキュリティに関する2つの二国間協定を締結することにもつながった。1つはFBI、もう1つは米国国土安全保障省サイバーセキュリティ・インフラセキュリティ庁とのものだ。

今後、両者は共有の防衛力を強化するために連携を拡大し、脅威や悪意ある主体の活動に関する情報を共有するとともに、サイバーセキュリティのトレーニングと教育における最良の手法、技術、ツール、アプローチについて連携していく。

また、有人宇宙飛行、地球観測、商業面・規制面の開発、宇宙空間での責任ある行動などを含む、宇宙開発分野における連携拡大に合意した。

サウジアラビアは、雇用創出とローカリゼーションの目標達成に貢献する防衛、再生可能エネルギー、製造、ヘルスケア、テクノロジー、イノベーションの分野での相互投資の拡大を歓迎した。(SPA)

この協定の一環として、サウジアラビアはアルテミス協定に署名し、責任ある平和的かつ持続可能な宇宙探査および利用に向けて取り組むことを改めて表明した。

両国はまた、それぞれの保健当局同士による、情報共有、能力向上、疾病監視における協力、女性や障害者の健康上の懸念への対応、疾病予防と健康増進に向けた公共政策の追求のための新たな協定を歓迎した。

サウジアラビアは、雇用創出とローカリゼーションの目標達成に貢献する防衛、再生可能エネルギー、製造、ヘルスケア、テクノロジー、イノベーションの分野での相互投資の拡大を歓迎した。

新たな協定には、ボーイング、レイセオン、メドトロニック、Digital Diagnosticsによる投資が含まれ、ヘルスケア分野のIQVIAや、エネルギー、観光、教育、製造、繊維分野にわたる数多くの米国企業が参加している。

その他に、米国での再生熱可逆性プラスチックに関するサウジアラムコのエネルギープロジェクト、ヘルスケアデータおよび技術ソリューションの開発・導入、サウジアラビアにおける医療機器技術のサプライチェーンのローカリゼーションなどに関する合意がなされた。

「両国首脳による二国間会談後に発表された共同声明は、両国の政策が一致し、密接に協力している多くの問題を強調するものだ」と、在米サウジアラビア大使館のファダド・ナゼル報道官は アラブニュース に述べた。

今後の数週間に中東の専門家だけでなく、この地域の悪意ある主体や米国の戦略的ライバルが、これらの合意文書について地政学的影響や象徴的意義に関する詳細な分析を行うだろう。

ナゼル氏は今回の訪問の意義を次のように表現した。「バイデン大統領が初の中東訪問でサウジアラビアを訪れたことは、戦略的二国間関係の強力さを示すと同時に、サウジアラビアが地域および世界で重要な指導的役割を担っていることの証でもある」

政府関係者は、両代表団がジェッダで署名した二国間協定が今後のサウジアラビアと米国の関係の基調となるだろうと述べている。

「両国は80年来の同盟国であり、パートナーである。多大な利害関係を有し、協力して共に立ち向かうべき多大な課題を抱えている」とアル・ジュベイル氏は述べた。

そして、バイデン氏の訪問は「関係の重要性、米国および世界の平和と安全に対するサウジアラビア王国の重要性を非常に明確に」象徴するものだったと指摘した。

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