
日本人アーティスト草間彌生氏は、独自の作風により現代芸術界で揺ぎない評価を確立している。彼女の初期作品がアート市場に浮上し、ニューヨークにおいてシングル・オーナー・コレクションのオークション・セールに出品される。
ボナムズ・ニューヨークによれば、最近の草間作品ではあまり見られない赤色の型破りな使い方が特徴の作品群であるという。コレクションは5月にオークションにかけられる予定で、タイトルは「クサマ:故広瀬輝夫医学博士のコレクション」となっている。
今回出品されるコレクションは、その後の作品とは大きく異なるものの、今日高い評価を受けている草間氏の芸術の基盤を築いた11作品から成る。
これらの初期作品は、草間氏の芸術的な様式の構成要素の観点から特別な価値があるというだけではなく、「代金」の役を担ったコレクションとして希少なものである。
このコレクションの作品は、草間氏の友人で、彼女の治療を無料で行った広瀬輝夫医師に返礼として1960年代に贈られたものであった。
この遣り取りは芸術をより大きな枠組みの中で再定義している。芸術と経済の長年にわたる相互関係に踏み込んでいるのだ。
芸術の持つ独自性と希少性が芸術の価値を創り出す。代金の役割を果たす価値が作り出されるのだ。
芸術とお金の結び付きは、作品が高価となることで知られるマウリツィオ・カテラン氏 (壁にテープ留めされたバナナという作品で注目を集めた) やダミアン・ハースト氏といったアーティストの登場により、近年、以前にもまして緊密になっている。
ロイター通信は、2012年、ダミアン・ハースト氏がこの芸術とお金の関係に対して非常に意識的であることを報じた。ハースト氏は、「アートは世界最高の通貨です。ゴールド、ダイアモンド、そしてアート、これらはすべて等しい…最高の投資対象なのです」と、自身の見解を述べた。
草間氏の初期作品のコレクションは、この芸術とお金の関係をさらに強調している。今回のコレクションは、約1400万米ドルで買い手がつくものと期待されている。