

アラブニュース・ジャパン
東京:内戦で大きな被害を受けた中東シリアの文化財の現状を示す展示会が奈良県橿原市で行われている。
シリアの世界遺産であるパルミラ遺跡は、紀元前1世紀〜紀元後3世紀の間に貿易で栄えた都市で2011年以降、内戦の影響で武装集団によって多くの貴重な文化財が破壊された。
パルミラの文化遺産を展示する「DearPalmyra, 廃墟からの希望―復活したシリア・パルミラの彫像―」が、1月15日より橿原市の県立考古学研究所付属博物館で始まった。橿考研は国連の委員会を通じて、4年前から日本とシリアで博物館職員に文化財復元方法を教える訓練を行ってきた。
「イスラム国」の戦闘機によって爆破されたベル神殿の被害前後の写真が展示されている。また今後、修復された彫像はシリアから取り寄せて展示される予定だが到着が遅れているという。
橿考研の西藤清秀さんは「シリアの人々の力で文化財が再生されていることを知ってもらいたい」と話した。
2019年と2020年にはポーランドの修復専門家の助けを借りてダマスカス国立博物館で約70点の彫像が修復された。
橿考研は1990年から2010年までパルミラの地下墓を調査・復元し、国際的な評価を得てきた。しかし、シリアでの内戦が続き、調査を続けることが難しくなった。
西藤氏は「このままではシリアの文化遺産の危機は忘れ去られるのではないか」と懸念している。
国連開発計画(UNDP)の委託事業では、約120人のシリア人文化財研究者が日本やレバノンなどで研修を受けた。昨年12月、西藤さんは文化庁から表彰を受けた。