
日本の財務大臣は9日、政府は市場を注視していると述べ、円を急騰させないよう投資家に警告した。同大臣は、コロナウイルスの感染が世界中に広がるなか、市場には「神経質な動きがある」と述べた。
麻生太郎財務大臣は、円が3%を超える上昇を見せ、その日の高値で過去3年間でも最高値となる1ドル101.58円をつけた後に、記者団の求めに応じて行われた会見でそのように述べた。
コロナウイルスの感染拡大によって世界経済がひどい打撃を受けるのではないかとの懸念が強まったことを背景にベンチマークとなる日経平均株価は、9日に過去14ヶ月で最安値に下落した。
麻生財務大臣は記者団に「為替、株をしばらくよく見ておかないといけない。慎重に見極めたい」と述べ、市場の最近の動きを神経質であると述べた。
日本は円高に歯止めをかけるために、為替市場介入の可能性はあるのかとの質問に対して、麻生財務大臣は「コメントすることはない」と述べた。
こうした麻生財務大臣の発言は、財務省幹部が、コロナウイルスについての懸念があるなか、当局は市場の動きを「緊張感をもって見守る」と述べた後になされた。
感染症の拡大によって、投資家はよりリスクの高い資産を売り浴びせ、円などの金融不安時により安全な逃避先とみられている資産に殺到している。
円が急騰すると日本の輸出の競争性に打撃となり、日本の輸出主導型経済を圧迫しかねないため、日本の政策当局は円が増価すると口先で下げようとする傾向がある。日本経済は現在、景気後退の瀬戸際にある。
円相場が対ドルで104円を割った後、先の財務省幹部は記者団に対して、為替市場には「神経質な動きが見られる」と述べた。同財務省幹部は匿名を条件に発言した。
武内良樹財務官その他の財務省、日本銀行、金融庁の幹部がグリニッジ標準時6時30分に会談し、世界金融市場につき議論すると財務省が9日に発表した。財務省の発表によれば、会議後に武内財務官が記者団にブリーフィングを行う。
コロナウイルス感染者数は世界で107,000人を超え、3,600人が死亡した。コロナウイルスの感染拡大で経済の混乱が続いている。
日本が前回外国為替市場に介入したのは2011年で、巨大地震と津波によって引き起こされた福島原子力発電所事故後の円高を阻止するために行った。日本はそれ以来、為替市場に介入していない。
日本政府関係者は、過度の変動や市場の無秩序な動きは経済に悪影響を与える旨のG7やG20の合意を堅持していると述べている。同合意は、市場の急激な変動に政府が対処することを容認するものであると解釈することが暗黙裡に合意されている。
ロイター通信