
東京:コスモ・エナジー・ホールディングスは4月、日本で初めてとなる持続可能な航空燃料の国内生産を開始する。コスト削減の課題は残るものの、ジェット燃料の10%をよりクリーンな代替燃料に置き換えるという国の目標に向けた一歩となる。
国内第3位の精製会社であるコスモは、西日本の堺製油所で使用済み食用油からSAFを製造する。
「当社の目標は、国内生産と輸入により、2030年までにSAFの供給量を30万キロリットルまで増やすことです」と、新規事業開発部長の高田 岳志氏は語った。
日本が気候変動対策に取り組み、航空機からの二酸化炭素(CO2)排出量を削減するための世界的な取り組みと歩調を合わせるため、日本の精製業者は2030年までに航空燃料販売量の10%に相当するSAFを供給しなければならない。
同社関係者は、30万kl(189万バレル)はコスモのジェット機販売量の10%を満たすのに十分であると述べた。
コスモは、堺で年間3万klのSAFを生産し、西日本の坂出拠点からバイオエタノールを使って15万klを供給し、タイのバンチャックや他のアジアのサプライヤーから12万klを輸入する計画だと高田氏は述べた。
コスト削減、原材料の確保、バイヤーの囲い込みなどの課題はあるものの、競合他社に先駆けて生産・販売を開始することで、専門知識と顧客との関係を構築することを目指すという。
堺プロジェクトは、敷地整備を考慮した上で2025年度に24,000klの生産を目標としており、すでに日本航空(JAL)、ANA、DHLを含むほとんどの顧客を確保している。
コスモの次の目標は、2029年頃までに坂出でのSAF生産を開始することであり、最終的な投資決定は2026年度を予定している。両プロジェクトとも、設備投資の約半分をカバーする政府補助金を確保している。
コスモ石油は堺の生産コストやSAFの価格について公表を避けたが、補助金により黒字を見込んでいる。SAFの価格は従来のジェット燃料の3~5倍と推定されている。
生産量を増やせば流通コストを下げることは可能だが、経費の大部分を占める原材料の制約から、大幅なコスト削減は見込めないと高田氏は言う。
「日本の補助金制度は、世界的に見ても中程度である。各国はハブ空港の地位を維持するため、SAF導入に魅力的な補助金制度を提供しようと競争するだろう」と高田氏は語った。
最近、坂出工場と他の3つのプロジェクトは、地元でのSAF生産を支援するため、5年間で3400億円(23億ドル)の政府補助金の一部を確保した。
これらのプロジェクトには、和歌山にあるエネオスの40万kl施設、山口にある出光興産の25万klプラント、沖縄にある太陽石油の20万klプロジェクトが含まれ、いずれもまだ設計段階である。
出光はまた、東京近郊の千葉製油所における10万klのプロジェクトに対する補助金も別途確保している。
これらのプロジェクトは、国内生産を増強し、2030年までに170万klと推定される日本のSAF需要を満たす鍵となる。
ロイター