長距離路線を運航するエミレーツ航空は、ドバイ航空ショーの開幕と共に、ボーイングの航空機を520億ドルで購入することを発表した。これは、新型コロナウイルス感染症によるパンデミックがもたらした低迷、さらにはイスラエルとハマスの戦争が地域の安全保障を曇らせる中においても、航空業界がいかに立ち直ったかを示している。
この紛争はロシアのウクライナ戦争同様、ドバイ・ワールド・セントラルにあるアール・マクトゥーム国際空港で5日間にわたり開催されるこのショーに影響を与えそうだ。同空港はドバイ国際空港に次ぐドバイ第2の飛行場であり、国際線で世界一忙しい空港であり、そして長距離航空会社エミレーツ航空の本拠地でもある。
エミレーツ航空は13日午後の記者会見で、ドバイのシェイク・ハマド・ビン・ムハンマド・アール・マクトゥーム皇太子の立会いのもと、この発表を行った。
ドバイに本拠地を置く格安航空会社であるフライドバイもまた、同社初のワイドボディ機であるボーイング787-9ドリームライナーボーイング787-9ドリームライナーを30機購入する。
ボーイングはまた、トルコ航空とルフトハンザが共同所有する航空会社サンエクスプレスが、最大90機の単通路旅客機ボーイング737MAXを購入することを約束したと発表した。この契約には、ボーイング737-8型機28機とボーイング737-10型機17機の購入も含まれ、さらに追加でボーイング737MAX型機45機を購入する可能性もあるという。両社はこの取引の金額については明らかにしていない。
民間航空会社が注目を集める一方で、軍事メーカーもこのショーに出展している。そこには、イスラエルの2大企業、ラファエル・アドバンスド・ディフェンス・システムズとイスラエル・エアロスペース・インダストリーズ(IAI)が参加する予定だった。
しかし、「勇気がテクノロジーに出会う場所(Where Courage Meets Technology)」というスローガンを掲げたIAIのブースは、13日の朝、人々がショーに押し寄せる中でもロープが張られたままで、無人であった。ラファエルのブースではコーヒーが配られていたが、セールスパーソンの姿はなかった。係員にコメントを求めたが、すぐに返答はなかった。
ラファエルはまた、12日にドバイの高級ホテルで空軍司令官の会合を主催、イスラエルとハマスの戦争に対してアラブ世界で怒りがわき上がる中で、UAEがとっているバランス感覚を強調した。
UAEは2020年にイスラエルと外交関係を樹立した。
ロシアン・ヘリコプターズは、モスクワのウクライナ攻撃をめぐって米国などから制裁を受けているにもかかわらず、今年初めにアブダビの武器見本市に出展したため、同航空ショーにもスタッフが参加する可能性が高い。ロシアの国営宇宙企業であるロスコスモス(ROSCOSMOS)もこの航空ショーに参加している。
新型コロナウイルス感染症によるパンデミックで世界的にロックダウンが相次ぎ、航空業界が低迷した後、今再び世界の航空業界は活況を呈している。特にアール・マクトゥーム国際空港は、エミレーツ航空の2階建てエアバス380の駐機場として数カ月間機能した。
国際航空運送協会(IATA)によれば、航空輸送量は現在、COVID以前の97%の水準にあり、また、世界旅行の主要な東西ルートを供給する中東の航空会社は、9月の輸送量が前年同月比で26.6%増加したという。
ドバイの不動産市場が活況を呈する中、ドバイの主要な経済エンジンであるエミレーツ航空は9日、半期ベースで過去最高となる27億ドルの利益を発表した。これは前年同期の12億ドルから増加しており、同社がさらなる記録的な年を迎える可能性を示している。同社は、パンデミックの最中に受け取った約25億ドルの融資の一部を返済したと述べている。
エミレーツ航空のティム・クラーク社長は9月、ブルームバーグに対し、航空ショー期間中にエアバスおよびボーイング両社から購入する航空機について、「動向を注視してほしい」と述べた。エミレーツ航空は、新しい航空機に乗務するとみられるパイロットや乗務員を大量に採用している。
クラーク氏は、「私たちは、航空会社の将来に向けた多くの大きな計画を持っている」と述べた。「新しい機体、より多くの便数、より大きなネットワークだ」
また、リヤド・エアも市場に参入している。同社は、サウジアラビアの支出計画の一環として設立された、王国の新しい航空会社である。この航空会社は3月、ボーイング787-9ドリームライナーを最大72機発注すると発表し、さらなる事業拡大を計画している。
トルコ国営アナドル通信によると、トルコ航空もエアバスからA321neo型機250機を含む355機の史上最大規模の購入を行う可能性がある。
AP