

日産とルノーの自動車連合(アライアンス)は水曜日、業界がコロナショックで生き残りに苦しむなか、コスト節減に向け部品や技術、モデルの共有を強化すると発表した。
アライアンス・オペレーティング・ボード(AOB)のジャンドミニク・スナール議長は、日本の自動車メーカーである三菱自動車も含むアライアンスにおいて、各社はそれぞれ地理的地域に力を注いでいくことになると語った。
スナール氏は、アライアンスは「前例のない経済危機」に適応すべく、売上高のみにこだわらず効率や競争力についても追求していく必要があると強調した。
「今は再建の時だ」とスナール議長は述べ、アライアンスがパワフルであることに変わりはないとの見解を明確に示した。
あらゆる自動車メーカーがパンデミックで苦境に立たされ、生産を縮小したり一時停止しているが、日産はコロナ危機に見舞われる前からすでにカルロス・ゴーン元会長関連のスキャンダルで揺れていた。
横浜に拠点を置く日産は木曜日に年次報告を行う予定だが、11年ぶりの最終赤字に転落することが予測されている。アライアンス全体の利益を狙い、最新のイニシアチブの下では、日産自動車は中国、北米、日本、ルノーは欧州、ロシア、南米、北アフリカ、三菱は東南アジアとオセアニアにそれぞれ力を注ぐことになる。
日産自動車の内田誠社長兼最高経営責任者は、アライアンスは協力して財政力を追求する予定だと述べ、「相乗効果は非常に大きい」とした。
スナール議長によると、同じプラットフォームを共有するモデルは2024年までに2倍になり、これにより20億ユーロ(22億ドル)のコストカットが見込まれるという。
技術の共有には、電気自動車(EV)や自律運転、プラットフォーム、車体も含まれることになる、と経営陣は述べた。EVにおけるリーダーはリーフをEV主力モデルとする日産だが、そうした技術はアライアンスの他のメンバーにも利用可能になるという。
日産株の43%をルノーが所有する一方、ルノー株の15%を日産が所有する。フランス政府もルノー株の15%を所有している。
フランス政府は火曜日、自国の自動車産業救援対策として80億ユーロ(88億ドル)以上の救済措置を発表した。 ルノーに対しては、50億ユーロ(55億ドル)の政府保証融資について議論が行われている。同措置には、低排出ガス車の購入奨励を目的とした購入補助金が含まれている。
アナリストは、日産を含む自動車メーカーのコストカットの必要性を強調する。
「コロナ危機、そしてロックダウンや景気後退が売上に与えた影響で、自動車企業は現在、前代未聞の緊急事態のなかにあります。企業の危機対応において重要なテーマとして浮上してきているのが、中核的で収益性の高い活動に集中する必要性です」と分析会社GlobaDataのデビッド・レゲット氏が述べている。
日産は、報酬過少申告や日産資金の誤用など金銭をめぐるさまざまな不正行為の疑いで2018年11月にゴーン元会長が逮捕された事件で、ブランドへの影響を受けていた。
ゴーン氏は、日産を破産の瀬戸際から救う目的で1999年にルノーから派遣された。ゴーン氏は当初から無実を主張しており、事件はルノーとの合併を阻止するために日産内部の誰かがでっちあげたものだと非難した。
法廷における対決の準備は進められていたが、ゴーン氏は2019年の年末に保釈中の日本からレバノンに逃亡してしまった。
米当局は最近、アメリカ人2人をゴーン氏逃亡を手助けした疑いで逮捕した。逃亡にあたってはゴーン氏を楽器用の箱に隠し、プライベートジェットで出国させたとされる。日本の検察当局は昨年2人に逮捕状を取得しており、現在身柄の引き渡しを求めている。
失脚前のゴーン氏は、自動車業界では神格化された存在であり、特に日本では実業界のスーパースター的存在を誇っていた。
AP