
NTTが上場子会社のNTTドコモを完全子会社化する方向で検討していることが29日、分かった。TOB(株式公開買い付け)を通じ、一般株主が持つ約3割の株式を4兆円前後で取得するとみられる。経営効率化により、菅義偉首相が掲げる携帯電話料金の引き下げに対応するとともに、次世代通信規格「5G」などへの投資を強化する。近く発表する見通し。
NTTはドコモ株式の6割強を保有。TOBは実際の株価の3割程度を上乗せして行われることが多く、単純計算で取得額は4兆円前後となる。
政府は1992年、通信市場の公正な競争を確保するため、NTTに携帯電話事業を担うドコモを分社化させた。その後、ドコモは98年に東証1部に上場。今回TOBが成立すればドコモは上場廃止となる。NTTはドコモを取り込むことでグループの収益性を高め、コスト削減を進める。
NTTは今年に入り、トヨタ自動車やNECとの資本提携を発表。ドコモの完全子会社化により、国際的に出遅れている5GインフラやIoT(モノのインターネット)などへの投資を加速させ、海外勢に対抗する狙いもあるとみられる。
JIJI Press