
ラシド・ハサン
リヤド:サウジアラビアはG20議長国を務める間、多国間協調主義の推進者であることが証明されたと、EUの駐サウジ大使であるパトリック・シモネ氏が述べた。
彼はアラブニュースの独占インタビューで、サウジアラビアは大きなイベントの開催には十分な経験を持ち、湾岸協力会議(GCC)、イスラム協力機構(OIC)、アラブ連盟サミットなど過去の経験の足場があると述べた。しかし、G20 はそれらとは規模が異なり、何十という閣僚会議、何百というワークショップや専門的セミナーが含まれた。
「G20 議長国としてのサウジアラビアは、 器材の準備やテレビ会議への切り替えなど、パンデミックに課題を突き付けられる中、これらの会議の企画を非常に上手く対処されました」とEU大使である彼は述べた。
「さらに重要なこととして、サウジアラビアは、G20フォーラムを重要な世界問題に取り組む機会として活用することで、多国間協調主義の推進者であることを証明しました。それら世界問題は、新型コロナウイルス感染症による困難が発生し、とりわけ最重要問題となっています」
サウジアラビアは、気候変動やエネルギー持続可能性問題といった必ずしも見解の一致しない問題についても、G20のすべての参加国を議論の場に着かせ、グローバルな取り組みを前進させることへのコンセンサスを得ることに成功した。
「多国間協調主義が攻撃を受けている中、私たちEUはこれに関してサウジの努力を非常に評価しています」と大使は述べた。
サウジアラビアは、サルマン国王とモハメド・ビン・サルマン皇太子のリーダーシップにより、「ビジョン2030」構想に沿って経済や社会の分野における重要な変化と改革を取り入れている最中であった。
「G20開催中にサウジの改革プロセスが紹介されたことも非常に良かったと思います」と彼は言った。
パンデミックの最中にG20 の議長国を務めた意義について、またこれら困難な時期にG20 が達成できたことについて、同大使は、サウジアラビアは世界的課題に合わせることで、G20議長国の役割を新たな形に再形成したと述べた。
「『21世紀の機会をすべての人に実現させる』というサウジの旗印の下、パンデミックの影響を抑制し、コロナ後の復興の局面に取り組むという問題が、G20 の議論の中心に据えられ、経済成長、デジタル化、金融・教育システムの回復、債務業務の保留、エネルギーへのアクセス、グリーン復興計画などすべての様々な取り組みの中で議論されました。
サウジの各議長の献身的かつ積極的な姿勢のお陰で、我々は今や優先順位を明確にし、G20 の各国政府は自国民のニーズにより適切に対処し、必要とされるコロナ後の回復が達成できるようになりました」と彼は付け加えた。
「いくつか例を挙げてみましょう。まず、貿易に焦点を当てたことで、開かれた貿易とWTO改革の概念を推し進めることができましたが、これは回復期には非常に重要となります。第二に、エネルギー関連の議題は、気候変動や持続可能エネルギーの義務に関してパリ協定に沿うことで、エネルギー市場の安定と安全を促しました。
さらに、今回のG20は、デジタルの議題にも勢いをもたらし、測定、インクルージョン、グローバルなデジタル課税などの問題にも対処しました」と彼は述べた。
また、健康、金融、環境、開発などの問題にも焦点が当てられたほか、宇宙経済や人工知能のサミットでは新しい議論も扱われたとシモン氏は述べた。
G20 は、EUとサウジの関係を強める機会となったと彼は言う。
「私たちEUの新たな指導者たちは、一年を通してサウジの指導者たちと定期的に連絡を取り合っています」
フォン・デア・ライエン委員長は、G20の議長国を務め始めた初期に、サルマン国王と話をした。
「双方のパートナーシップについては、政治、経済、貿易関係の面で多くの協力の道があると私は考えています」と彼は言う。
EUは、湾岸協力会議にとって第二位の貿易パートナーであり、海外直接投資の提供相手としては第一位であるとシモン氏は述べた。
自由貿易協定を通して再開する必要がある交渉など、関係を進展させるためにできることはもっとあると彼は述べた。これは、EUのグリーン復興計画、そしてモハメド・ビン・サルマン皇太子が進めるサウジのビジョン2030など、双方にとって利益となる。
「私たちはまた、近隣諸国を共有しており、従ってより広範囲の地域における平和と安定に関する関心も共有しています。私たちはすでに政治的協議のレベルを高めており、今後もより安定した中東および湾岸地域に向けて協力を続けていくことになるでしょう。
私のここでの使命は、EUとサウジの人々の距離を縮めることであると同時に、サウジアラビアの真の姿をヨーロッパの人々に伝えることでもあります」と彼は言った。