
製薬大手ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)は3月31日深夜、同社の新型コロナウイルス用ワクチンの一部が品質基準を満たさなかったと発表した。
J&Jは何回分のワクチンが失われたかについては公表しておらず、今回の問題によって今後の供給にどの程度影響が出るのかについては明らかになっていない。
J&Jによると、エマージェント・バイオソリューションズが製造したワクチン成分が品質基準を満たさなかったという。エマージェント・バイオソリューションズは、J&Jが最近認可されたワクチンの製造を高速化するために提携している10社のうちの1社だ。
J&Jによると、問題のあったエマージェント・バイオソリューションズの工場には、米食品医薬品局(FDA)からワクチンの一部を製造するための認可が下りていなかったという。
ボルティモア州の自社工場の1つで製剤原料の大量生産を行ってきたエマージェント・バイオソリューションズは、コメントを拒否している。
J&Jは米国政府に対し、3月末までにワクチン2,000万回分、5月末までにさらに8,000万回分を提供するとしていた。今回の製造問題に関する同社のJ&Jの声明によると、同社は依然として6月末までに1億回分のワクチン提供を行う計画だとし、「これらの分を5月末までに提供することを目標」としているという。
ジョー・バイデン大統領は、5月末までに米国の全成人に提供可能なだけのワクチンを確保すると公約している。米国政府はファイザーとモデルナに対し、5月下旬までに2回接種を行うタイプのワクチンを2億人分、加えてJ&Jに対し1億回分のワクチンを提供するよう求めている。
ある政府関係者は31日夜、J&Jによる追加分無しで政府目標を達成することは可能だと述べた。
J&Jの広報担当者は31日、同社は3月末までの目標を達成したと述べたが、問題となっているエマージェント・バイオソリューションズの工場がFDAからの認可を受けていたのかという質問に対しては返答を避けた。
米疾病予防管理センター(CDC)のオンライン・ワクチン・トラッカーによると、3月31日の時点で、J&Jは680万回分のワクチンを提供している。さらなる追加分についてはまだ記録に反映されていない可能性もあり、CDCは31日、さらに1,100万回分のワクチンが4月1日から出荷可能になると述べている。
この1,100万回分のワクチンの製造元は明らかにされなかったが、J&Jはこれまで、オランダの自社工場で製造したワクチンを米国に出荷してきた。
FDAは、状況は把握しているが、質問への回答はJ&Jに任せていると述べた。
今回のワクチン問題を最初に報じたのは、ニューヨーク・タイムズだった。
AP