
パリ:AFP通信が確認した文書によると、日産とルノーの元会長のカルロス・ゴーン氏は5月、ベイルートで行われた6時間以上にわたる取り調べの際、ルノーがディーゼル車の排ガステストで不正を行ったとされる疑いへの関与を一切否定したという。
ゴーン氏は、自身が否定する金融犯罪の容疑で2018年に日本で逮捕される前、日仏間の自動車製造における連携グループを主導した。
その1年後、ゴーン氏は保釈中にレバノンへと逃亡した。
フランスの判事3人はパリからベイルートに渡り、フォルクスワーゲン、プジョー、シトロエンなど他の複数の自動車メーカーが対象となっている排ガス不正のスキャンダルに関して、67歳の自動車界の元カリスマに取り調べを行なった。
取り調べの議事録によると、目撃者の容疑がかけられているゴーン氏は、自身の管理レベルは、エンジン性能に関する問題には関与していないと主張したという。
5月26日の取り調べでゴーン氏は、2016から2018年にかけて日産の社長およびルノーのもう一方のパートナーでもある三菱自動車工業の社長も務めていたことに触れ、「ふたつの大陸にまたがる3つの会社を管理していた自分が、エンジンの詳細を知っていた訳がない」と述べた。
ディーゼルゲートのスキャンダルのきっかけとなったのはフォルクスワーゲンで、2015年に1,100万台のディーゼル車エンジンの排ガステストで「不正な手段」を使ったことを認めた。
この事件以来、複数の国で他の自動車メーカーに対して調査が及ぶようになり、フランスではシトロエン、プジョー、ルノー、フォルクスワーゲンが排ガス不正の罪で告訴されている。
2016年、フランスの不正取締り事務所はゴーン氏を名指しで批判し、ルノーの「組織系統全体」が排ガス不正問題に関与しており、不正は「企業戦略」の一部だと発言した。
しかし、2005年から2019年にかけてルノーのCEOを務めたゴーン氏は、取調べにおいて同社は排ガス量の不正記録を行なっていないと発言したことが、ル・モンド紙によって今月初めに明らかになった。
ブラジル生まれでフランスとレバノンの国籍も持つ実業家のゴーン氏は、「私たちは、(環境)基準に関する敬意を欠いたことは決してない」と捜査員に語った。
ルノーが「性能面」での問題を抱えていたことを認めつつも、ゴーン氏は「テスト結果の隠蔽という点において、他のメーカーが非難されているようなことは決してしていない」と語った。
ゴーン氏は、技術的な質問に関し、捜査員に対してカルロス・タバレス氏などの元部下に尋ねるよう伝えた。タバレス氏はゴーン氏の元補佐役で、現在はプジョー、フィアット・クライスラー、オペルが連携して設立された企業の社長を務める人物だ。
ゴーン氏は自身が「製造業者」というだけで、「車を知り尽くしている」わけではないと主張した。
AFP