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日本の電力計画は、カタールを含む石炭やLNGの輸出国を動揺させるだろう

カタールとオーストラリアは、世界最大のLNG輸出国の座を争っている。(AFP通信)
カタールとオーストラリアは、世界最大のLNG輸出国の座を争っている。(AFP通信)
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23 Jul 2021 10:07:13 GMT9
23 Jul 2021 10:07:13 GMT9
  • 日本は世界最大のLNG輸入国
  • 2020年に日本のLNG輸入量の11.7%をカタールが供給

ドーハ:日本は、中国の急速な台頭の影に隠れて、エネルギー商品の需要源としてはほとんど忘れられている。しかし、日本の新たな電源構成目標がエネルギー市場を揺るがすことになりそうだ。

長年、日本は年ごとの輸入量の変動が少なく、発電用の液化天然ガス(LNG)や石炭の安定した需要源と考えられてきた。

しかし、日本が発表した最新のエネルギー政策の素案が実行に移されれば、世界第3位の経済大国にエネルギー商品を供給する生産者にとって、この安心できる状況は終わる可能性がある。

7月20日に政府が発表した報告書によると、日本は2030年までに再生可能エネルギーの割合を、2020年3月を期末とする年度に達成した18%から2倍の36〜38%に引き上げることを目指している。

電源構成における割合で石炭は近年の約32%から19%に、LNGは約37%から20%に低下することが計画されており、再生可能エネルギーの増加はLNGと石炭の市場シェアが低下することを意味する。

原子力発電は、2030年には電力の20〜22%を供給することを目標としている。この数字は、2011年に起きた福島原発事故の影響を受けて多くの原子炉が長期にわたる安全点検のために停止していた2019年度の6%から大幅な増加となる。

また、水素やアンモニアなどの新しいエネルギー源は現在の実質0%から増加するが、2030年までに発電量の1%を占めるにとどまると予想されている。

この計画案は、再生可能エネルギーに関しては間違いなく野心的で、原子力に関しては非常に強気だが、新しいエネルギー源に関しては驚くほど曖昧なものとなっている。

この目標を達成するためには、風力や太陽光などの再生可能エネルギーへの大規模な投資が必要で、おそらく蓄電池も併用することになり、最大限の努力を要すると見られている。

また、日本国民は、ほとんどの残った原子炉を再稼働させなければ達成できない原子力の構成割合にも抵抗を感じる可能性がある。現在、日本では9基の原子炉が稼働中で、24基が停止中となっている。

カタールに打撃

計画案の実施には課題が伴うが、実現した場合に主な影響を受けるのはLNGと石炭の輸出業者で、特にオーストラリアの輸出業者だろう。

オーストラリアは日本の石炭需要の約3分の2を供給している。公式データによると、2020年の石炭の総輸入量は1億520万トンだったのに対し、オーストラリアからの輸入量は7070万トンとなっている。

日本の電力会社は、石炭市場で調達できる他の石炭に比べてエネルギー価が高く、不純物が少ないオーストラリアの石炭を長年にわたり好んできた。

もし日本が、2019年度に32%だった発電量に占める石炭の割合を2030年までにわずか19%に削減するという目標を達成した場合、総発電量が現在の水準を維持すると仮定すると、年間の輸入量は約6260万トンに減ることになる。

これは、2030年までに日本の石炭輸入量が約4200万トン減少することを意味しており、オーストラリアの鉱山会社が最も大きな打撃を受けると考えるのが妥当だろう。

日本は現在、世界最大のLNG輸入国で、もし日本が2030年までに発電量に占めるLNGの割合を2019年の37%から20%に削減した場合、年間の輸入量は2020年の7450万トンから2030年には約4030万トンに減少することになる。

カタールと世界最大のLNG生産国の座を争うオーストラリアは、石炭ほどの圧倒的な地位ではないものの、LNGでも日本に対する最大供給国となっている。

2020年にオーストラリアが日本に供給したLNGは2910万トンだった。これは全体の約39%を占め、マレーシアの約14%、カタールの約11.7%を大きく上回っている。

また、中国をはじめとする複数のアジア諸国が天然ガスの利用拡大に積極的なことから、日本に送られないLNGにはアジアで買い手が見つかる可能性もある。

とはいえ、約3500万トンの需要が失われることは、新規プロジェクトや事業の拡大を検討しているLNG生産者を躊躇させるだろう。

ロイター

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