



フランク・ケーン
リヤド:リヤドで開かれているサウジ・グリーン・イニシアティブ(SGI)において世界最大の石油輸出国サウジアラビアがカーボンニュートラルな未来実現への尽力を約束している。
2060年までに炭素総排出量実質ゼロを意味する「ネットゼロ」を実現すると土曜日に発表したムハンマド・ビン・サルマン皇太子は、これは「世界のエネルギー市場の安全・安定における指導的役割を維持し、かつその役割をより強固に果たしながら実現されるもの」で、王国の開発計画と合致している、と語った。
これに関連する発表においてサウジアラムコの社長兼CEOアミン・ナセール氏は、世界最大の石油会社である同社の「ネットゼロ」経営を2050年までに実現するという計画を明らかにした。「その道のりは複雑であり転換には課題が残るが、それらを乗り越え低排出の未来へ向けた努力をさらに促進することが可能である、と当社は確信している」と同氏は述べた。
オイル・ガス各市場のリーダーという伝統的な役割を維持しながら気候変動に対する戦いにおいて世界を主導する、というサウジアラビアの野心が重ねて主張されたこの日、最も注目されたのはこれらの約束だ。
ナセール氏は「我々は既存のエネルギー源を見捨てるわけではなく、新たなエネルギー源にも投資するのだ」と付け加えた。
国内経済における炭素削減目標を倍にするという王国の約束もまた注目に値した。2030年までに毎年2億7,800万トンの汚染物質を取り除くという。
「これらの構想は王国のエネルギーミックスの修正、エネルギー生産・使用における効率性の分配・増加、水素を含む新たなエネルギー源への投資、などを目標にしている」と皇太子は述べた。
また王国内において向こう数十年間に計100億本の植樹を行う計画の第1段階を皇太子は発表した。構想では2030年までに4億5,000万本の木を植え、荒廃した800万ヘクタールの土地を再生し、さらにサウジアラビア全土の2割以上が保護区域に指定されることとなる新たな保護区域を設ける。
国内構想の多くはすでに「グリーンな」再建の真っ只中にある首都リヤドに集中している。「リヤドの世界最高規模な持続可能都市への転換はすでに始まっている」と皇太子は述べた。
「グリーン」構想の第一陣に必要な投資額は7,000億サウジアラビア・リヤルとされる。雇用を創生し民間セクターに投資機会を提供するこの投資はビジョン2030の石油依存脱却政策とも合致する。
だがやはりリヤドでのフォーラムの参加者数百人の注目を最も集めたのは、スコットランドのグラスゴーで開かれる国連のCOP26気候変動サミット開幕の数日前に発表されたネットゼロ化の約束と炭素削減事前目標の倍増だった。
王国はヨーロッパや北米諸国が唱えるより早期の2050年までのネットゼロ実現ではなく、中国・ロシアなど増え続ける2060年までの目標実現同調国に加わる。
過去には一部の環境活動家が、ネットゼロ目標を掲げず、国内の炭素排出削減に消極的である、としてサウジアラビアを批判していた。今回発表された新たな目標は、COP26で活発に交わされるであろう「国が決定する貢献(NDC)」に関する議論において、王国を批判する人々をおとなしくさせるのには十分なものだ。
ナセール氏は「この発表は世界最大の炭化水素化合物生産者から出されたものであることを考慮しなければならない。このような規模の約束をすることは偉大であり、王国のリーダー的役割に他国が追従することを私は疑わない」と語った。
サウジのエネルギー大臣アブドルアジーズ・ビン・サルマン王子は、CO2温室効果ガスの削減・再利用・リサイクル・撤廃を目指すサーキュラー・カーボン・エコノミー(循環型炭素経済)の枠組みを取り入れることで、王国がネットゼロ目標を予定される2060年より先に実現できると考える。
王子はこれらの目標を実現するための技術は2040年までに完全に成熟され、計画実施に貢献し他国への良い参考となるだろう、と述べた。
「王国はこのNDCを達成するための資金援助や補助金を必要としておらず、またその実現に必要とされる最適な技術を活用する」と大臣は強調した。
「エネルギーミックスの修正は半分を発電セクターやすべての公共事業の強化に費やし、残りをガス開発に費やすことで可能となる。この50/50計画がここで話し合った削減の主要な構成分子となるのだ」と王子は述べた。
トゥワイクにあるフォーラム会場の外で記者団と会見したナセール氏は、「手に負えない状態にある」国外事業ではなくアラムコが完全所有する国内施設における排出に焦点を集中させることで、同社は2050年の期限に間に合わせる、と説明した。
他の石油と比べてアラムコの原油は汚染への影響が少なく、二酸化炭素より悪影響が大きいと考えられるメタンガス排出においても同社は厳格な管理方針を導入することを計画しているため、アラムコのネットゼロ目標と石油生産量増加方針は矛盾しない、とナセール氏は述べた。
近年エネルギー産業への投資が十分でないため、世界産業における予備容量が急速に減少している、と同氏は付け加えた。「経済が再開するなかで炭化水素の使用量・必要量・需要が増し、そのため良くない状況に陥ることとなる」という。
「当社は1日あたり1,200万バレルの供給を維持し、100万バレルの容量増加を行い、できる限り貢献しているが、他者も役割を担わなければならない。炭化水素産業を悪者扱いすることは誰の助けにもならない」と同氏は付け加えた。
SGIフォーラムは毎年開催され、気候変動問題に関する目標へ向けた王国の進歩がチェックされる。「私たちは責任を負わされることを求めている」とアブドルアジーズ王子は述べた。
王子は集中するべき3つの分野を挙げてこう述べた。「エネルギーの安全保障、持続可能な経済発展および豊かさの実現、そして深刻な気候変動問題への対策がある。これらすべてにおいて、どれひとつにおいても妥協することなく、目標実現が可能である」
サウジアラビアのこの新たな約束は世界に対するメッセージである、と王子はいう。「我々はあなた方と共にある。我々は懸念を共有している。我々は進歩を求めている。こう明言することを可能にするのだ」
だが炭化水素の使用禁止や石油・天然ガスへの投資停止といった、より極端な解決策は気候変動対策として実用性に乏しい提案である、と王子は強調した。
「この世界は化石燃料や炭化水素、再生可能エネルギーなくしては成り立たず、これらが救世主となることもない。解決は包括的なものでなければならない」と王子は述べた。