
岸田文雄首相は19日、脱炭素化に向けた社会や産業構造の転換(グリーントランスフォーメーション、GX)に向け、20兆円規模の政府支援を実施する方針を表明した。必要な資金の確保には、今後発行する「GX経済移行債」(仮称)を活用。大規模な支援を呼び水として、今後10年間で官民合わせて150兆円超の関連投資を実現したい考えだ。
政府が策定を進める「クリーンエネルギー戦略」を省庁横断で議論するため、同日、首相官邸で開かれた会合で明らかにした。
首相は「気候変動問題は新しい資本主義の中核的課題だ。政府資金を先行して調達し、速やかに投資支援に回す」と強調。夏をめどに「GX実行会議」を設置し、GX経済移行債の発行規模や時期、今後10年間の政府支援の内容などを示す工程表を作成する方針を示した。
クリーンエネルギー戦略をめぐっては、首相が1月、2050年までの脱炭素社会実現や30年度の温室効果ガス削減目標の達成に向け、経済産業相の下で取りまとめるよう指示。再生可能エネルギーや、燃焼時に二酸化炭素(CO2)を排出しない水素・アンモニアを活用した発電などの実用化・普及に向けた方策の検討を求めていた。
これを受け、経産省は今月13日、30年代前半までの10年間に官民で約150兆円の投資が必要になるといった中間整理を公表。自民党や経団連が大規模な政府支援を求めていた。
時事通信