
カジュアル衣料の「ユニクロ」などを展開するファーストリテイリングは11日、国内正社員ら約8400人を対象に年収を最大で4割引き上げると発表した。3月に報酬制度を改定し、人材獲得の態勢を強化する。新入社員の初任給は月25万5000円から30万円へ、年収にして約18%増額する。
全面的な賃金の引き上げは現行の給与制度で初めて。今回の賃上げにより、国内の人件費は15%増えるが、残業削減など働き方改革による生産性向上で吸収する方針だ。
ファーストリテは従業員の平均年収が約959万円。ただ、海外のグローバル企業に比べると見劣りするため、国際的な人材獲得競争に負けない待遇が必要だと判断した。
能力や実績に応じて決まる「グレード」ごとの報酬を改定し、役職手当などは廃止する。入社1~2年目の新人店長は月29万円から39万円へ10万円アップし、年収は約36%増える。
ファーストリテは昨年9月、グループで約4万1000人いるパートやアルバイトの大半で、時給を平均2割増額した。残る地域正社員ら約7000人の賃金も今後引き上げる。また、店長や経営幹部を目指すのではなく、販売職を究める人材に報いる制度の創設を検討する。
時事通信