
ロンドン:中国でのコロナウイルスの大発生により、今年第1四半期の1日当たり原油需要量(bpd)は25万バレル以上落ち込む可能性があり、供給過剰ですでに苦境にある原油価格への影響が長引きそうだと評論家や貿易関係者が述べている。
中国の国内旅行が厳しく制限され、世界の航空会社が中国を避けていることを考えれば、大規模石油精製所ひとつ分に相当する大打撃が、主に中国のジェット燃料需要に表れてくるだろう。中国は世界最大の石油輸入国であるとともに、航空市場が世界最速で伸びている国のひとつである。
「予防措置の重点は主に航空移動や公共旅客輸送に置かれているため、ジェット燃料が最も影響を受けることになり……2020年第1四半期には、中国の石油需要量は25万bpd以上減少する可能性があります」と、エネルギーコンサルタント会社であるウッドマッケンジーのユジャオ・レイ氏は語り、同社は同期の世界石油需要の予測を50万bpd引き下げた。
「現在進行中のコロナウイルスの感染拡大は、一度限りの事象であり、石油需要に対する影響は主に、一義的には中国国内、そしてそれより低い度合いで東アジアや東南アジアの、ジェット燃料に降りかかってくると思われます」と彼女は付け加えた。
今回のウイルスは世界で、2002年から2003年のSARSの感染者数を超える9800人に感染しており、213人の死者を出している。死者はすべて中国国内で出ている。
中国ではいくつかの都市が厳しい旅行制限を課しており、世界各国の航空会社が中国主要都市への直行便を停止したり縮小したりしている。
中国の製油所は先週の操業を15%減らし、中国の世界貿易機関は金曜日に、ウイルスのせいで契約条件を果たせない会社に不可抗力証明を発行することを発表したとJLCコンサルタンシーは述べた。
ウイルスへの懸念がすでに世界中の原油市場や石油製品市場に影響を及ぼしている。
アジアのジェット燃料用の精製マージンはここ2年半の最低近くまで落ち込み、一時期は中国で切望されていたアンゴラのようなはるか遠くにまで及ぶ多様な原油の希望価格は、ここ1年ほどの最低レベルに落ちている。
エネルギーコンサルタント会社のFGFは、2月は1日当たり84万バレルもの量を見積もっていたが、市場は伝染病阻止の試みが失敗したときのことを考えて、より広範囲な経済への影響 に備えたようだ。
「感染拡大のピークはまだこれからであり、中国経済や世界成長への影響については不確かな部分が大きい」とフィッチ・ソリューションズのマクロ・リサーチは注記に記している。
「中国経済への影響は、ウイルスの鎮静化が長引くほど重大になるだろう」
ロイター通信