
パリ: スペインで開かれた第71回サンセバスチャン国際映画祭の授賞式が9月30日行われ、近浦啓監督の長編「大いなる不在」に出演した俳優の藤竜也さん(82)が最優秀主演賞を受賞した。
藤さんは受賞スピーチで「映画よ、ありがとう」と感謝を述べ、拍手喝采を浴びた。
作品は、疎遠な関係が続いた父子が再会する物語。藤さんが認知症を患った父親役、森山未來さんが息子役を演じた。ほかに真木よう子さん、原日出子さんらが共演した。日本では来年公開予定。
藤さんは「(作品上映後に)思いがけない光景を目にした。心に染みる、とても長いスタンディングオベーションだった。観客の皆さんが温かい拍手と、たくさんの優しいまなざし、たくさんの美しい笑顔を下さった」と感激の面持ち。スタッフ、共演者らの名前を一人ひとり読み上げて「ありがとう」と繰り返した。
近浦作品に出演するのは短編を含め3作目という藤さん。授賞式に先立つ29日の記者会見では、役作りについて問われ、「難しいことは何もなかった。(演じた)男にハイジャックされたような状態で、あっという間に撮影期間が終わったみたいな感じ」と振り返っていた。
藤さんは国際的に高い評価を受けた1976年の日仏合作映画「愛のコリーダ」(大島渚監督)をはじめ、数多くの映画・テレビドラマに出演している。
時事通信