
東京: ロックンロールで人々をクマの被害から守ることはできるだろうか?日本のある県はそう考えて、地域に生息するクマの恐ろしさを住民に警告し被害防止を呼びかける歌を制作した。
クマは日本全土に生息しており、定期的に町に降りてくるたびに必死の捜索が行われる。住民がクマに襲われ、時には死亡することもある。
クマの目撃数が急増した日本の東北地方では、斬新な対応策がとられた。岩手県の県議会がロックナンバーを制作し、県内のあちこちで流すことにしたのだ。
「子熊を可愛いと 思うかい?」と、ギターをかき鳴らし、ドラムを叩きつけながら歌は始まる。
「甘い考え 捨てちまいなよ!/子熊の傍には 親熊がいて/突然アンタに 襲いかかる/ガオー、ガオー、ガオー ガオー、ガオー、ガオー/突然アンタに 襲いかかる!」
60代のロックシンガー二人組が制作、演奏するこの曲は「背中を見せて 逃げ出すな」や「死んだふりも 効き目はないぜ」など、厳しいアドバイスを歌い上げる。
69歳のロックシンガー、田口友善さんは、一度、畑の近くでクマに遭遇した際にこれらのアドバイスが役立ったと話す。
「クマが目の前に現れると、とても怖いものだよ」と、田口さんはAFP通信に語った。
「走って逃げたくなる。でも、祖父母が何年も前に、もしクマに遭ったら背中を見せず、ゆっくりと後ずさりしろと教えてくれたんだ」と、田口さん。
「クマと共存してきた地域だからこその知恵を子どもの頃に教わった」
昨年の岩手でのクマの目撃件数は3,300件以上。2017年の700件に比べ、急増した。
この曲は道の駅などで10月31日まで流される予定だ。県はこの曲がクマの被害から身を守る方法を伝える手段となればと願っている。
61歳の音楽家、登堂かほるさんは、もともとはこの曲をブルースとして書いたという。
だが、50年間ロックバンドで演奏してきた田口さんは、シャウトするようなボーカルでアップテンポなロック風のひねりを加えた。
「クマは臆病な動物だといわれているから、この曲が外で流れていたら逃げるんじゃないかと思う」と、登堂さんは話す。
「それが、ロックンロールの力だ」
AFP通信