
東京: 日本の大学教授が、食べ物の味を再現できる「舐められるテレビ画面」の試作開発に成功した。五感を刺激する視聴体験の実現に向けた新たな一歩だ。
「TTTV(Taste the TV)」と名付けられたこのテレビは、回転式コンベアに10種類のフレーバーの缶がセットされており、そこからスプレーされる風味のコンビネーションで特定の食べ物の味を生み出す仕組みになっている。味が吹きつけられたフィルムは巻き取られてフラットなテレビ画面上に表れ、視聴者が試すことができる。
「コロナ時代の今、このような技術は人々の外の世界とのつながりや交流を強めるのに役立つ」と、明治大学の宮下芳明教授は語る。
「目標は、家にいながらにして世界の反対側のレストランの料理を食べているような体験を可能にすることだ」と、宮下教授。
宮下教授は約30名の学生からなるチームと開発を進めている。チームはこれまでも味に関する様々なデバイスを生み出してきた。なかには、料理をよりリッチな味にするフォークなどもある。TTTVの試作品は宮下教授が自分で1年かけてつくったもので、商品化する場合は製作に1台10万円(875ドル)ほどかかるという。
応用としては、ソムリエや料理人のための通信教育向け、試食ゲームやクイズなどが考えられると宮下教授は言う。
また、企業と協力して、このスプレー技術をトーストしたパンにピザやチョコレートの味をつける装置などに応用することも検討されている。
明治大学の学生、Hou Yuki氏(22歳)は、記者団の前でTTTVのデモを行い、画面に向かって「甘いチョコレートを味わいたい」と注文した。何度か繰り返した後、自動音声が注文を繰り返し、フレーバージェットがプラスチックシートにサンプルを吹きつけた。
「ミルクチョコレートのような味がする」と、Hou氏は言った。「チョコレートソースみたいな甘さだ」
ロイター