
アラブニュース
ロンドン:レバノンの金融危機が始まって3年、あるレバノン人起業家が高価な花束の代わりとなる独創的な提案として、紙幣を使ったブーケを製作して販売している。
タマラ・ハリリさん(30)は、自分のビジネスアイデアは金銭的余裕のない国において高価な花に代わるものを提案しようという試みから生まれたと述べた。
「花は高額なため、もはやあまり役に立たないと思いました」とハリリさんはロイターに語った。「だから、花と同じような何かを求めていたのです」
「もちろん花に代わるものなどありませんが、むしろ花束を贈るよりいいかもしれません。誕生日や他のあらゆる場面においても、お金を贈って人助けをすることができますから」と彼女は述べた。
ハリリさんは先月に事業を開始して以来、通常は1日に2個ほどのペースで、およそ50個のブーケを製作してきた。
小さなブーケは30分から1時間で完成するが、より複雑な注文の場合にはもっと時間がかかる。
ブーケはレバノンポンド紙幣か米ドル紙幣で製作できるが、米ドルで製作するブーケはより注意深く扱われる。
レバノンポンドに対する米ドルの価値が高騰しているため、ハリリさんは偽札を恐れて、顧客に手持ちの米ドル紙幣を送るよう依頼している。
レバノンでは花束1つの価格が150万から200万レバノンポンド(50~65ドル)であるため、花産業は経済危機によって最も大きな打撃を受けた産業のひとつとなっている。
2020年には需要が急減する中、国内で栽培された花の30%以上が棄てられた。
「レバノンでは互いに助け合うことがとても大事だと思っています。それがこのアイデアの原点かもしれません。互いに助け合うこと、お金の贈り物を始めて、学生、大学生、会社員といった人々の助けとなることです」と彼女は語った。
ハリリさんによると、価格はブーケのサイズと使用する現金の量によって変わるが、通常は4ドルから10ドルの利益があるという。
彼女はこのアイデアがレバノン中に広がることを確信しており、「それは私たち(花産業)に利益をもたらすだけでなく、贈り物をもらった人の助けにもなります」と述べている。
レバノンは2019年以来かつてない経済危機に見舞われており、通貨価値は90%以上も下落し、人口の約80%が貧困ラインを下回る生活をしている。