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彗星のかけらを地球に=「はやぶさ」継承、30年代半ば―次世代試料採取計画・JAXA

はやぶさ2では、カプセルの気密性を高めて気体の採取に成功したが、帰還までの温度変化などで失われた情報も多かった。(AFP)
はやぶさ2では、カプセルの気密性を高めて気体の採取に成功したが、帰還までの温度変化などで失われた情報も多かった。(AFP)
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30 Apr 2023 10:04:04 GMT9
30 Apr 2023 10:04:04 GMT9

小惑星から砂などの試料を持ち帰った探査機「はやぶさ」「はやぶさ2」の技術を継承する「次世代小天体サンプルリターン(SR)計画」が、宇宙航空研究開発機構(JAXA)で検討されている。目標天体は地球―木星軌道間を周回する彗星(すいせい)が有力で、JAXAは昨年、はやぶさ2の運用経験者を中心とするワーキンググループ(WG)を設置。2030年代半ばの打ち上げ、40年代半ばの帰還を視野に、探査機の構成や目標天体の選定などを進めている。

探査機は、目標天体への往復航行を担う親機(巡航ステージ)と、到着後に観測や着陸・試料採取(タッチダウン)を行う子機(探査着陸ステージ)の構成。はやぶさ2では2回タッチダウンを行ったが、墜落などのリスクを懸念して2回目を実施するかどうかの議論があったという。WG中心メンバーの佐伯孝尚JAXA教授は「親機子機方式はリスクを低減しながら、何回も試料を取りに行ける」と利点を語る。

また、彗星など遠方の探査は往復に10年以上かかる一方、目的地での観測期間は1年程度。機体を親子に分ければ、子機側は長寿命で高価な部品が不要になる。さまざまな探査で親機を共通化すれば、コスト削減にもつながる。佐伯さんは「予算が潤沢ではない日本が、数多く探査をするために必要な工夫だ」と強調する。

はやぶさ2では、カプセルの気密性を高めて気体の採取に成功したが、帰還までの温度変化などで失われた情報も多かった。そこで、次世代探査では分析装置を載せた「その場分析」を計画。彗星の内部構造を調べるため、レーダーを使った透過観測や、地震計の設置も検討されている。

ただ、技術的な課題は多い。次世代探査機は太陽から遠い木星圏まで飛ぶため、電力確保には地球近傍に比べて20倍前後の面積の太陽電池が必要。探査機全体の省電力化と軽量・高効率の新型電池の開発が必須となる。

親機への試料受け渡し方法も課題だ。タッチダウン後に子機が親機に再ドッキングする方法のほか、子機が放出した試料容器を親機が受け取る「空中受け渡し」も検討されている。

佐伯さんは「あれだけうまくいったはやぶさ2の技術がどこにも伝承されないのはもったいない。この手の探査をやれる能力を保持する仕組みをつくらないといけない」と話した。

時事通信

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