
日銀は9日、東京・日本橋の本店で支店長会議を開いた。黒田東彦総裁は冒頭のあいさつで、新型コロナウイルスの感染拡大について「わが国の経済にも深刻な影響を及ぼしている」と指摘。先行きに関しても「不確実性が極めて高い」と強い警戒感を示した。
黒田氏は、世界的に混乱した金融市場をめぐり、「緊張が幾分緩和しつつあるが、引き続き神経質な状況にある」と分析。「企業の資金繰りは悪化している」と懸念を示し、日銀として「企業金融の円滑確保に貢献していく」と力を込めた。さらに「必要があればちゅうちょなく追加的な金融緩和措置を講じる」と改めて強調した。
支店長会議は年4回の開催。ウイルスの感染拡大を防ぐため、初めてテレビ会議方式を導入した。会議では、各支店長の報告に基づき地域経済の現状を点検。午後には全国9地域の景気動向を分析した「地域経済報告(さくらリポート)」を公表する。
日銀が1日発表した3月の全国企業短期経済観測調査(短観)は、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)が大企業製造業で7年ぶりのマイナスに転落。中小企業全産業も東日本大震災以来の落ち込みとなった。政府は7日、7都府県を対象に緊急事態宣言を出しており、今後より広範な地域で経済の冷え込みが顕在化しそうだ。
時事通信社