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日本のパラリンピックはメダル以上の意味を持つ

2020年8月31日に撮影されたこの写真には、千葉県印西市の松山下公園で練習する日本人選手の村上清加選手の姿が写っている。(AFP通信)
2020年8月31日に撮影されたこの写真には、千葉県印西市の松山下公園で練習する日本人選手の村上清加選手の姿が写っている。(AFP通信)
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22 Oct 2020 09:10:25 GMT9
22 Oct 2020 09:10:25 GMT9

東京:走り幅跳びの村上清加選手は、延期された東京パラリンピックでメダルを獲得することだけでなく、障害者が人目に触れないようにとプレッシャーを感じる日本社会で障害者が今後末永く受け入れられることを願っている。

村上選手は、多くの日本人パラアスリートと同様に、パラリンピックは差別と戦い、日本における障害者に対する対応を変えるまたとないチャンスだと考えている。

「東京パラリンピックは絶好のチャンスです」と37歳の村上選手は東京の南東に位置する千葉県内の施設でトレーニング中、『AFP通信』に対し語った。

「東京パラリンピックが、障害を持つ人たちが同じ地域に住んでいることを人々が認識する機会になることを願っています」と彼女は付け加えた。

パラリンピック開催延期が決定され、延期されたオリンピックに続き2021 年 8 月に開会することが現在予定されている。25歳の時に電車の事故で右足を失い、義足で競技に出場する村上選手は、東京パラリンピック延期決定について、当初は非常にショックだったと語った。

「これまで一生懸命頑張ってきて、2020年のパラリンピックが終わったら引退しようと思っていたのですが…。とても落ち込んで前向きな気持ちに戻ることができませんでした。」と彼女は語った。

しかし、徐々にモチベーションが戻ってきたといい、延期された大会出場を目指してトレーニングを再開することにしたという。

「もしパラリンピック出場が内定したら、走り幅跳びでメダル獲得を目指して頑張ります」と語った。

東京パラリンピック開催に先立ち、東京都は障害者の対する対応の改善とパラスポーツの振興に努めてきたが、障害者権利擁護活動家や専門家らは、まだまだ先は長いと話す。

2017年の政府が行った調査によると、回答者の84%が障害者に対する差別や偏見があると考えていると回答している。

日本福祉大学のスポーツ社会学教授で障害者スポーツの専門家である藤田紀昭氏は、「日本は多様性を受け入れることにこれまで全く慣れていません」と語る。

「日本では、人がどのように評価されるかは、生産性があると見られるかどうか、経済的価値を生み出していると見られるかどうかによって決まることが多いです。」と藤田氏は『AFP通信』に語った。

東京都がパラリンピック開催招致を勝ち取って以来、改善されてきたことがあると藤田氏は語ったものの、それらはもとに戻ってしまう可能性がある。「大会が中止になると結果は全く違うものになります。」

東京パラリンピックに向けて、放送局が障害者の記者を雇用したり、義肢装具をつけたモデルやアスリートを起用したファッションショーが行われるなど、障害者の認知度を高める取り組みがこれまで行われている。

ファッションショーへの参加者の一人で、100メートル走と走り幅跳びで活躍する前川楓選手は、レースのような白いスカートに金属製の義肢を合わせて颯爽とランウェイを歩いていた。

前川選手は、日本では障がいがあることを明かすことに抵抗があり、重荷と見られることを心配する障害者が一部いることも理解できると語る。

「でも、個人的には義足を隠したいとは思っていないんです…。義足はクールだというメッセージを送りたいのです」と22歳の前川選手は語った。

彼女は来年のパラリンピックでメダル獲得を望んでいるが、また、同時にパラリンピックをより大きなチャンスを提供するものとして見ている。

「東京パラリンピックの開催が決まってから、パラアスリートに関するメディアの報道が増え、そのおかげで意識する人が増えてきました」と語る。

「何かを変えたいなら、一番大切なものは知識です。」

パラリンピック開催が期待されているとはいえ、新型コロナウイルス感染対策については様々な議論が行われており、どのように開催されるのかについては未解決の点が多い。

新型コロナウイルスの問題は、400mと800mの2度のパラリンピック車椅子メダリストである伊藤智也選手を含む一部のパラリンピアンにとっては特に深刻な問題である。

伊藤選手は「私にとって(ウイルスと)共に生きていく方法はありません」と、最近の地元メディアによるインタビューの中で答えた。

夫が2022年の北京冬季五輪を目指すボブスレー選手である村上選手は、東京都が来年の大会を成功させ、障害者のための前向きな遺産を築くことができることに期待を寄せている。

「日本でも障害者が活躍できる場所が少しずつ広がってきています」と村上選手は語る。

「一過性のブームではなく、継続的に発展することを心から願っています」

AFP通信

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