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長崎で、銀行の統合が経済再生プランの欠陥を露呈する可能性

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック対応中の長崎港の概観。長崎県は日本の南西に位置し、1850年頃まで続いた日本の2世紀に渡る国家隔離政策(鎖国)の間、海外に開かれた数少ない玄関口の1つであった。2020年9月29日。 (File photo/Reuters)
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック対応中の長崎港の概観。長崎県は日本の南西に位置し、1850年頃まで続いた日本の2世紀に渡る国家隔離政策(鎖国)の間、海外に開かれた数少ない玄関口の1つであった。2020年9月29日。 (File photo/Reuters)
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08 Oct 2020 05:10:07 GMT9
08 Oct 2020 05:10:07 GMT9

かつて統合のモデルと見なされたこともある長崎の2つの地方銀行の合併は、菅義偉首相が主導する、より強い貸し手を創出することによって、地域経済を活性化するという計画の欠陥を明らかにする可能性がある。

長崎の遠い昔、この街は貿易と金融の拠点だった頃もある。最近では、日本のより大きな港湾が仕事を吸い上げるため、地元の銀行は経済の停滞と顧客基盤の縮小によって機能不全となり、利益のために事業の縮小に迫られている。

そのため、今年10月1日の十八銀行と親和銀行の合併は、長崎市の運命を好転させるための潜在的なテストケースとされた。独占禁止監視機関と金融規制当局との長い戦いの末に設立された新銀行は、長崎県で約70%のシェアを占める。

合併は、地域経済の衰退と何年にもわたる超低金利を乗り切るために、地方銀行統合の必要性を強調する菅首相の祝福を受ける。日本の銀行規制当局は、過剰な地方銀行セクターを合理化するためのモデルとしてこの取引を持ちあげてもいる。

しかし、当該コミュニティ自体では喜ぶ様子が見られない。

長崎の一部の人々は、福岡県に本拠を置く金融グループに属する合併銀行が、地元の借り手に対する興味をなくすことを心配している。

ボートツアー会社のオーナー、久遠リュウジは、「新銀行が長崎にあまり興味を持たなくなるのではないかと心配している」と語った。「合併がどのように私たちを助けるかについての明確な説明はなかった」

また、域内での競争の低下が新銀行の十八親和銀行に、少額の借り手に高い金利や不利な条件を課す余裕を与えるのではないかという懸念も残る。

ピザ屋のオーナー、安井忠之氏は、「事業を営む上で、複数の銀行からアドバイスをもらうのは常に役に立った」と述べる。「私たちにはもうその機会がありません」

十八親和銀行は、借り手に不利益がないことを保証し、その貸付慣行を監視する第三者委員会を設立すると述べている。

しかし、このような懸念は日本の独占禁止監視機関を警戒させるのに十分であり、合併が数年遅れる要因となった。

また、中小企業を軽視することなく、より強力な銀行を設立するという、菅首相が直面する課題にも焦点を当てた。

三菱UFJリサーチ&コンサルティングのアナリスト、廉了は、「長崎で起こったように、同じ県内で営業している地方銀行間の合併は、支店の閉鎖や失業につながる可能性があり、地域社会とってプラスとならない」と述べた。

「しかし、コスト削減がなければ、多くの地方銀行が生き残ることは難しいだろう。伝統的な貸付事業から利益を挙げることが非常に難しくなっているからだ」と廉は付け加えて述べた。

統合

規制当局は、過去4年間で純利益の合計が40%減少したため、地方銀行に統合を長い間提案してきた。データによると、47都道府県に点在する100を超える貸し手が、わずか0.2%に落ち込んだ貸付利鞘をめぐる競争に明け暮れている。

政府は、合併の遅れを回避するために、5月に地方銀行の統合を独占禁止法から免除することにより、よりスムーズな統合の基盤を築いている。

政策立案者は、コロナウイルスで停滞した経済が不良債権の山につながる可能性があるため、秩序ある合併が重要であると述べている。

しかし、地方銀行は、企業文化の違いにより経営幹部の多くが合併に慎重になっているため、対応が遅れている。

そして、他の苦しんでいる地方経済の典型とも言える長崎県を活性化することは、より大きな銀行でさえ容易なことではない。

長崎は、2世紀にわたる鎖国の期間中、世界への数少ない玄関口として、国際的な金融ハブとして栄えた歴史を持つ。約10年前まで、三菱重工業が所有する造船所の本拠として栄えてもいた。しかし、同社は韓国と中国のライバル会社に市場シェアを奪われている。

2019年の県の人口は1.12%減少した。これは、若い世代がより良い仕事を求めて大都市に移動したためで、日本国内では8番目に速いペースである。パンデミックの中で長崎の観光産業は蒸発したに等しい状況に置かれている。

十八親和銀行の牛島智之執行役員は、今回の合併は長崎の活性化に貢献すると語った。しかし彼は、借り手も自らしっかり行動することが求められるとも述べた。

「人口が減少している経済で生き残るための唯一の方法は、生産性を高めることだ」と彼は指摘している。「今後の大きな課題を考慮して、私たち銀行は合併することを選択した。借り手も同様の行動を検討する必要があるのではないか」

ロイター

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