
東京五輪の日本選手団を対象とした新型コロナウイルスのワクチン接種が、6月1日から東京都北区の味の素ナショナルトレーニングセンターで本格的に始まる。「ルールであれば受ける」という声が多い一方、大多数の国民より一足早くなることに複雑な思いを口にする選手もいる。
国際オリンピック委員会(IOC)は5月6日、各国・地域の選手団に米ファイザー社製のワクチンを提供すると発表。アーティスティックスイミングの井村雅代ヘッドコーチは「一日も早く接種させてやりたい、したいというのが本音」と歓迎する。
ソフトボールの上野由岐子(ビックカメラ高崎)のように「個人的な判断をするところではないと思う。チームの方針に従う」という反応が多い。陸上短距離の桐生祥秀(日本生命)は「どういう発言をすればいいのか迷っている」。ワクチンの情報が足りず、戸惑う選手もいる。
7月23日の開幕までに約1600人が接種を受ける予定だが、副反応で体調を崩すなど練習に影響が出る恐れもある。陸上五輪代表に決まっている新谷仁美(積水化学)は「正直なところ、症状がどう出るか分からないので、打ちたくないなという気持ちはある」と語る。
選手団を編成する日本オリンピック委員会(JOC)は接種について「選手の意思を尊重する」としている。各競技団体のチームドクターが打ち手となり、自治体などによる高齢者への接種に影響はないとも強調。選手の不安を少しでも解消できるよう、さらに説明を尽くす責任がある。
JIJI Press