
政府は7日の閣議で、2021年度版「エネルギーに関する年次報告」(エネルギー白書)を決定した。ロシアによるウクライナ侵攻が資源価格の高騰を加速させたと指摘。その一方で、最近の話題として極東サハリン沖の石油・天然ガス開発プロジェクトを採り上げ、「重要な供給元」と明記した。
日本の政府や企業も権益を持つ「サハリン1」と「サハリン2」をめぐっては、欧米の企業が相次ぎ撤退方針を表明。これに対し岸田文雄首相は権益を維持する考えを示している。
白書はサハリンプロジェクトについて、中東へのエネルギー依存度が高い日本にとって「電力・ガス供給に不可欠なエネルギー源」と指摘。日本が権益を手放した場合、「ロシアを逆に利したり、日本のエネルギー安全保障を害したりすることになる」として、権益を維持する方針を改めて示した。
資源価格については、コロナ禍からの経済回復や化石燃料への設備投資不足などが重なり、ロシアのウクライナ侵攻前から価格が急上昇していると分析。その上で、上昇は「一過性にとどまらない可能性がある」と警鐘を鳴らした。ただ、石油元売り会社への補助金などにより、日本では燃料などの消費者価格が海外と比べ「相対的に抑えられている」と説明した。
時事通信